CURE キュア [DVD]

監督 : 黒沢清 
出演 : 役所広司  萩原聖人  うじきつよし  中川安奈  洞口依子 
  • 角川書店
3.81
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4988111283900

感想・レビュー・書評

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  • 間宮は催眠を施すにあたり、ひとりの人間のもつ属性をひとつひとつ引き剥がしてゆく。
    『おまえはだれだ?』と問いかけ続ける。
    人間は、他者からのまなざしによって作られた自己像を持つことで自己を自己として認識している。
    まずはそれぞれが社会の内で与えられ、演じる役割によって自己同一が保たれる。職業、住所、年齢、出身地、性別、名前。
    人間はことばでラベル付けされていることで自己の自己性を他者に示すことが出来る。
    『おまえはだれだ?』という問いかけによって間宮は、これらのことばの世界、ラカンのいう象徴界の領域をひとつひとつ抜き取ってゆく。
    『本当の自分』に辿り着くことは困難である。
    人間から付随する属性を取り除いてゆくと、タマネギの皮を剥いてゆくように最後には何も残らなくなってしまう。
    間宮は自分の名前や、経験したこと、それらすべての記憶が無い。
    それらを記憶しておこう、自分に繋ぎ止めておこうという執着もみられない。間宮は自己が空洞化した人間である。
    ただの狂人のようだが、崇高な、人間を超越した聖人のようにも見える。
    何者でもないものは、何者でもないが故に何者にもなれてしまう。

    間宮は自己が揺らぎ、社会的なラベルを抜き取られ、抑圧されている無意識の層に沈む人間の、抑圧された欲望を写し出す鏡のような媒体となり、深層に書き込まれている欲望を操作し書き換えてしまう。アンカーというある行為における発火装置のようなもの、そしてトリガーというアンカーを発動させる引き金となるものを設定しプログラムする。するとプログラムを書き込まれた人間はその後トリガーと出会うことにより、その書き込まれた内容の行為を、意識しないままに行ってしまう。
    ことばの世界に棲まない、深層に語りかけ、深層に引込もうとする間宮と対話するものは、自己の無根拠さ、脆弱さを露呈する。
    間宮にはそれらの行為を行うための目的が存在しないように描かれている。なぜそれをするのか分からない恐怖。社会は沈黙・虚無を好まない。ひとは意味の不在を恐怖する。

  • 登場人物の誰が正常で誰が異常なのかわからなくなる映画だった。点滅したり揺らいだりする光、登場人物たちの発する音の使い方が印象的だった。とにかく他者に殺人を起こさせる間宮の言葉と彼に執着し真相を追求する高部を中心に彼らの周囲が変化がしていく様子がひたすら恐ろしく感じた。ラストも色々な解釈があると思うが、私は高部が新たな伝道師になったのではないかと思った。

  • 天才心理学者 間宮は、
    人の不安につけ込んで無防備となった処にライターの火で催眠をかけ、
    人を殺させ(のどに“×”を斬りつけさせる)、不安を解消させた、癒してあげた、と
    のたまうトンデモナイ奴です。
    高部刑事は、精神病の妻の看病と、終わりのない刑事の仕事を抱え、毎日大変です。

    「この火を見て!」
    ― 高部刑事から職質中の間宮は いつもの手口で高部を催眠に掛けようとします。
    バシン!「ふざけるな!質問に答えなさい!」
    ― 仕事中の高部は火には見向きもせず、ライターかざす間宮を叱り飛ばします。
    「あんた、、、すごいよ。」― お約束に乗ってこない刑事に 型なしの天才心理学者。。。
    >コントか!!!ホラー映画なのに 突っ込んでしまいました。

    高部刑事は、結局この後、さんざ不満をぶちまけて 放心した処を
    まんまと間宮に催眠かけられてしまいます。
    他の被催眠者は犯行後、罪の意識に悩むのですが、
    高部刑事はむしろ解放感でいっぱい、といったご様子で、他者を“癒し”続けます。
    ま、恐らく間宮は この性質を見抜いたので、シンパシーを感じたという処なのでしょう。

    東欧だかインドだかの映画で観たような気がする、
    催眠をかけられた高部刑事が妻と二人で 雲の中のバスに揺られるシーン以降、
    物語はどんどん結末に向かいますが、筋が判り辛い展開でした。
    しかし、でんでんの狂気には いつもぞっとさせられますが、
    うじきつよしの演技には やはり馴染めません。

  • 黒沢清監督作品。
    原作は未読。

    首両脇の頸動脈を胸にかけて、
    バツ印に切り裂く、
    という不気味な殺人が続く。
    その捜査にあたるのが、
    役所広司演じる刑事・高部。
    手口は同じなのに、
    犯人、被害者ともに横の接点はない。
    連続猟奇殺人を追うにつれ、
    背景に一人の記憶障害の男の存在が、
    見え隠れしてくる。

    サイコ、邪教、カルト、メスマー…
    そんなキーワードが好きな人にはお勧め。
    個人的に黒沢監督の、殺伐とした、無機質で、病的な、
    建物の内部の演出が好きだ。
    雑居ビルや、病院、取り壊し寸前のビルなど、
    なんてことのないシーンでも、不安に襲われ、
    同時に、癒される感覚にもなるから
    不思議である。
    難解であることを覚悟するも、
    意外とわかりやすく鑑賞。
    黒沢作品に慣れていれば問題なさそうだ。

    この映画が「リング」より先に撮られているのが、
    驚きである。

  • 何度も何度も何度も見ているが、何度見ても凄い。
    これは邦画史に残る大傑作だと思う。
    今回はバスの最後部に乗ってこの映画のあの場面を思い出したので見てしまった。
    あの音楽がまた素晴らしかった。

  • 2020年8月、ネトフリで2回目鑑賞。黒沢監督の代表作ながら、わたしは比較的そんなでも…と思っていたのだが、「何を観ていたのか自分」と猛省している。初見時は『エンゼルハート』と重ねてしまって、それがノイズになって集中して細部を観れてなかったのかな?もしくは前回観たときより煮詰まっていて、登場人物の気持ちがわかるようになったのか?
    専門用語がよくわからなくてうまく説明できないのだが、全カット完璧に次ぐ完璧なのでは?なんの変哲もない洗濯機とかシステムキッチンとか扉から、明らかにおかしい診察室や警察内、バスの外の景色まで、好きな場面の連続だった。
    今回凄いなと思ったのは、小学校の先生の妻への秘めた憎悪がたったひとことのセリフで滲み出す瞬間。そこから続く、女医さんの過去の性差別への憤り、ラストのファミレスのウェイトレスさんの苛立ちまで(刑事の妻への憎しみは言うまでもなく)いちいち納得で、自分の近しい人から同じような憎しみをぶつけられるのでは?という不安が真実味を帯びてきて、怖い怖い。そして、期待をはずさない諏訪太朗さんと大杉漣さん…。
    これは無粋かもしれませんが、蓄音機の場面、日本語字幕がないとさっぱり聞き取れなかったのに(不気味なノイズとして、そもそも聞き取ろうともしていなかったかも)字幕つけるとそうとしか聞こえなくって怖かった…。『CURE』ってそういうことなのね…。古い映像とか音声がかきたてる恐怖といえば『リング』というイメージだったけど、その前年の作品なんですね。いろいろわかってなかったので、勉強して出直したいです。

  • ヘルレイザー2同様、怖くて二度と見たくない映画。映画としてダメだとは言ってない。

  • 幻想的、象徴的。なぜCURE(癒し)? 萩原聖人Good。原作読みたい。ファミレスのラストも???

  • 映像が不気味でイイ!

  • 2016年9月頃鑑賞。

    若い頃見たときはすごい映画だと思ったけど、今見ると訳がわからなかった。

  • 一歩間違えると陳腐になりそうなネタを語りすぎないことで上手くまとめている感じ。役所広司と萩原聖人の演技のおかげか。映画で語られていない部分は小説版で補完できるそうです。古びた部屋や建物等、背景の撮り方が不気味でいい。終始不安感が漂う。結末は全く想像できなかったわけではないけどなかなかゾクッとする展開。ラストシーンも上手いところでカットしてある。サイコパスを描いた映画として、リアリティがあるわけではないけれど描き方が面白い映画です。

  • ちょっと何いってるのかわからなかった。

  • よく分からないままに
    巻き込まれながらも
    どんどん奇妙な感じが感染していく
    かのようなスピードと乾いた感じで
    「狂い」を描く日本映画はなかなか
    なかったのではないかと好印象。
    結末はけっこうトンデモな着地点だけど、
    そもそも筋の通った「狂い」映画なんて
    それこそナンセンスだから、
    このくらい疑問が残る結末がかえって良作かなと感じる。

  • 面白かった。

    心から重荷は取り除かなくてはならない。
    ありのままの自分にならなくてはならない。

    それこそ癒し。
    さぁ、解放を伝えなければ。

  • 訳がわからないものの、
    じわりと伝染していくX。

    焼かれていない肉が恐ろしかった。

    何度か見ているが、
    いつも怖い。

  • 高部刑事(役所広司)が徐々に犯人(萩原聖人)を追い詰めますが、自身も犯人の催眠にかかりそうで観賞者は不安に駆られます。どこからが催眠でどこからが自分の心理なのか判らなくなる感覚はとても怖いです。見終わった後にゾクッとくるラストシーンも秀逸で、和製サイコホラーとして優秀な出来だと思います。
    ただ、意図的というにはあまりにも説明不足な部分があり、見終わった後に多少モヤっとするのが残念です。

  • かなり淡々としたサスペンスなんですがオカルト要素もあり、独特の雰囲気のある映画です。引きの長回しのシーンが多く、ちょっと霞みがかった映像と合わさって始終怪しい空気感が漂っております。
    ストーリーは解りそうで解らない、かと言って投げっぱなしでもない微妙なところが良かったです。
    間宮役の萩原聖人さんの演技が、うまいってわけじゃないんですけど何か好きでした。

  • 学生の頃に映画館で初見。
    当時はかなり衝撃的でした。

  • 怖かった。
    緊張感ある展開で長さもちょうど良かった。
    脇役はここ10年-15年ぐらい変わってないことが分かる。

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