麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション [DVD]

監督 : ケン・ローチ 
出演 : キリアン・マーフィー  ポードリック・ディレーニー  リーアム・カニンガム  オーラ・フィッツジェラルド  ウィリアム・ルアン 
  • ジェネオン エンタテインメント
3.75
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本棚登録 : 386
感想 : 92
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102353537

感想・レビュー・書評

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  • 悲しい話やん。

    てか、登場人物が誰が誰だか最後までよくわからんかったが。。。

    最初は、自由のため、正義のためと立ちあがって暴力で解決しようとしたが、気付いたら仲間をも殺すことに。

    最後には実の弟まで。

    なんか、ちゃうやん!

    裁判のシーンがその象徴だったと思います。
    公正な裁判をすることが正しいのか、それとも自由を手に入れるための武器を調達するために罪人を救って戦争に備えるのか。

    何を目的にしてるかによって、ズレてくる。

  • 「僕は解剖学を5年学んだ。なのに、今はあの男を撃つ。..それだけの価値のある戦いだろうか」

    原文は" I studied anatomy for five years, Dan. And now i'm going to shoot this man in the head. ..I hope this Ireland we're fighting for is worth it. "

    俳優によって演じられているということを忘れてしまうくらい、リアリズムが徹底されている映画。
    アイルランドの反英闘争をヒロイックに描くのではなく、内部抗争に焦点をおきながら「理想」の顛末を映す。

    エンターテイメントではまったくない。
    デミアンの一つ一つのセリフが観客に問われ、緊張を強いられる映画でもある。

  • アイルランドの独立戦争をともに戦った兄弟が、
    手にした和平条約の受け入れをめぐって対立していく様子が、
    見ていてとても悲しい。

    独立戦争の中、虐げられ、怒り、戦っていた仲間達が、
    和平条約を手にしたのは、ある意味ゴールであるはずなのに、
    立場や妥協点の違いによって、対立し内戦に発展し、騙し、殺しあうー
    結局、独立戦争中と同じことを繰り返している姿に、
    同じものに憤り、戦っていたはずなのにーという哀しさを感じる。

    逆を返せば、独立戦争で戦っていたもの同士も、立場や解釈の違いさえなければ、共に肩を並べることができる人間のはずであるーと描いているのかな?と感じるが、
    そう感じるとなお更やりきれない、とてもいい映画だけど、苦しい映画。

  • 戦争映画を観るといつも思う事だけど、人はみんな相手が自分の大切な人かどうかで気持ちや解釈が変わる。

    自分の大切な人が誰にも理解されないような事をしても、それには何か理由があったと思えるのに…

  • アイルランド独立戦争とその後のアイルランド内戦を背景に、英愛条約をめぐって対立することになる兄弟を描いた戦争映画。
    ロンドンで医者として暮らそうとしていたダミアンは日常的なイギリス兵の暴行や友人の殺害にたまらなくなり、IRAのメンバーとなり闘争に身を投じる。幼馴染の密告者の処刑、重要メンバーである兄のテディを狙った逮捕、脱獄の末、条約の締結を知り喜ぶが、内容はイギリス国王に忠誠を誓うというものだった。
    撤退していくイギリス兵に安堵し、条約を批准しようというもの、完全な自由を手に入れるまで戦おうとするもの、兄弟は殺しあうことになる。

    アイルランド内戦のことはU2のBloody sundayなどでうっすら聞いたことはあったけど、原因が何で、なぜ戦っているのかがいまいち分からないままだったけど、そこらへんがとても分かりやすく描かれていて勉強になった。

    昨日まで助け合って自由を目指していた人々が殺し合う様子が悲惨。イギリス兵の非合理すぎる植民地運営にも疑問。人々を虐げることだけが目的に感じる。当時、イギリスの上層部は何を考えていたのかも知りたくなった。

  • 最近までケン・ローチを見たことがなかったのはなぜかと言うと、一重にタイトルがふんわりしていたから。
    「わたしは、ダニエル・ブレイク」やこれは、そのままの邦題ではあるが、タイトルだけだと、この作品はロマンチックな感じがするし、ダニエル・ブレイクは、コミカル、ユーモラスな感じがする。「家族を想うとき」は、原題とは違う邦題がおかしいが、これもタイトルだけだとハートウォーミングな家族愛の物語って感じがする。
    で、3作しか見てませんが、共通点は救いがないってことですね。だから、邦題で判断してはいけないなあ、と。

    これは1920年のアイルランドを舞台に、IRAの活動に身を投じた兄弟を描いている。
    IRAに関しては、今も火種は燻っており、状況次第では再び大火になる可能性も孕んでいる。
    ということは100年以上続いているということ。
    Wikipediaによると、保守的なメディアがIRAを美化していると批判したらしいが、そんなことは全くない。敵に情報を流したと殺された仲間はまだ17歳。まだ判断力もなく、貧しい少年を仲間が殺すというのは、主人公も言う通り「一線を越え」ている。また、貧しい人に法外な利息を吹っ掛ける高利貸しを、武器購入の支援をしているという理由で、法の裁きからIRAが守るシーンもある。
    何より切ないのは、国の独立と人民の解放を目指して共に戦っていた兄弟が、考え方の違いで敵対し、悲劇に至るところ。
    兄弟でも政治信条が違うというのはままあることで、平常時には何の問題にもならない。たまに言い争う程度のもの。
    それが、戦時にはこんな悲惨なことになる。
    言ってみりゃ立憲民主党と国民民主党くらいの違いしかないのよ。(野党にたとえるのは、与党がイギリスに近いから。)
    イギリス兵に息子を殺され、娘、母、祖母だけの所帯になった家にイギリス兵が武器を隠しているだろうとやって来て、娘を羽交い締めにして髪を切り落とし火を放つシーン。内部が全て焼けてしまい、暫くはよその家に身を寄せるしかない、と皆が考えたとき、祖母が抵抗する。父が餓死して以来、ずっとここで暮らしてきた。死ぬまでここを動くつもりはない、と。しかし、どうやって暮らすの?と娘が聞くと、鶏小屋に住む、と。鶏小屋と言っても納屋位の大きさはあるのだが、まさにその鶏小屋で、息子(祖母の孫)はリンチの末に殺されたのである。そこでは辛すぎて暮らせないと言う娘と母を尻目に、意思を貫く祖母。それだけのシーンで、この祖母が如何に辛酸を舐めてきたかが伝わる。本当に胸を抉る。
    また、主人公が栄養失調症で死にかけている少年を往診するシーン。
    イギリスと見せかけの和平条約を結んでも、本当に貧しい人々は救われない。そこそこの生活ができる人にしか恩恵はないのだと主人公は悟る。

    アイルランドとイギリスの紛争を描く映画ではあるが、中心の兄弟がきちんと描けているため、普遍的な物語ともなっている。
    ケン・ローチ、すごい。
    ケン・ローチがパルムドールを何度も取って、国際社会にこれだけ真の平和と平等を訴えているのに、世界はあまり変わらない。
    タイトルがふんわりしているというだけで、今まで見ていなかった自分にも責任があると思う。

  • ケン・ローチは、社会の制度や関係に翻弄される個人を描いてきたと思う。映画の材料が戦争であってもその姿勢は変わらない。
    同じように独立(主権)と平和を求めてきた仲間が、微妙なズレによって引き裂かれていく。もちろんそのズレは意図的に仕組まれたものなんだけど、後々振り返って体制側に寝返った人たちを転向と断罪することは容易い。引き裂かれる兄弟の憎しみに戦争の非情さを痛感させられる。
    世論がナショナリズムに傾倒しつつある時、その先に戦争や紛争の匂いが漂い始めた時、この映画を観ることで、そうした動きに抵抗し続ける意味は何なのか、改めて思い起こさせてくれる。
    何よりキリアン・マーフィーが素晴らしくて、ケン・ローチの映画という点を差っ引いてもファンになったと思う。

  • 内戦地区で生きるアイルランドの人々の尋常じゃない生活を突きつけられた。
    何が正しくて自分は何を選択すべきなのか、戦いの中で仲間の屍を背負って、自分の犯した罪に常に責められながら生きている。
    アイルランドとイギリスの歴史についてあまり知らなかったので、1920年代にこんなことがあったのかと衝撃だった。

    ケン・ローチ監督のは遣る瀬無くなる…。

  • 住人その二がチョイス。

  • IRA発足の頃のアイルランド紛争を描く映画
    北アイルランドに行ったことがあるので、印象に残った。

    タイトルはどういう意味があるのだろうか。。。

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著者プロフィール

映画監督。
1936年、イングランド中部・ウォリックシャー州生まれ。「キャシー・カム・ホーム」で初めてTVドラマを監督、『夜空に星のあるように』で長編映画監督デビューを果たし、『ケス』でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリを受賞。その後、世界三大映画祭などで高い評価を受け続けており、カンヌ国際映画祭では『麦の穂をゆらす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』の2作でパルム・ドールを受賞。

「2020年 『家族と社会が壊れるとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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