秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

監督 : 新海誠 
出演 : 水橋研二  近藤好美  尾上綾華  花村怜美 
  • コミックス・ウェーブ・フィルム
3.75
  • (415)
  • (471)
  • (463)
  • (111)
  • (35)
本棚登録 : 2661
感想 : 574
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4560107150245

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  新海誠監督の作品だということで手に取ってみました(といっても,PrimeVideoだけど)。2007年の作品。
     アニメーションとは思えない光の表現や電車の景色など,後ほどに続く映像美の片鱗があちこちに見られます。というか,新海監督の作品って,現実よりも現実っぽい描き方をしているみたい気がします。光なんて,あんな風に射すことはめったにない,けど,きれい…みたいな。
     全体は3話に分かれているものの,それぞれの話は独立していそうでつながっている,そういうことがすべて第3話でつながります。第3話の映像と音楽とのコラボは圧巻です。これ,映画館で見るとけっこう鳥肌が立ちそうです。
     切ない幼い男女の物語と言ってしまえば身もふたもない。この映画の解説に「叙情的に綴られる三本の連作短編アニメーション」とありましたが,まさに叙情詩を読んでいるような映像。
     桜,雪,鹿児島,東京,ロケット,電車,車,カブ,サーフィン,弓道,時間,光,風,星,太陽,宇宙などが,意味を持って画面を飾っています。全部つながっていて,でもそれらと出会えるのはホンの一瞬。すべて必然だけど,一人一人にとっては偶然。なんか,そんなことを感じました。
     心温まることは間違いない。

  • <桜花抄>遠い憧れのつまった図書館の本。神社の猫。カンブリア紀のハルキゲニアとオパビニア。二人だけに過ぎてゆく日々と、二人だけで広がっていく世界。東京の小学校に通う遠野貴樹(声:水橋研二)と篠原明里(近藤好美)は、親の転勤で引っ越したばかりの家庭環境も同じながら、引っ込み思案で体が小さく病気がちなところも同じだった。二人はやがて、お互い似たもの同士で、次第に意識しあうようになるが……。
    <コスモナウト>種子島-夏。この島に暮らす高校三年の澄田花苗(花村怜美)の心を今占めているのは、島の人間にとっては日常化したNASDA(宇宙開発事業団)のロケット打ち上げでも、ましてやなかなか決まらない進路のことでもなく、ひとりの少年の存在だ。中学二年の時に、東京から引っ越してきた遠野貴樹(水橋研二)。こうして隣を歩き、話をしながらも彼方に感じられる、いちばん身近で遠い憧れ。鼓動が重くも早まるから、口調は早くも軽くなる。視線が合わせられない分、視点はいつも彼のほうを向いている。ずっと続けてきたサーフィンで思い通りボードに立てたなら、そのときは胸のうちを伝えたい。乗りこなしたい波。乗り越えたい今。少しずつ涼しさを増しながら、島の夏が過ぎていく……。
    <秒速5センチメートル>遠野貴樹は高みを目指そうとしていたが、それが何の衝動に駆られてなのかは分からなかった。大人になった自らの自問自答を通じて、魂の彷徨を経験する貴樹だが……。
    「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」の新海誠監督が、卒業と同時に離れ離れになった少年少女の淡い恋を描く青春ラブストーリー!小学校の卒業と共に離れ離れになった少年・貴樹と少女・明里。互いに特別な思いを抱きながらも伝えられず、時間だけが過ぎて…。二人の再会を描く「桜花抄」、少年・貴樹を別の人物の視点で描く「コスモナウト」、2人の恋の行方を描く「秒速5センチメートル」を収録。新海誠独特なもどかしい距離感が遠距離恋愛や片想いというシチュエーションでより増幅された痛切なラブストーリー。雪のせいで電車が遅れたり、携帯電話がないので上手く連絡出来なかったりなかなか想いを伝えられない困難があるからこそ、会えた時間が大事な人がいとおしくて永遠を願うけどすれ違い熱い想いも冷めてしまうだけど忘れ難いそんな痛切な恋を描くストーリーが、LINDBERGや山崎まさよしのスタンダードナンバーを絡めて描かれる。じんわり甘く切ない傑作アニメ映画です。

  • 3回目の視聴。
    ハッピーエンドじゃないオチに惹かれる作品

    最初に見たときは高校生だったかな。
    電車の遅延、雪、焦る気持ち。
    クールな男子高校生、告白をためらう女子高生。
    味気ない社会人生活、踏切でのすれ違い。
    ラストシーンの、山崎まさよしの曲。

    大人になってから観ると、
    少し味気ない映画だなと感じたが、
    相変わらず、まさよしの曲は
    エンドロールにバッチリだと思う。

  • タイトルと映像がただただ素晴らしく、美しい。
    二人の恋心が綺麗で純粋すぎて、でもどこかもろくて儚げで、この危うさが美しくも思えたり、もどかしくも思えたり。

    成就しなかったから、余計にそんな風に思うのかもしれん。

  • 新海誠らしい交わらないラスト。個人的には大衆寄せした「君の名は」よりも好き。
    雑な言葉で表現すると,恋愛や結婚ってタイミングだよねという内容。思い当たる経験が誰にでもあると思う。出会うのが,近くなるのが早すぎたり遅すぎたりすること。物理的な距離や心理的な距離が離れてしまったとき,再び近付くために一生懸命に前を向いて進んでいくけれど,悲しいかな再び近付く頃に相手は違う方向を向いている。
    そして、その過程で巡り合った誰かと結ばれ,家庭を築き,どんどん離れていってしまうもの。伝えたかった言葉を胸に抱えたまま大人になって,伝える相手を失ったその言葉たちはいつまでも自分の気持ちを縛る。

    • 大野弘紀さん
      言葉とはかくも儚い流れ星のようなものなのだと、感じました。

      君の名はよりこちらが好きなので、共感。
      言葉とはかくも儚い流れ星のようなものなのだと、感じました。

      君の名はよりこちらが好きなので、共感。
      2019/11/15
  • 小学生の時に恋した女の子との遠距離恋愛を忘れられずにいる男の子の話。
    まず、とても映像が綺麗です。とくに空。言葉もきれい。そして作品がピュアで、「観る文学」のようだな、と思いました。新海作品を他にも観たくなりました。

  • 明里は常に貴樹の前にいる。前にいても振り向いてくれていた彼女が、いつからか前を向いたまま歩き出していく。一方貴樹は、遠くにいる明里を見つめたまま。立ち止まっていたことに気づくのには、あまりに時間がかかってしまった。
    男は名前を分けて保存、女は上書き保存。とは誰が言ったか知らないが、この作品を正に象徴する表現だと思う。女性は貴樹という人間をどう思うんだろう、と見る度思うくらい、感覚として異性感で共有できないものなんじゃないか、と思ってしまう。
    個人的には合間に入る「コスモナウト」が一番響く。香苗との関係において貴樹の位置は明里とはまったくの逆だ。貴樹の方が前を向いている。ひどいくらい前を向く。特にひどいのは、原付がエンストした後のくだりだ。さすがに気づけ、貴樹よ。あまりにも優しく、残酷だ。このエピソード中はものすごく香苗の方に共感するのだけど、やっぱり香苗も上書き保存だろうか、、?と考えるとまた複雑な気分に。。。

  • 第一話を見たところでままならなくなってしまったので一旦休憩。

    私にとっては、すごい名作とかすごく好きとかそういうことではなく、何かを揺り動かす力がとにかく桁違いに感じられた。何故こんなに泣けたのかよく分からない。ひとりきりの電車で感じるいざるような焦り、降り止まぬ雪にぬりこめられた重苦しい終末感、自分の力ではどうしようもなかった“あの頃”というものが、自分の奥底に眠っていた感情へじかに接続してくるような、電球のように丸い鋭さがあった。

    大人になってから、涙は感情の発露として勝手に零れ落ちることが多かったように思うが、「涙」ではなく「泣くこと」を誘発してくる作品だった。ただ泣けて泣けて仕方なかったいつかの日に返ったかのように、幾度も襲いかかる波にさらわれた。

    わけを探りに自分の中の暗闇に降り行ってみると、いくたりもの人が同じように歯を食いしばって顔をゆがめ両手でまぶたをこすっている。ここにも、ここにもいる。それは全て自分のようでいて、おそらくは出会ってきた創作物の人々でもある。自分は自分を空っぽにして向かい合い、あらゆる人々と同化し、それを息づかせてきたことに気付くのだ。それらたくさんの私たちが、この作品に揺り動かされて泣いている。とても不思議な心持ちだった。

    断片だけでこのように感情を動かす作品があることを、改めて知った。すべて見た時にどう感じるのか、どちらに転んでも少し怖くもある。

  • 完全に「おっさんホイホイ」の作品です。
    携帯がない時代にトラブルが起きても連絡が取れない焦燥感や絶望は、今の子達にはもう伝わらないでしょう。
    新海作品らしくとても美しくリアルに描かれた世界の中で繰り広げられる男女のすれ違いは、(色々な意味を込めて)おっさんには響き過ぎる作品です。

  • 切ない…。淡い恋心を抱いたのは、もう遠い昔の事になってしまったが、当時の事を思い出して、少し胸の奥が苦しくなった。

著者プロフィール

1973年生まれ、長野県出身。
2002年、ほとんど個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。
2016年『君の名は。』、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』公開、監督として国内外で高い評価と支持を受けている。

「2023年 『すずめの戸締まり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×