実はヘミングウェイは読んだことがなく…(^_^;)
「誰がために鐘は鳴る」も、戦時下における男女の恋愛物というくらいしかしらず、そもそも舞台がスペイン内戦だったとも知りませんでした。。
戦争は…主義主張の正しいとか間違ってるという問題を超えて、いざ戦うとなるとお互いに残酷さが剥き出し、まさに胸糞悪い。
※※※以下、ラストまでネタバレしています※※※
スペイン内戦時代の1937年。
このときは人民戦線の共和党、ファシスト党、どっちが政権だ(-_-;)
まだ人民戦線が政権を取っていて、それに対して反乱軍が新国家樹立してフランコ・ネロが元首についたころ?
共和党派のアメリカ人義勇兵ロベルト(ゲイリー・クーパー)は、ファシズム派に対しての奇襲作戦に従事していた。
橋を爆破する命令を受けたロベルトは、山岳ゲリラのパブロ一味と、さらにジプシーのエルソルドが率いる一味とも合流する。
パブロはかつて人民戦線軍で戦っていたが、いまでは攻撃には消極的で飲んだくれている。
パブロの妻ピラーは強い女で、頼りにならない夫の代わりに一味を率いている。
そしてパブロ一味と行動を共にしているマリア(イングリッド・バーグマン)がいる。マリアは、市長だった両親をファシスト軍に殺され、収容所に入れられるところをパブロ達の攻撃により助けられていた。
ロベルトとマリアは恋に落ちる。
このピラーとマリアの女同士の関係が良いんですよ。ピラーはダメ亭主のパブロに変わって一派を率いて、裏切るかもしれないパブロを殺すしかないとも思いつつ、でも戦士として全盛期の格好良い姿を忘れられず、思い切ることができない。さらに中年女戦士としての頑丈さと「昔は男と愛を語るうちに自分が綺麗だと思っていた。でも時期にそれが幻想だとわかるんだよ。だけど自分はまだ綺麗だって思いたいじゃないか」というような女心を持ち合わせる。そして若くて美しいマリアを庇護して幸せを願っている。ピラーがいなくては、マリアはもっと過酷だっただろうなあ。
ロベルトとマリアはさすがに美男美女で、ラブシーンも「キスってどうやるの?鼻がぶつかりそう」など、扁平顔の日本人には言えない台詞(笑)をさらっと言うんですよ。
さて。
パブロは、自分たちの生存の可能性の薄い橋の爆破作戦には反対だった。賛成する手下たちと、パブロの激しい言い争いになる。その場はパブロが「爆破のあとの脱出路がわかるのは自分だけだ」と行動をともにすると考えを変える。
脱出には馬が必要だった。
翌日、エルソルド一味は山を通るファシスト軍から馬を奪うことに成功するが、ファシスト軍の飛行機からの攻撃に全滅する。
ところどころで描写される共和国派とファシスト派の戦いの所業は、どちらも酷く残酷だ。
互いに相手の派閥の町を襲い、相手への残酷な仕打ちが語られる。その場にいた味方も最初は高揚していたが見ているうちに「気分が悪くなってきた、もう見ていられない」というほどのものだ。敵の派閥の女であれば情欲の対象になる。戦う相手は同じ村の知り合いということもある。恨む相手を嬲り殺すこともあれば、親しい相手を「作戦成功のために殺すなら仕方がないが、この戦争を生き延びたら誰も殺さずに残りの人生を過ごしたい」ということにもなる。
山で戦いの様子を偵察していたロベルトは、ファシスト軍の動きをつかみ共和国軍へ伝言を出す。この伝言が届けば橋の爆破もせずにすむ。
しかし戦場での伝言は周り日に回り道を重ねることになる。
将軍に届いたときにはすでに攻撃は始まっていた。
戦いは回避できずにロベルトは橋爆破作戦を進める。
橋の爆破を成功させたロベルトたちは馬で脱出を図るが、橋の向こうからのファシスト軍からの攻撃を浴びる。
マリアがロベルトの生存を必死で祈るなか、ロベルトは負傷し、自分が残り仲間を逃すことを選ぶ。泣き叫ぶマリアに「君が生きるということが、私が生きるということだ。離れていてもいつも一緒だ」と仲間たちへと託す。
仲間を逃がすために敵軍に向かって銃を打つロベルトの姿に、教会の鐘が重なり終幕。