帆船が荒波を乗り越えていく様子がすばらしい。前のめりで観てしまうおもしろさがある。
【ストーリー】
1787年、戦艦バウンティ号がタヒチ島へ向けて英国を出航した。ジャマイカへ運ぶパンノキの苗木を入手することがその目的であったが、冷酷無慈悲でサディスティックな性格の船長ウィリアム・ブライ(チャールズ・ロートン)は、スケジュールを詰めようと乗務員を酷使し、ちょっとした罪でも拷問同様の刑罰に処す。
若い海軍士官候補生バイラム(フランチョット・トーン)はプライに失望して、船員たちに人望がある一等航海士クリスチャン(クラーク・ゲーブル)に接近していく。部下たちの心情を知ったブライは、ことあるごとにクリスチャンに対して、底意地の悪い行動をとった。
バウンティ号は数ヶ月にわたってタヒチ島に滞在した。その間にタヒチ島の娘の魅力に惑わされた一部の乗組員がブライへの反発も手伝って、逃亡を企てるという事件が起こる。バイラムとクリスチャンもそれぞれ土地の娘と結ばれた。
荷物を積み終えて船がタヒチ島を出たとき、ブライは逃亡しようとした男たちを厳罰に処した。クリスチャンをリーダーとした乗組員はトンガ諸島の沖で叛乱を起こし、ブライとその一味を海に流してしまう。タヒチに戻った彼らはつかのまの幸福を味わう。だが、海軍に九死に一生を得て救助されたブライの残忍な報復が始まった。男たちの大半は首長トゥの傭兵として島に留まるが、クリスチャンをリーダーとする一行は新たなユートピアを目指して、タヒチから2千キロ離れた無人島ピトケアンめざして旅立っていく。
『戦艦バウンティ号の叛乱』は18世紀末近く、タヒチ島からジャマイカ島に向かって南海を航行中のイギリス軍艦バウンティ号のプライ艦長に船員たちが反乱を起こした事件をもとに、チャールズ・ノードホフとジェームズ・ノーマン・ホールが書いたベストセラー小説の映画化である。
海洋ものをしばしば取り上げてきたフランク・ロイドの監督、ブライ艦長役のチャールズ・ロートンと航海士クリスチャン役のクラーク・ゲーブルの顔合わせと両者の熱演が話題を呼んだ。この反乱を題材にした映画はこの後2度製作されたが、1984年版は本作とは異なる原作の映画化である。