HANA-BI [DVD]

監督 : 北野武 

出演 : ビートたけし  岸本加世子  大杉漣  寺島進  白竜  渡邊哲哉 

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感想・レビュー・書評

[6siさんの感想 · 2015年4月20日]

死ぬのが怖いと思うと、死にたくなっちゃうのはバイク事故前のソナチネであり、HANA-BIは死にに行こうとするバイク事故後の映画。
やっぱりあのバイク事故は事故じゃなくて、自殺だったんじゃないのかって考えてしまいます。

登場人物と監督自身がリンクしているのはソナチネ同様で、車椅子生活を余儀なくされ芸術へ向かう堀部と、豪快で無茶な西は監督自身の二面性を表現している。

堀部は事故にあい仕事をやめ、家族からも見放され、自殺未遂をする。しかし自殺は失敗してしまう。
そして、警察やヤクザに追われる西によって、堀部は芸術に目覚めていく。

堀部は生かされている。
ソナチネであった「これで最後にしよう」とした監督が、事故(やはり自殺にしか思えないが)で命をとりとめ、生かされているように。
しかし芸人としての威厳が失われたのではなく、西もまた魅力的な人物として描かれている。

年代的に北野映画が評価されたころだと見受けます。
芸人と映画監督の両立は難しいと思いますし、だからといってどちらも手は抜けない。
北野武自身の生き様を表現しきっている、素晴らしい映画であると思います。

[daiyuuki24さんの感想 · 2023年1月19日]

不治の病に冒された妻(岸本加世子)を見舞うため、張込みの現場を離れていた西刑事(ビートたけし)に同僚の掘部(大杉漣)が撃たれたという知らせが届く。 
追い詰めた犯人との銃撃戦で、今度は部下の田中が命を落とす。 
次々と大切な物を奪われ、心をさいなまれていく西。下半身不随となった堀部は絵を描き始める。そんな堀部や田中の遺族、そして妻と過ごせるあと残り僅かな時間のために、西はある重大な決心をする。 
北野武が、「生と死」「究極の夫婦愛」を問う映画。
靴下に石を入れたものでヤクザを間髪入れずにしばき倒すなどの北野武お得意のバイオレンス描写は健在だが、どちらかというと西と妻の夫婦愛、西の同僚刑事・堀部の死ねずに生き延びた時どう生きるかの葛藤に力を入れているのが、バイク事故で生き延びたビートたけしの当時の心境が反映されていて興味深い。
特に言葉を交わさず一緒にトランプしたりパズルしたり花火をしたりして心が通じ合い信じ合っている西と妻の夫婦が、コメディアンのたけしらしい間の外し方でユーモラスに描かれているのがほっこりする。
下半身不随になり絵を描いている内に生きる気力を取り戻していく堀部の心情は、バイク事故のリハビリや絵を描いて気を紛らわしていた頃のビートたけしの心情が反映されている。
自分なりに筋を通して美学の通りに死ねたら良いけど、「生と死」は思い通りにいかない。そういう葛藤を描いている部分がリアル。間に差し込まれるたけし自作の絵やラストに岸本加世子がたけしに投げかける言葉が沁みるビートたけしのプライベートフィルム的な色彩が強い傑作映画。

[tamuk0521さんの感想 · 2020年9月12日]

切なくていい。

[bsmm1104さんの感想 · 2020年4月16日]

北野武監督作品　第7作
映画の中に出てくるたけし自身が描いた「絵」がすばらしい！

[0.02さんの感想 · 2018年8月20日]

暴力の過程をカットして結果だけ見せる、という芸風が好き。
渡辺哲のシーンはぜんぶ面白い。

[farmertanakaさんの感想 · 2018年7月3日]

暴力、ヤクザ、拳銃・・・、現実の世界とはかけ離れた世界でしか、彼の描きたいものは表現できないのか。
映像に語らせるという手法も、役者としての未熟さやシャイさを取り繕うためのように見えてしまう。
才能ありの評価をする才能を、どうも私は持ち合わせていない。

[aginさんの感想 · 2016年12月30日]

1998年公開
監督 ： 北野武
＝＝
死期迫る妻を喜ばせるために犯罪に手を染め、逃避行に旅立った一人の元警官のお話。

終わりが見えているストーリーとどう向き合うかは、つらいよね。ただそれは、すべからくすべての人の人生はそうであるわけで。限界があって、終わりが見えていて、はてその時人は何を大事にするか。何を捨てるか。主人公が捨てたものは、それを捨てることでしか得られない最後の時間のためのものすごいもので。

破滅の話は見ていてしんどいけど、どうしてか見入ってしまうわけでした。自分だったらどうするだろうかとか、いやいやそんなバカは俺は絶対しないとか、いろいろ考えながら、要するに中々陥る状況じゃない人の心理に興味を持ってしまうということなんだと思いました。

[bk1044さんの感想 · 2016年12月25日]

この作品は物語の大きな盛り上がりがなければ、言葉数も少ない、とても渋い作品です
そのため、1回見ただけでは、展開や登場人物の心情があまり理解できませんでした。

作中の人物は、生きがいにしてきたものを失い、客観的に見て不幸な状態へなっていく悲しげな話ですけども、
こと主人公に関しては大切な人とのつながりを必死に守りぬき、自分なりの幸せを失うことはありませんでした。
ただ悲しいと一括りにできない話です。

[くんぷうさんの感想 · 2016年11月15日]

正直、ストーリーはあまり好きではない……けれど

前半の仲間が撃たれてしまった記憶のフラッシュバックが何度も重なっていたのが、主人公の後悔と重い苦しい絶望感を見るようで
この表現力はすごいと思った

楽しそうに今を生きている奥さんの岸本加世子さんの笑顔がかわいくて好きだった

[starkirariさんの感想 · 2015年11月22日]

こっちのキタノかー
Dollsの不安が押し寄せてきたが、本作は良い出来。
なんといっても久石譲の音楽に尽きて、叙情的。
銃声と暴力でテンションも適度に保たれている。

[michel723さんの感想 · 2015年1月3日]

ここまで削ぎ落とすからこそ際立つ、
ラスト。
そして、命。

[虎目梨那さんの感想 · 2014年12月11日]

いつもいいタイミングで花火が落ちる。会話が圧倒的に少ないのに、飽きのこない展開。全編通して哀愁が漂い、救いはないのだけれど、壊れてしまった人生を慈しむ、そんな儚い夫婦が寄り添うシーンが胸に刺さる。

[aiさんの感想 · 2014年10月28日]

北野映画の定番、ヤクザと海と、会話のない恋人たち（今回は夫婦）の映画。
夫婦の貴重で穏やかな時間が切なくて、涙が出てくる。
劇中に出てくる絵は北野武が描いたものだと知って、改めて才能の幅広さに驚く。

[kamo_eigaさんの感想 · 2014年9月21日]

キャスティング、演技、ストーリー、セリフ、映像・・・
どれをとっても私には拙く映りました。
しかし不思議な「魅せる何か」の存在もあわせて感じました。

どうしてもたけしの映画にはわだかまりを持ってしまう。
どんなに海外で賞をとろうが巨匠呼ばわりされようが
見ることはないと思っていた。

でも今回フラッと気の迷いか、この映画を見てみた。
やはり全肯定はできないなぁと。
無口な設定もあざとさを感じたし
岸本加代子のキャスティングも雑音にしか感じない。
たけしの絵も、暴力偏重のストーリーも、どれも好みではない。

でももしこの映画が評価に値する作品だとしたら
この「拙さ」や「ぎこちなさ」がもたらした化学変化が
偶然何かを宿らせた奇跡のようなものではと感じました。

もしそれが万が一、計算されたものであるとするなら
場当たり的な作り方にもかかわらずこの結果を生み出したのなら
並外れた映画嗅覚の持ち主といわざるを得ない。

基本的には全く趣味のあわないタイプの映画だから
肯定は無理だし、むしろ嫌いなジャンルの映画。
でも見る体勢が整ったときには見てもいいなと思った。
「絶対拒否リスト」からははずそうかな。

なぜこんなにむしずが走るのか知りたいので。

※久石音楽は絶品。

[つちしたのぶひとさんの感想 · 2013年10月22日]

北野武監督　第７作目
北野武　岸本加世子　主演　

中国では北野武の作品はよく売られている。
いまどきの日本の監督の中では　破格の扱いのような気がする。

北野武監督作品および主演作品は好きではなかった。
というより、見る気がしなかった。
暴力とヤクザというのがメインの作品が好きにはなれない。
『点と線』を見ながら、
北野武のくたびれた刑事役にきらりと光るものを見た。

とりあえず、代表作の　ＨＡＮＡＢＩを見てみた。
言葉がけづり取られている作品だった。
黙って、演技していく・・・
ストーリーがあって、脚本がないような作品に驚いた。

岸本加世子も、
雪で滑って転ぶ時の　『キャ』という叫び声と
最後に『ありがとう　ごめんね』だけなのである。
これだけ、少ない言葉の主演女優の登場は、初めてでないだろうか。

映画から言葉をなくせば・・・
説明や弁解はなくなる・・・。
そのことに意味がある・・・
多くの映画には　説明や弁解　が多すぎると思った。

寺島進　大杉漣は、好きな俳優だ。
バイプレイヤーとしての持ち味を生かしている。
この二人が始めはヤクザだと思っていたら、
実は刑事だった　とは・・・。

暴力を使っていい側の　刑事と
暴力がなくては成り立たない　ヤクザは、
紙一重の存在なのだろう。

挿入される絵に　びっくりした・・
おさないながらも　そのイメージ的なメッセージのあるのには
それが、北野武が描いたというからよけい驚いた。
雪がふる　絵があるが・・・
その雪が漢字で降っていた・・・
その雪に混じりながら　光が降る　とは・・・
その独創性に　眼を見張った。

いやぁ。このＨＡＮＡＢＩ　いい作品の仲間にはいりますね。

[ピーナッツさんの感想 · 2013年1月25日]

かなしい。せつない。
全体的に静かなのに、心は痛いほどに伝わってくる。これも愛のかたちなんだと思う。

[エイチさんの感想 · 2012年10月5日]

ベネチアで金獅子賞をとった北野武の代表ともいえる作品。

北野映画は色々好きだが、今までのヤクザものに比べると多少バイオレンスさに欠けるもののラストのシーンの切なさは異常。

まさに花火。もう一度みたい。

[yuzuki.mさんの感想 · 2012年3月27日]

個人的な北野武監督特集の三作目。子どもを亡くし精神のバランスを亡くした妻を愛する元刑事が、銀行強盗し妻と逃避行をするという話。

三本観てやはり思ったのが、北野武の映画の暴力や粗野なところがどうしても苦手で、楽しむことが難しいということ。どうしても観ていて嫌な気持ちにしかならならず、観ることを拒否するような感覚がある。

三本観て相性が悪いということがよくわかったので、今後はこの合わない感じや、拒否する感覚をもっとよく知るために観てみたいと思う。

[chonkyさんの感想 · 2009年11月14日]

久石譲の音楽に救われた映画…
任侠ものなんですか？見るに耐えがたかった…。
「俺にはあんな生き方できねえ」
そして最後の結末。あの優しさが武映画なのかなぁ。

[名無しさんの感想 · 2024年7月9日]

難病の妻を連れてのロードムービー
主人公は刑事、途中から元刑事
例によってヤクザの金貸しが絡んでくる
うーん、監督の絵がねぇ、いらないんじゃない？

著者プロフィール

ビートたけし。1947年、東京都足立区生まれ。72年ツービート結成。89年『その男、凶暴につき』で映画監督デビュー。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。著書多数。

「2020年 『浅草迄』 で使われていた紹介文から引用しています。」