ソナチネ [DVD]

監督 : 北野武 
出演 : ビートたけし  国舞亜矢  渡辺哲  勝村政信  寺島進  大杉漣 
  • バンダイビジュアル
3.89
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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569630858

感想・レビュー・書評

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  • 駐車場から出るだけのシーンや花火遊びなど、不要で長すぎるカットが多い(その日常性こそが北野映画の特徴かもしれないが)。リアリティのなさも目立つ。ヤクザにしては随分言葉遣いが丁寧だったり、親分や斎藤はどうみてもサラリーマンだったり、沖縄の方言が一切感じなかったり立ちっぱなしで撃ち合いを始めたり(しかもたけしには一切当たらない)。また、端役の演技は前時代的に大げさで目も当てられない。飽き足らない部分はたくさんあるし、アウトレイジと比べれば編集力の格段の差がある。
    だが、そうした欠点が本作の輝きを消してしまうことはない。紺碧の空と漆黒の闇、若き女のむき出しの裸体と刺青で埋まったヤクザのからだ、無邪気な戯れと容赦無い殺し合い。ありとあらゆる生と死のコントラストから、美としか言いようのない一つの実在が浮き上がる。けしてそれは概念ではない。
    そして徐々に生と死がひとつの姿に混じり合っていく。生の象徴である幸の、今生の別れを覚悟したマシンガン連射は泣き声である。そして最期、本来「生」であるはずの昼に自ら頭を撃ち抜くのが素晴らしい。これにより、生と死の両極が、最期にぐしゃっと交じり合う。
    まさに、「あんまり死ぬのが怖いと、死にたくなっちゃう」。
    これは、アウトレイジにはないリリシズム。
    また、特筆すべきはたけしの演技だ。抑制されていて、だからこそ感情が出る場面のふるまいは心に響く。諦念に貫かれた笑顔は悲しくもあり、底抜けでもある。
    「平気でおっぱい出すんだもんな、すごいよな」
    と笑い声混じりの言い回しは、常にひんやりとしたこの映画の中で、ほっとするようなあたたかみがある。ヒロインの幸はけして美人ではないが、天真爛漫で健康的なエロスが満ち溢れている。上記の、胸を自らさらけ出したあとの笑顔には、赤ん坊のような生の発露が現れている。ついでに言えば声も可愛い。国舞亜矢という役者らしいが、もう引退しているらしい。惜しい。

  • 純粋で 優しくて 子供じみた馬鹿馬鹿しさには可愛げがあって。それでいて常にどこか哀しみを帯びている 北野監督の人間性をそのまま映像化したような作品だと感じた。彼と 彼の映画のそういうところが いつまでも人々を惹きつけているのだろう。結末はわりと序盤で想像出来てしまったけれど、 "HANA-BI" のあの救いようのない絶望感とは違う、静かな切なさを感じながらエンドロールを眺めていた。

  • 北野監督らしく暴力が前面に出ていますが、何か懐かしいというか温かいというか。。。舞台が沖縄という事もあるのだろうか、殺伐とした空気がなぜかゆっくりと流れていく感じがするのは。。。勝村さんは初々しさ、寺島さんのやんちゃさ、たけしさんのもの悲しさ、本当に絶妙です。

  • 村川(北野武)は、ヤクザ稼業に嫌気が差している北嶋組幹部。そんな男が、親分の依頼で中松組の助っ人として、沖縄に飛んだ。
    村川を待っていたのは、敵対する阿南組の襲撃。
    ――連れの子分が2人殺られた。「ドンパチでやばいとは聞いていたが、話が違い過ぎる……」。 
    また2人、凶弾に倒れた。抜けるような青い空と海、照り付ける太陽の下で殺戮は続く。
    「ハメられた! 」
    逃げ場を失った村川は、ただひたすら〈死〉に向かって突き進むのだった。 
    北野武がクエンティン・タランティーノなど世界的に認められるきっかけになった傑作バイオレンス映画。
    北野作品のトレードマークである突発的な痛さや怖さが伝わってくるバイオレンスシーンが更に洗練され、エレベーター内での緻密な構図の銃撃戦や手打ち式での真っ暗な中で銃撃の閃光が照らすスタイリッシュなバイオレンスシーン、ヤクザが紙相撲やロシアンルーレットや花火合戦に興じる夏休みのような至福の時間やユーモア、北野武作品初期の傑作バイオレンス映画。

  • 北野武監督作品は、アウトレイジから観てしまったので、初期のソナチネのような作品があってのアウトレイジなのだというのが漸くわかりました。

  • なんでもっと早く観なかったのだろう、と後悔して、同時に定期的に観たくなるのだろう、というのが観終わった直後の感想。

    見方によって、セリフの解釈によって静と動がするっと入れ変わってしまうことに感嘆。
    青に黒。見惚れる。

  • 所々気狂いピエロと似たシーンが出てくる。初期北野映画の集大成だそう。そっちを先に観れば良かったな。
    静謐と暴力、おっぱいの映画。
    正直よくワカラナイ。

  • あっさり簡単に人が死んだと思ったらいい年こいたヤクザが小学生みたいに遊びだす。死んだり殺したりしながら遊ぶ。そしてとりあえず仇も取ったし楽しかったしもういいんじゃね?という感じで死ぬ。
    わかるようなわからないような。ぼんやりと見た、ゴダールの気狂いピエロを思い出す映画だった。

  • ひどい疲れと厭世感。
    暴力、権力争いの先の虚無を描いた力作。

  • 沖縄。

    自然の美しさと
    人間の暴力。

    感情の起伏。

    静けさと嵐のコントラスト。
    それが上手いんだよなー、たけしさんの作品は。

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著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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