明日へのチケット [DVD]

監督 : エルマンノ・オルミ  アッバス・キアロスタミ  ケン・ローチ 
出演 : カルロ・デッレ・ピアーネ  ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ  シルヴァーナ・デ・サンティス  マーティン・コムストン 
  • ジェネオン エンタテインメント
3.59
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本棚登録 : 136
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988102353834

感想・レビュー・書評

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  • ローマへ向かう国際列車に乗り合わせた人達のオムニバス。

    1枚目のチケット
     飛行機が欠航になり急遽列車で帰宅することになった老齢の研究者。
     列車の中で、チケットを手配してくれた女性(研究者からしたら若い)への思いがつのる。
      この話は退屈だった。
      親切で美しい女性ではあるけど、その日会ったばかりで惹かれるのがしっくりこなかった。年もだいぶ違うし、と思うのは日本人的感覚かな。

    2枚目のチケット
     非常に横柄な女性の旅に付き添う青年。
      とにかく女性の言動が酷い!親子でもないのによく付き添うわ、親子でも嫌だわ!と思っていたら青年は途中でいなくなってしまう。
      女性とトラブルになった人達が「あの年ごろの女性は難しい」と言っていた。妙に納得してしまうのは偏見か?ちなみに青年は「女性はみんな難しい」と言っていた。
      最初の携帯電話のトラブルは完全に相手が悪いんだけど、まともに女性に謝らないのが異文化!?だと思う。自分の携帯を女性に盗られたと思い込み、車掌まで巻き込んで騒いだのに結局自分の席を間違えただけ。この手の誤解は誰にでもありますよみたいなことを言うのも言われるのも普通じゃない(私の感覚)。女性も疑われた時にさっさと携帯を見せればいいのに鞄から出さないし。イタリア人はトラブルが好きなのか?!他人に関わるのが好きなのか?!

    3枚目のチケット
     セルティックファンの3人の青年と難民家族。
     セルティックファンの切符を難民家族が持っていたことで車内で大騒ぎに。
      途中まではワイワイ楽しそうだったのに、他の乗客おかまいなしに大喧嘩するのが凄い。公衆の面前であそこまで感情をあらわにするのが日本と違うなぁと思う。でも面白い。失くした切符の罰金のために積立金に手を着けようとしたところ、1人がイタリアの革靴に使ってしまったことが分かるところとか。

    話がずれるけど、日本の電車って基本は乗り降りが楽だなと思った。
    映画に出てくる電車は、ホームが低くて乗降口が高い位置にあるので乗り降りが本当に大変そうだった。

  • 三人の名監督によるオムニバス映画。お気に入り監督のアッバス・キアロスタミとケン・ローチが2話と3話を撮っているので期待して見ましたが、期待を裏切らない面白さ。1話を撮っているエルマンノ・オルミとは相性が良くないのですが、この映画でも私には合わない感じです。

  • ☆☆☆☆☆
    3つのストーリーと1本の大きなストーリーがその背景に流れている映画。3人の監督の合作。
    第1章は1人の薬学者とアルバニア移民を映し出しながら、その対比を中心に狭い列車内の乗客たちをひとつの社会の縮図にみたて表現しています。特に印象的に感じたのは“格差”でした。授乳のシーンが多様な社会の交差点の様に描かれていました。

    第2章は傲慢な女性とそれに従う青年の関係、そしてその女性を見る私たち鑑賞者の偏見を見事に炙り出していました。「ああいう年頃の女性は扱いが難しい」と言った乗客の言葉は後付けで見事に私の偏見を言い当てていました。(ドキッ)

  • 1話目、2話目はまあいいとして、3話目は予告を見る限り結構いい話なのかと思っていたのに、なんとなく釈然としない内容だった。確かに皆さんのご苦労はご苦労として理解できます。が、しかし。。。それはそうと電車の中では静かにしてくれよ。

  •  アルバニア。ギリシャのお隣の国なのね。ギリシャの隣はトルコだけだと思ってた。他にも国があったんだ。
     1978年(昭和53年)~1992(平成4年)まで鎖国…。他の国と地続きでも、鎖国ってできるんだ?国境を厳重に封鎖しちゃえばできるか…。なんか、その頃のアルバニアはソ連の一員だったんだけど、独裁者が国交のあった国相手にキレまくった結果、鎖国することになったみたい。
     1992(平成4年)の選挙で政権が交代して、鎖国が解かれた。ついでにソ連が崩壊する一足前に、民主国家にもなった。だけど、国際社会の仕組みも資本主義流の金融のことを何も知らなかったアルバニア人たちは、詐欺師の良いカモだったみたい。国中がネズミ講に引っかかって、国家が破綻したんだって。
     このネズミ講は、アルバニア政府も黙認してたそうだ。ネズミ講と武器の密輸が、当時のアルバニアの経済成長の柱だった。どうかしてる。
     1997(平成9年)年に周辺国の紛争が終わり、武器の密輸ができなくなると、ネズミ講の会社が破綻。お金の流れが止まったせい?一文無しになった全国民の1/3が暴動を起こし、内乱の一歩手前の状態になった。国連の武力仲介も入り、当時の国家主席が退陣したことで騒動は収まった。んだけど、無一文になった人たちは、難民になって近隣国、主にイタリアへ流れていったらしい。
     軽くググっただけのざっくりした知識だから、間違ってるとこもあるかもだけど、8年経っても、アルバニアの経済は混乱したままだったのかな?この映画が作られてから、もう10年経ったけど、今はどうなんだろう?

     そんなアルバニアから脱出して、父親のいるローマを目指すアルバニア人家族が、常に背景にとけ込んでいる映画。

     ほんの少し、ほんの少しだけ、すれ違う人生への想像力を持てたら…。
     何も変わらないかもしれない。手に負えない大問題は手に負えない大問題のまま。それでも、ホームにひとりきり、途方に暮れる未来を、迎えずにすむかもしれない。

     アホなサッカーファントリオの登場で、映画の雰囲気が、いきなり変わって驚いた。途中までは、はしゃぎまくってる間抜けな観光客っぷりに苛ついたけど、だんだん好きになっていって、ラストの逃亡ではさわやかな気持ちになる。
     色々考えながら見ても、何も考えずに見ても楽しい映画。

  • エンマルノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチという3人のパルムドール受賞者によるリレー映画「明日へのチケット」。

    オルミ編もキアロスタミ編もいいのですが、サッカーファンには答えられないのがケン・ローチ編。
    ケン・ローチ編は、スコットランドのスーパー店員の若者3人組がCL準々決勝進出を果たしたセルティックの応援のためにローマに向かう列車の中で出会った試練を爽やかに(ローチにしては珍しく)痛快に描きます。
    マンチェスター・ユナイテッドのレプリカユニを着ている少年は「ベッカム!」と呼びかけられても、「ほんとはラーションのファンなんだ」と答えてあげる礼儀をわきまえています。
    この映画が日本で公開された年、セルティックとローマは本当にCLで快進撃したのでした。
    実際に対戦はしなかったけど。
    私がこのとき応援していたベンフィカ(カリャカがいたのだ)はセルティックに蹴落とされ、信じがたい思いでした!

    セルティックファンの一人を演じたマーティン・コムストンは、前作「SWEET SIXTEEN」撮影当時モートンFCでプレイしていた元プロ選手です。

    ラストはややローチらしからぬ、しかしさわやかな締めで、よろしいのではないでしょうか。

    「オデッサ・スタジオ」より転載。

  • エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチという巨匠監督3人による夢のコラボレーション!ひとつの作品をつなげるオムニバス作品でそれぞれの主題も面白くかなり見れる作品です。

    「明日へのチケット」

    ですが、どうも生理的に無理だなぁ~wwwあのセルティックファンの3人のうちの坊主頭の少年を見ていると…役者さんとの相性もありますけどいい作品と思いつつももう一度はないかなぁ~w

  • エルマンノオルミによる1枚目のチケットは、最後に「よし」と、ガッツポーズができる。

    2枚目のチケットはキアロスタミ。会話劇が得意なだけあって、魅せる。特に、癇癪を起こす女と携帯電話問題、どう見ても女がパクったと思ってしまう。そして、駅のホームで取り残される。うまい。

    3枚目は超絶イライラなので、見なくてよろしい。

    【ストーリー】
    1枚目のチケット:初老の大学教授(カルロ・デッレ・ピアーネ)は、ローマに帰る飛行機が全便欠航のため、仕事相手の女性秘書(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)に便宜を図ってもらい列車で帰ることに。列車に乗り、彼女にメールを書いてみようと思いつくが文章は進まない。窓に目をやると、自分が彼女と食事をしている姿や、若き日の初恋の少女が見えてくる。通路には移民らしき家族が赤ん坊を抱え、疲れきって座っている。教授は自分でも思いもよらない気分になり、ミルクを注文すると、空腹で泣いている赤ん坊の元へ運んでゆく。

    2枚目のチケット:列車はイタリアの小さな駅に停車する。太った中年女性が青年フィリッポを連れて列車に乗り込む。フィリッポは兵役義務の一環として、将軍の未亡人の手助けを命じられたのだ。しかし彼女の傲慢さに振り回されていた。夫人は車内を強引に進み、一等車の空席に腰を落ち着ける。一方、フィリッポは同郷の少女2人と出くわし、昔の話をするうちに情熱を持っていた自分の姿が浮かんできた。未亡人のわがままに我慢ならなくなったフィリッポは列車を途中下車し、彼女は一人、プラットフォームに取り残される。

    3枚目のチケット:ビュッフェでは、スコットランドからやって来たジェムジーとフランク、“スペースマン”が旅を楽しんでいた。旅の目的は、ローマで行われるセルティックF.C.対A.S.ローマのアウェー戦を観戦すること。彼らはベッカムのユニフォームを着た少年と出会い、サンドイッチを分ける。少年はアルバニア出身で、ローマで働く父親に会いに行くと言う。そんな中ジェムジーの乗車券が紛失し、車掌は「乗車券を探すか新しい乗車券代と罰則金を払わないと、警察に引き渡す」と迫る。貧乏旅行を続ける3人に余分な金などあるわけがない。フランクが、あの少年が乗車券を盗んだのではないかと言い出す。果たして少年を問い詰めると、乗車券が出てきた。一家は不法移民で、この旅が父親と再会して故郷に帰る最後のチャンスだと言う。もしも車掌に見つかったら強制送還されてしまう。3人は初めて移民問題に直に触れ、戸惑いを隠せない。列車がローマに着いた。悩んだ末にジェムジーは少年にキップを譲り、鉄道警察に連行される。しかし駅にいたサッカーファンが大騒ぎを始め、混乱に乗じて3人はローマの街に飛び出す。ホームでは、アルバニア人家族が父親と抱き合っていた。

    「木靴の樹」のエルマンノ・オルミ、「桜桃の味」のアッバス・キアロスタミ、「麦の穂をゆらす風」のケン・ローチが参加した3話構成の人間ドラマ。ローマへ向かう列車を舞台に、重なりあう登場人物がそれぞれの物語を紡いでゆく。

  • 同じ列車に乗り合わせる乗客たちは、列車という同じ空間、移動する同じ時間を共有するが、彼らがどこから来たか、そしてどこへ行くかはみな違う。たまたま同じ列車に乗り合わせることによって重なる人生は、そのただ一度きり。

  •  アッバス・キアロスタミの「友達のうちはどこ?」が見たかったけど、ツタヤにないのでこれを見ました。
     列車群像劇です。鉄道好きには、面白いです。3つの話がうまく絡んでます。コンパートメントの列車に乗ってみたくなりました。

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