一見、ふつうのVシネともとれるが、実は違う。ロングや、屋内での「小津ショット」、手前の人物をなめて奥ピンにするなど、距離感のとりかたがうまい。
一番笑ったのは、タクシーの車内の破廉恥プレイ。道具も飛び出した。2度の出所シーンで、いずれも同じ仰角のあるカット割りというのも良い。
しかし、豊原功補が会社の上司に見えてしかたなかった…。
【ストーリー】
悪徳金融業者に手形を盗まれ、多額の借金を抱えてしまった田中タクシーの社長を助けようと、幼馴染のヤクザの親分が自分の組・猪鹿組の子分たちをタクシー運転手に仕立てた。
ヤクザたちはかたぎの仕事に戸惑いながらも、一人残った運転手木村の指導のもと徐々に運転手らしくなっていく。
黒沢清が主にVシネマで活躍していた時期、「地獄の警備員」と「勝手にしやがれシリーズ」の間に作られた作品。作品自体は非常にオーソドックスで派手さはない。しかし、随所にショットへのこだわりが感じられる作品。ちなみに、青山真治が助監督で参加している。監督・脚本:黒沢清 プロデューサー:宮崎大 脚本:釜田千秋 音楽:岸野雄一 出演:豊原功補/森崎めぐみ/大森嘉之/大杉漣