弓 [DVD]

監督 : キム・ギドク 
出演 : チョン・ソンファン  ハン・ヨルム  ソ・ジソク 
  • ハピネット
3.67
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感想 : 40
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4907953020887

感想・レビュー・書評

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  • THE BOW
    2005年 韓国
    監督:キム・ギドク
    出演:チャン・ソンファン/ハン・ヨルム(ソ・ミンジョン)/ソ・ジソク

    釣り客を相手に船上生活をしている老人が、幼い少女を拾い(あるいは攫い)、彼女が17才になったら結婚しようと勝手に決めて、船上で彼女を大切に育てている。しかし16才になった少女は、ある時客としてやってきた青年に恋をしてしまい、嫉妬に狂った老人はいろんな手を使って彼女を取り戻そうとするが、少女は老人を置いて去ろうとする…追いつめられた老人が最後にとった行動とは…

    見方によっては、この主人公の老人というのはただのエロじじいです。まるで慈父のように少女を大切に育て、17才までは待とうと決めていたところはある意味偉いというか我慢強いとは思いますが、少女のほうでは親がわりの優しいオジサンくらいにしか多分思っていないわけで、そういう子を相手に結婚しようと(というかもうぶっちゃけ、その日が来たらヤッちゃおうと)それだけを楽しみにネチネチ少女を独占しようとする様は、妄執というか、変質的というか、彼のしてることはある意味一種の犯罪でもあるわけで。

    ただこの映画は、老人の行動を、そういう風には感じさせないのですよね。妄執は確かに妄執で、その執念ゆえに、信じ難い結末が引き起こされるわけです。

    青年と去っていく少女を乗せたボートに縄をかけて、老人が首を括ろうとしたあたりで、これで自殺して終わりかと思ったらドンデン返しがあり、そこで実は死に切れず縄を切っていた老人の姑息さに気づかず戻ってきてしまった少女と老人の結婚の儀式が延々厳かに続くあたりで、まさかこのままハッピーエンドではあるめえ、これで終わったらキム・ギドクじゃないだろう、と固唾を飲んで見守っていたわけですが、案の定ラストはホラー映画でしか多分見たことのないようなオチがつき(何が起こったかはあえて書きません)しかしそれが、本当に幻想的でただただ美しい、むしろ崇高な儀式として昇華されていたのが流石でした。

    少女役のハン・ヨルムは『サマリア』でも聖母のような慈愛をもって売春をする少女を演じていましたが、今回も笑い声以外は発さないセリフのない役どころでありながら、処女でありつつ娼婦のような無垢な色気を発揮していて、まさにキム・ギドク作品のミューズの存在感。色鮮やかなリボンや船に描かれた菩薩の色彩なんかと相まって、なんともいえない妖艶かつ可憐な少女っぷり。

    彼女が恋する青年は、韓流映画のラブコメにも出てきそうなタイプでしたが、そして日本でいうと山崎まさよしみたいな空気感でしたが、結果的に老人の妄執の証人となってしまうあたり、さりげないようでして難しい役だったのかなと思います。重い終わり方でしたが、不思議と不快感はなく、ただじんわりとした哀しさ、せつなさだけが残りました。

    (2007.02.02)

  • キムギドクの『弓』。船で老人が少女を育てていて、17歳になったら結婚しよう(たぶん数え年で、法改正前だから当時は満16歳)…という『痴人の愛』みたいな話。だけどまったく違うのは、この老人の違法性や、人権無視な点。どうやら少女は6歳の頃に老人に拾われたようだ。

    老人は釣り人を船に乗せることを生業としていて、外の世界から人(異物)がやってくる。釣り人の男たちは少女にセクハラをするので、老人は弓矢で追い払う。そのうちのひとりが若くてイケメンで社長の息子である大学生。そこで三角関係になる。
    「おまわりさん、コイツです」と早く警察を呼べばいいのに…と何度も思う。そして最終的にキムギドクらしく「ファンタジーですよ、神話ですよ」とする。なら釣り人たち異物、現実世界に生きている人たちの存在が要るのか??

    ということでこれはキムギドクのセカイ系な話だと思う。少女が外から来た男に惹かれ始めて焦る老人、少女にばれないようにカレンダーを進めて、結婚(儀式)の日取りを早めようと画策する。「老人は予定を一つ繰り上げるつもりだ」というゲンドウのセリフが頭に浮かんでしまう。

    話の構造としては古くて、『眠れる森の美女(いばら姫)』や『ラプンツェル』などに近いと思う。これらも性的な話。

    冒頭からまず思ったのは、弓矢が男性の象徴であること。アメリカ映画、特に西部劇では銃という武器が男性や父性の象徴になっていることが多いので、それと全く同じ。弓は原始的な武器なので、占いや儀式にも通じる。
    この弓が、組み合わせると胡弓やヘグムのような形になり、音楽を奏でる楽器にもなる。あるいは、矢は男性で弓は女性かもしれない。ここはすごく感心したところだった。

    ……が、ラスト近辺で象徴ではなくそのままだったから吹いた。


    キムギドク作品からは女性蔑視、男尊女卑的なところを感じるからあまり好きではない。「内心の自由」で、監督が何を考えようが自由だし、表現するのも自由。私が好きな作品や映画監督は大概変態なことが多い。
    キムギドクの場合、歪んだ愛情を「純愛」として美しく描くけど、女性を精神的に支配しようとするから嫌なんだと思う。そして本人が本当にそう思ってそうで、インタビューで「男はみんなそう」と一般化して逃げるところも。男の私からしても引く。

    この作品の老人も非常に姑息だと思う。少女の愛が得られなくなり、死にたいが自殺ではなく船で曳かせたロープで首を吊ろうとする。このロープはまた、弓の弦の意味でもある。愛が得られないならせめて少女の手で殺してくれ、といったところか。そして老人は逃げ、消えてなくなる。

    ではどうすれば女性蔑視ではなくなるのか…少女が人生を選択して成長するビルドゥングスロマンの要素を入れればいいのではと思った(その結果、作品が面白くなるかは別)。
    劇中でも少女は選択する。若い男に連れられて外の世界に行こうとするが、老人の元に戻り結婚の儀式を遂行する……。
    『悪い男』でもそうだったけど、それってほんとに自分で選択したことになるの?ストックホルム症候群やマインドコントロール、洗脳されてる状態じゃないのか?
    少女と老人は擬似親子の関係でもあって、近親相姦的でもある。なら親殺しの話にすれば良いのに、少女は老人を殺さず、老人は自殺もできず、ただ逃げて超自然的な存在になる……。
    バイオレンスやセックスを描かなかった結果こうなったのかもしれないけど、表現としてヌルい。そしてキムギドク作品には、女性側の視点がすっぽり抜けている気がする。

    キムギドク、日本だと女性ファンが多いみたいだけど、韓国本国では女性ファンは少ないという話も聞く(そりゃそうだよね)。どういう所が好きなのか話を聴いてみたいけど、私の周囲にはいない。

    ネットで調べると、だいぶ前にツイッターでキムギドク話が盛り上がっていたそうで、そのまとめを読むと非常に面白かった。「そうそう、俺もそこが嫌い!」と納得できるところが多々。「女性ファンも男性主人公側目線で観ているのでは」とふと思っていたけど、そういう意見もあって納得。

    映画に限らずだけど、快感だけではなく不快な表現をしている作品が私は好きだし、芸術作品として評価されているものも多いと思う。キムギドクが好きな人たちも、そういう不快感が好きなのかもしれない。
    『弓』に関しては私の好きな「表現としての不快感や快感」は特になくて、監督のミソジニー的不快感だけが残った……という感じか。
    監督個人の考えがどれだけ歪んでようが、作品として面白ければ私は評価するけど、この作品はそんなに面白くもない。『悪い男』の方は映画的な良さがまだあったと思う。この映画は好き嫌いは別として、駄作じゃないのか。

    それとこの映画はプロデューサーが日本人なので、日本のマーケット向けに作られたのではとも思う。低予算早撮りで有名だそうで……内容もそんな感じ。

    キムギドクに対するモヤモヤを抱えているので(この場合は悪い意味のモヤモヤ)、私はもっと彼の作品を観ようと思っています。

  • キムギドク(金基徳)監督 2005年 韓国映画

    台詞が極端に少なく
    淡々と 海の景色の中で ストーリーは進む。
    眼と顔の表情で、物語を奏でる。
    この作品は 老人ファンタジー物語。

    『あなたの弓は私を守り、夜の終わりに愛を奏でる。』
    弓となり、楽器となる・・・
    激しさと 豊かさが、つながっている。

    年老いて 人を愛することの
    たまらない痛さ。

    海に漂う 船の中で・・・
    老人(チョン・ソンファン)は 
    少女(ハン・ヨルム)が17歳になるのを待ち望んでいた。

    ハンヨルムの 眼の持つ やわらかさ 
    人を好きになることで 眼には喜びがみちる
    そして、
    激しく 非難する眼。
    海がたくさんの表情があるように 
    眼にこんなにも表情があるとは・・・

    映画の中での 何気ないしぐさが あやしく、かなしい。
    韓国にも こんなすごい女優がいるんだ
    と おどろいた。

    キムギドクのもつ『形式美』は、
    海を背景とした 結婚の儀礼が 色彩豊かで
    映画というものの 楽しさを教えてくれる。

    登場する青年は ノムテツさんによく似た雰囲気で・・
    あらら。どうした。青年・・・
    という感じである・・・。

    老人の持ついやらしさ、狡猾さ、嫉妬心、潔さ・・・
    老いることのせつなさ。
    老人は少女を愛してはいけない。
    老人は海を愛すべきだった。
     
    『弓のように張りつめて生きる。緊張のある生』

    老人よ。老いることに、潔くあれ。

  • なんだ!この映画!
    驚きの連続であった!
    生まれて初めてキム・ギドクを見たのですが、好き嫌いわかれるよ!と言われていた意味を理解しました。
    私は好きとか嫌いとか超えて、驚きました。
    こんな映画が存在することが本当に驚きです。

    そしてなんてよくできている映画なんだろう。
    ラストは全然違うけど「フィッツカラルド」を思い出しました。
    船が山超えられんだから、これくらいありやろ!
    という思いを感じました。(ないよ、そういう思いは)

    映画は本当に何でもありなのだ。
    表現に現実なんていう縛りはいらないのだ。
    というより、これほどの不可思議が起こりうるある種の、狂気に片足突っ込んだような「聖性」がこの映画にはあった。

    少女がつながれていないヘッドホンに耳をすませたこと。何を聞いていたのか。
    船が沈んだこと。および勝手に動いたこと。
    青年がキスできなかったこと。および雄鶏を叩いたこと。

    ああ、久々に驚く感動をしました。
    すごい映画だった。

  • 今いちばん好きなキム・ギドク監督作品。設定は『ラマン』ミーツ『橋の下の娘』ってな感じでとにかく艶かしい。が、そんなことより少女の妖しい表情!「官能」ってこういうこと言うんだと思い知りましたよ。全シーンが美しすぎる映画。話は相変わらずブッ飛んでます。

  • キム・ギドクにしては、だけど
    ラストの、初夜の花嫁を念で抱くシーンはさすが
    おっさんの情念すごい(怖い)
    これだけ密接に生きてると、切り離すのはほんと難しいよね。

  • キムギドク大好き。
    これもらしさがふんだんに出てて好きだなぁ。三度目の視聴。

    海に浮かぶ漁船で暮らす少女と老人。どこからか連れてきた少女を六歳から10年育て、老人はきたる少女の17歳の誕生日と共に訪れる結婚の日を夢見ていた。少女は物心ついたときから海の上からの世界と老人しか知らない。
    しかし釣り客としてやってきた大学生の青年に少女は心を奪われ、その日から少女と老人の間に溝が生じはじめる。

    他の作品にも増して色彩豊かで情緒的。青年は喋るけど外の世界の象徴にすぎない、おじいさんと少女の台詞はない。弓でかなでられる音楽と情景がまた良い。でもそういうことじゃない、ポエティックな美しさがある。

    おじいさんの狂気じみた純愛目線で観るか、少女の老人に対する家族愛とも親愛情愛ともつかないあやうい愛と青年への初恋の狭間に立った目線で観るか、それで評価もわかれるかもしれない。

    終盤まで最高だけどラストの方でおそらく誰もがわーおとなるので万人向けではない。そのままそれっぽく終わらせないのがギドクらしいんだけどね。ひねくれもののあなたにお勧め。えーい五つ星つけてしまえ。

  • 船の上で暮らす、老人と少女の物語。
    そこからして非日常。船を訪れる人の様子から現代なことが伺えるけれど、それさえも信じられない不思議な世界で、船に掲げられた色とりどりの旗と少女の服の色がなんとも美しかった。

    『今日も一日、
    あなたの弓はわたしを守り
    夜の終わりに愛を奏でる』

    このコピーの通り、胡弓で奏でられる音楽も情緒的。
    老人が少女に向ける感情は欲以外のなにものでもなかったけれど、言葉を一切交わさずに分かり合う二人の間にあるものが、愛じゃないとはけして言えない。

  • こんなに言葉の少ない映画は初めて見た。

    主要人物2人、少女と老人は、一切言葉を発しない。
    弓占いの結果を伝えるときだけ、耳打ちする。
    あとは、笑い声と、泣き声だけ。

    少女がとにかく美しい。
    少女ってどうしてあんなに特別で、
    希望を与えてくれるんだろうか。

    老人が少女に抱いた絶対的な愛情が、
    一切会話が交わされない中でも充分伝わって来る。

    映画でしか表現できない作品だなぁと思った。
    深く、深く残る。

  • 『サマリア』で少ししか出なかったハン・ヨルム
    幼さの中にあるあの妖艶さ
    挑戦的な目、憎しみの目
    セリフがないだけに表情にうっとり

    弓占いの時にブランコに乗り
    老人を見つめる少女の目
    ゾクゾクするようなあの視線

    最後の最後で老人が身を投げて終わりかと思ったら
    さすがキム・ギドク
    なかなか面白いエンディングでした
    肉体的な結びつきより精神的な結びつき
    あの血は生々しいけど美しい

    海に空
    カラフルな船に少女の服に結婚衣装
    弓が奏でる音

    透けるような少女の肌
    老人の愛とも言えない愛

    美しいギドクワールド


    【Scene from The Bow by Kim Ki-Duk】
    http://www.youtube.com/watch?v=ltjT5IF4r10

  • 少女の究極の美しさが、コインの裏表の関係で究極の官能をも見せる。一瞬なんだけど、すげぇぇ…と圧倒されてしまった。この老人と少女は精霊とか仙人のようなものだと思う。(2005 韓国)

  •  釣り船を営みそこで生活する老人は少女を囲っていた。その少女が17歳になると結婚する予定だったが、一人の青年が関わることで老人と少女の間に変化が。。。

     『橋の上の娘』や『トーク・トゥ・ハー』を思い出した。道具や行為に性的なメタファーがあり、醜い感情を美しい映像と音楽で見せる。弓は美しい音色を奏でることもあれば、人を傷つけることもできる。
     いい映画だと思うが、その後のキム・ギドクが#MeTooの流れの中で告訴されたことを考えるとマイナスの印象が強くなってしまうと感じた。

  • 2024/11/10
    変な映画。


  • Amazon prime
    前から観ようと思っていた作品だけど、勝手に寓話的な時代劇と思ってたら思いっきり現代劇じゃん笑笑
    音楽と二胡の動きが全然合ってないなw
    これって要するに拉致監禁モノなんじゃないのか?「完全なる飼育」?
    この女の子と結婚式を挙げるつもりでまだかまだかと準備を進めて来たオッサンもキモいけど、良い人ぶっててもすぐキスしようとしたこの青年もキショいです。
    首を絞めるロープを根性で乗り切ろうとするオッサンの未練たらたら…
    何故雄鶏だけ叩く?八つ当たりか?笑笑
    なんや酷い物語やったなぁ〜この作品は何処に主眼があるの?何処で拾ってきたのか少女を10年も船の上で隔離して育てた男は16歳になったらその娘と結婚式をするつもりでせっせと衣装を買い込んでいた。若い男がやって来たことで思春期となる少女に恋心が芽生え…酷い話だったけどね。これ評価高い作品なのかな?調べたら賛否両論だった。安心した…笑笑

  • 制作年:2005年
    監 督:キム・ギドク
    主 演:チョン・ソンファン、ハン・ヨルム、ソ・ジソク
    時 間:90分
    音 声:韓:ドルビーデジタル5.1ch、日:ドルビーステレオ


    10年前にどこからか連れてきた少女を育てながら、漁船で生活する老人。
    彼はもうすぐ17歳になる少女との結婚の日を待ち望んでいた。
    しかし、少女が釣り客の青年に心奪われ、船内に険悪な空気が流れる。

  • かなり倒錯した作品なのに、気色悪いとすら感じていたのに、最後は崇高な気持ちになってしまいました。
    お爺の気持ちも女子の気持ちも青年の気持ちもわかる…喋ってるの青年しかいなくて、お爺と女子は一言も台詞がなくて表情だけなのに気持ちがわかる。すごい。

    拐ってきた女の子を育てて、17歳になったら結婚することを夢見てウキウキしているお爺、初めはかなり気色悪く感じていました。
    女子がかなり妖艶で。このかた、『サマリア』でニコニコしてたかたですよね…女優さんってすごい。睨みも誘う視線も笑みも、ドキドキしてしまいます。

    青年の望み?も虚しくお爺と女子は結婚式挙げるのですが、船でふたりきりになって…えっこのあとまさか!?って思ってたら、お爺の想いの遂げ方がまた。。
    空に放った矢で、天に判断を委ねたのですよね。そして赦された、と。お爺の命はその前に無くなってるけど。(正直、ふたりがそのまま致し始めなくてホッとしました……)

    女子と青年が船を離れ始めると、無人になった、住んでいた船が沈むのもいい。
    お爺の幻想で出来ていた空間だったんだな。。

    好きな作品です。キム・ギドク作品凄いな…もっと観たかったです。合掌。

  • 笑えた。この時期のギドク映画に共通する根っこの静謐さ洗練さはなんだろう

  • 船上で二人っきりの言葉のない生活を送る老人と少女。
    もうすぐ二人は結婚するのだ。
    少女はまだ恋も知らない。
    そんな二人だけの世界に青年が訪れたことで少女に変化の兆しが..
    老いを感じる男性にぜひ観て欲しい映画。
    キム・ギドク監督の作品にはいつもエロスを感じます。

  • キム・ギドクの頭の中おかしすぎて付いていけない。いい意味で。

  • やっぱりキム・ギドクですよね~。これもまた最低な人間が出てくる映画でした。そこがたまらないですわ。
    この映画の主人公の老人は、少女に対する「純愛」を気取っているんですが、実はそんなことはない。ただのロリコン童貞野郎なんですよ。
    自分の言うことをなんでも聞くように、誘拐してきた少女を10年間かけて育て、その女の子と結婚する日を勝手に設定して(しかも、思惑どおりに行かないとなるとその日程を切り上げてしまうという節操のなさ)、カレンダーにハートマークを書いているわけで、これはもう立派な犯罪者ですよ。しかもその少女から捨てられそうになると狂言自殺を図ったりするんで、最悪ですよね。
    まあ、こんな最低の男が出てくるのがキム・ギドクの作品で、しかも、そうした最低男に尽くす女が今回も出てくる。それが誘拐された少女なんですね。「男の妄想」炸裂です。
    もちろん、その妄想が妄想のままで終わったらただのAVなんですが、そうではないところでキム・ギドクのすごさが現われているんですが・・・。

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