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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4988111284112
感想・レビュー・書評
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私は、谷崎の原作は読んだことはないが、しっかり谷崎的な雰囲気を楽しめました。
こんな気持ちの悪い話をきちんとエンターテイメントに、そして文芸の香りも損なわずに、映画にできる市川昆の職人芸。この頃の外国の映画に一歩もひけをとらなかったでしょう。この新しさ、鋭さは。
役者陣の確固たる存在感。
中村鴈治郎の、老いの醜さ、愚かしさを、滑稽味も含みながら、実現し、観客に何かを許させる実在感。
京マチ子、相変わらず、恐怖新聞の主人公のような逆八の字眉毛で、浮世離れした妖艶さは、白黒ではなく、カラーでも健在。
仲代達矢、冒頭の登場シーンから、最後まで、常に目が濁っている。人でなしのすごみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
独特の美学が冴え渡る日本映画の傑作の1つだと思います。
本作の原作は読んだ事が有りませんが、そのストーリーに添えられた映像美は市川崑監督ならではのこだわりの解釈を感じます。
とくに京マチ子さんが演じる貞淑な奥様。彼女はこのストーリー文だけでは想像を裏切ってくれる程にオリジナリティを感じますね。彼女のこのオリジナリティあるビジュアルがまさにこの独特の美学を形成していると言っても過言じゃない。
本当に惚れ惚れのする美しいマスクは歌舞伎等の日本の伝統美も感じさせます。艶かしさ、清潔さ、聡明さ、顔の造形印象だけでここまでイメージを与えてくれるのは映像ならではの表現です。そして市川崑監督ならではです。
湯船から引きづり出される京マチ子さんの絶妙な露出の肢体のなんて美しいことでしょう。 -
谷崎潤一郎原作のNTRもの。これは私にとってはイマイチな映画でした。
途中まで最高なのに、おばあちゃん役の北林谷栄さんのくだりが、明らかに追加されたような、とってつけたような市川崑的な内容で、妙に教訓的で筋もスッキリしないので上手くないと思う。
『鍵』や『瘋癲老人日記』は、谷崎の晩年の作品。私はこのふたつは読んでないけど、『刺青』『痴人の愛』『春琴抄』『陰翳礼讃』なんかは、あまり読書しない私には珍しく読んでいる。(でも谷崎で一番好きなのは『異端者の悲しみ』。)
『鍵』の原作って、日記を盗み読む話なので、小説でしかできない表現。これをよく映画にしたなあと、その部分はすごいと思う。でも北林谷栄さんのくだりは谷崎的じゃないよなーと思う。
崑さんの映画だと、『細雪』も改変してあって、ラストのこいさんのアレがないのが不満だった。吉永小百合といえば鹿のフンなのに!!
『犬神家の一族』でも、斧の見立ての説明がなかったりと、ちょいちょい改変というか改悪をしてるなあと思う。
小説は小説、映画は映画だから改変すること自体はすごく良いんだけど……。
北林谷栄さんのくだりに注目して見ると、のちの石坂金田一に完全につながってるのは面白い点。先日観た『穴』の警部は、よぅしわかった!の加藤武の源流だったりと、昔からやってることがほぼ変わってないのがすごい。
京マチ子も『穴』に続いてエロ担当。この使い方はよい。
他に崑さん的なのは、日本家屋の撮り方。外観も、内部の家具も。『鍵』、金田一シリーズ、『細雪』……とずっと共通していて、この雰囲気は素晴らしい。後期のものだと『かあちゃん』とかもそう。
モヤ、仲代達矢がこれまたモヤッとしている役だけど、黒澤的なクールキャラでも喜八的な昼行灯でもなくって、陰湿でキモいモヤ。キモモヤ。キモヤな仲代さん。目の落ち窪んでるところが良いんだと思う。カメレオン俳優というか、仲代さんが色んな監督に重用されたのが良くわかる。
もうひとりのヒロイン、叶順子さんがとても良い。肌を出してる京マチ子よりも、出してない叶順子さんの方がエロいと思う。この前後で『細雪』のこいさん役や、『痴人の愛』のナオミ役をされてたそうだけど、1963年に引退された……残念。
叶順子さんの役所は、金田一の坂口良子さんに通ずるところがあると思う。
この頃の作品は、市川崑というより和田夏十のものという感が強い。谷崎作品というかSMでよくあるのは、SとMの逆転というモチーフ。この映画は、男性目線と思わせといて女性目線に逆転する。
谷崎と崑さんは男性だけど、和田夏十さんは女性なのでそこが合わさっていて、きちんと「女性の映画」になっているのが良い。
機関車のシーンは笑った。喜八っちゃんといい、崑さんといい……笑。彼らは一応「モダン派」でくくられたりするから近いとこある。
キャメラマン宮川一夫、京マチ子&中村鴈治郎コンビだと、同年に小津さんが撮った『浮草』があるからこちらも観たい。『浮草』の修復作業で、アグファのカラーフィルムだって特定された番組を観たのだけど、時期が近いから『鍵』も同様の撮影方法だったのかな。 -
あっぱれ。
実のところ市川崑監督作品はまだまだ初心者。「細雪」(1983)、「炎上」(1958)、「おとうと」(1960)ぐらいの鑑賞歴しかなかったため、こうしたちょっとコミカルな筋の作品は、ふと岡本喜八作品を鑑賞しているかのような錯覚に陥ってしまう感があった。
キャストは申し分なし。
玉緒ちゃん父、中村鴈治郎。お若い仲代さん。羅生門ばりメイクの京マチ子。その中で初お目見えだったのは叶順子という女優さん。彼女が大映の次期スター候補として挙がる程の美貌の持ち主だったということに鑑賞後にたどり着くと、本作での彼女の風貌がある種「造られたもの」であったことということになるわけで、その辺り映画の中でのメーキャップの果たす役割がいかに大きいかということを改めて思い知らされた次第。そういや仲代も鴈治郎も全編を通して妙に顔色が青白かったし、京マチ子も当時30台半ばだからある意味「老けメイク」…というか「能面メイク」をかぶっていたわけで…。
そして北林谷栄ばんざいw 撮影当時、彼女40台ですよ!(笑)
考えてもみれば「細雪」も谷崎潤一郎作品だった。だがこちらは映画作品鑑賞前にがんばって読み切ったものの、彼の書く完璧な女性の脳内思考に翻弄されっぱなしだったためにずいぶんと疲れた記憶がある。本作の元ネタは短編とのことで、是非手を伸ばしてみたい。そしてそれとの比較によって本作の脚本として名の挙がっている和田夏十の株がさらにあがることだろうことは容易に想像できる。
SLの隠喩はアメリカ人も大喜びでした! -
谷崎のアイデアは借りているけど、谷崎の世界観じゃない、市川崑の世界でしょ。「犬神家の一族」に繋がっていくものがあります。母娘の眉がインパクトありすぎ。仲代達矢、京マチ子と叶順子の名演技が独特の世界を作り出していますね。京マチ子が見せた、猫が跛と知った時の表情と夫が死んだ時の表情。これは、女は怖いっていうお話です。
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1959年市川崑監督作品.
谷崎潤一郎の好きな私としてはみてみたかった作品.
京マチ子と中村鴈治郎が夫婦.20代の仲代達矢が木村の役.京マチ子の熟女の色気がすごい.原作とは設定や結末などがかなり違うが,原作の隠微な雰囲気をよく伝えている.たぶん今度,鍵を読むとこの映画と同じ配役になってしまうだろうという気がする.暗くて前衛的な芥川也寸志の音楽も映画によく合っている.
それにしても夫が死んだ後,京マチ子が若返るのがリアルで怖い.まあ夫も望み通りのことをして死んだわけだから,どっちも幸せか.
当時の京都の街並みが映っているのも興味深い. -
女の人こわい
男の変態的な欲望が寒い
なんとも背中がぞぞっとする映画だった
実の母と娘が、忌み嫌い合い、当てつけ合うなんて、なんと居心地の悪い家なんだろうと思う
触り心地良さそうな妖艶な肌の上にメガネと影 という画が、なんだかすごくフェチっぽくて印象的だった -
性欲が旺盛の妻…という設定が原作の粗筋にあったんですけれども、この映画で描かれる妻はそこまで性欲旺盛、といった感じはありませんでしたねぇ…ですけれども、映画は非常に興味深いものに仕上がっていましたかね!
ヽ(・ω・)/ズコー
ラストが少々意味不明というか、もう少し真実を明かしてほしかったかな、みたいな気がしなくもないですけれども、「おとうと」でも突然終幕しましたし、なんというか、何事も突然終わる! というのがこの監督の持ち味というか、特徴なのかもしれませんねぇ…
ヽ(・ω・)/ズコー
というわけで「鍵」なのでした。この映画のラストのモヤっとした部分は原作を読めば解消されるのかもしれません…おしまい。
ヽ(・ω・)/ズコー -
日本の昔の映画って面白いんだなって思いました。フランス映画みたい。
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日本映画専門CH。
初・谷崎潤一郎鑑賞作品が市川版で良かった。
人と人の距離感が明らかに変だし、人間味を感じさせない配役やセリフ廻しがラストに活きてくる。(原作にはないようだ)
谷崎作品である以上に市川作品を感じる。 -
京マチ子の眉が凄い。
妻と夫、その娘と若い医者の捩じれて捻くれた恋愛映画かと思いきや、あのラスト!
こういう裏切り方好きです。 -
ド〜ロドロ。。。京マチ子の美しさがヤバい。。。昭和の映画を見ると、何でこの時代の女優ってこんなにきれいなんだろう、と思うことが多い。今の女優でそういう人ってほとんどいないと思う。思い浮かぶのは寺島しのぶくらいか。。。けれども何が違うのだろう。昭和の女優と今の女優の差は何だろうか。その一つには少なからず艶かしさっていうのがキーワードの一つになってくる気がする。。。京マチ子とか、すっごい艶かしいもの。。。正直言って、今の女優っていうのはどんどん無味無臭になっている。感がある。。清潔感の時代、ということだろうか。(07/11/18)
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