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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4582297250406
感想・レビュー・書評
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小津映画祭での栄えある36本目、最終鑑賞作品となったのは本作。
小津作品として一般的に知られている作品群とは一線を画する題材、撮り方、俳優起用法が散りばめられておりスクリーンに釘付けとなった。今回の映画祭で何度も見かけた田中絹代と佐野周二がそのどの配役にもない、重苦しい役どころを好演している。敗戦の世相を知らない世代としてこの映画を20代そこそこで鑑賞していたとすると、なんの感想も思い浮かばなかったことだろう。確かに万人受けする作品ではないだろうし、小津本人からマイナス評価を受けていたという記述をみかけた本作ではあるが、なかなかどうして今の自分にとっとては高評価を与える作品となった。どうも自分は世間一般で高評価を受けている小津作品群と自分のものとの間にはズレがあるようだ。とにかく今出会えてよかった。
小津談義では「階段」が話題となって出てくるらしいことも今回学んだことであったが、それがこんなにも強烈な使われ方をして登場してくるとは思いもよらず。その階段シーンを小津はフィルムをループ状にして繰り返しみていたことがあるという逸話をみかけた。フィルムが溶けそうになって他の人が止めるまで観ていたという、そのときの小津本人の頭の中には何がよぎっていたのか…。終戦後たった3年、2本目の作品、そんな頃の彼の頭のなかを少しだけ覗かせてもらったような。そんな感じ。 -
突然、階段から落ちるホラー性
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前兆は、家族が寝静まった階段から不意に落ちる空き缶、音もせずタンスから落ちる紙風船=不穏の象徴
不吉な予感=白熱電球の周りを飛ぶ蛾
虚無感=原っぱに落ちている、錆びて穴の空いたバケツ
夫を抱きしめる手と、抱きしめる背中だけを写す省略
酒ビンと茶碗、そして影を強調
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夫のために、と譲られた酒ビンは、影うつさず
小上がりで、差し込む朝日と手前に暗い階段を映し、時間の経過を表現
深夜に及んだ夫婦の言い合いで起きて、こちらを振り向く子どもの冷たい視線
二階で言い合いをしている、その下の階下では、みなスヤスヤ寝ていて、夫婦2人だけの問題と際立たせている
妻の気持ちの揺れを表現するため、川面に揺れる舟、風に揺れる草花のイメージショットの挿入
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