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- / ISBN・EAN: 4582297250413
感想・レビュー・書評
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「紀子三部作」ともよばれる三本のうち一本目にあたるのが本作。ちなみにややこしいのがこの三本に「早春」(1956) は入っていないということ。英題には「秋日和」(1960) をLate Autumnなんて訳してしまったのまで存在しているのでさらに面倒くさい。ただ最近やっと「小津=原節子」ではなくなってきたので区別はつきやすくなったが。ちなみに「小津=笠智衆」であることはどうがんばっても否定出来ない(苦笑)
前回鑑賞したのは今回鑑賞したのと同じ映画館でFive Japanese Divasと題したシリーズにおいて。その頃はまだ小津作品の初心者といった様子で、独特の微妙に長い間や、筋には関係ないと思われる余計な台詞、俗にいうImaginary Lineを無視したカット割りといった小津作品固有のなにかに、どこか船酔いの様な違和感を感じつつ観ていたことをなんとなく思い出しながら観ていた。ただ今回の会期中にその船酔いもすっかりなくなってしまったが(笑)
三宅邦子が家族の外の人として描かれていたことをすっかり忘れていて、意外な感じがしたのも事実。やはり小津作品は固定キャストが多いだけにそれぞれ1回ずつ観ただけでは頭のなかで整理がつかなくなってくる。
最初のクレジットにて桂木洋子の名を見つけ、「おっ!」と反応できるようになったのはこの2回の鑑賞の間に木下惠介監督の「肖像」(1948) と「日本の悲劇 」(1953) がはさまっているため。ただ期待に反して彼女の登場場面は残念ながらごく短く…。
本作は「風の中の雌鶏」(1948) が世間受けしなかったのをうけてその翌年に作成されたという時間軸を通してみてみるとさらにまた感慨深い。世間には小津作品を時系列に従って俯瞰して彼の心理的な移り変わりを推察するのが好きなファンもいるらしいが、今の自分はまだその域には達していない。その域に近づくためには発表年順に全作品を再鑑賞してみないとならないのかも。んー、重い課題だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原節子さんが美しい!
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紀子の感情の揺れ、父親の感情の揺れが、演技だけでなくお部屋のカットからも伝わってくる。映画ってすごいなと思います。
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秋刀魚の味と同じ話。
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父と娘、お互いを想い合う気持ちがよく描かれていていい映画だった。
京都への旅行の最後の夜、このまま父といたいという娘に、そうじゃない、結婚するだけじゃなく、そこからふたりで幸せになっていくんだと諭す父。いつでも親は子の幸せを願っているんだよな。当たり前なんだけど、ついつい忘れがちになっているかもな。
紀子が三つ指をついてこれまでのお礼を言い、父が幸せになるんだよ、と応えるシーンでは涙が出てきた。
紀子を送り出したあと、居酒屋でアヤと酒を酌み交わすシーンもよかった。自分が結婚すると嘘をつかなければ紀子がお嫁に行くと言わないだろうと。それを聞いたアヤがおでこにキス、そのときの驚いた顔がなんともいい。
最後はりんごの皮をくるくると剥き、その皮がポトリと落ち、首をうなだれる。これにもグッと来た。
静かな場面展開、音楽もとてもいい。
途中、再婚話で父に対して不信感を持つ紀子の表情がそれまでの輝くような笑顔と打って変わって曇っているのが気になって仕方なかったが、その分、京都の宿での笑顔、そして最後の花嫁姿が美しく映えた。
小津が原節子と組んだ最初の映画なのか。
アヤ役の月岡夢路はきれいだった。原節子はけっこう独特な顔してるな。美人といえば美人だしおばさん顔といえばそんな気もする。
wikiの「壷のカット論争」読んで、なるほど、そういう議論があったのかと知ったが、たしかに途中、単なるファザコンを超えたものを感じさせたな。とくに京都の最後、「このままずっとお父さんといたいの」というところでの真に迫った感じなど。壷のカットの前では小野寺のおじ様にひどいことを言ってしまったと述べていることから、再婚に対する悪いイメージが消えたことが伺える。そして「お父さんのこと嫌だったのだけれど…」で台詞は止まるが、そうすると父の再婚話しも受け入れることができたということではないか。
この映画に限らず、「麦秋」でも「お茶漬の味」でも、鉄道が力強く走るシーンが出てきたと想うが、静的なシーンが多い小津映画において、この鉄道のシーンはとても動的でなにか活力のようなものを感じさせるなあ。
お寺や日本家屋をモノクロでしっとりと撮影したくなった。 -
ちょっと甘ったるすぎるか。誰もいなくなった部屋のショットほど雄弁なものはない。小津安二郎のDVDをワンコインで手許に置けておつりが来るってのはすげえな。
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『秋刀魚の味』とすごく似ている事に途中から気付く。森節子もいいけど岩下志麻もよい。脇役なのにびっくりするぐらい綺麗な人が映ってたりする。恐れ入ります。
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「わたし、お父さんと一緒にいるときが一番幸せなの」
こんなこと言う娘(しかもとびきり美人)がいるかねーと思いつつも、嫁にいく娘と父の心情には現代と変わらぬ普遍性があり、「さすが小津安二郎だなぁ」とじっくり見入ってしまいました。その反面、昔の人はこんな風に周囲にすすめられて簡単に結婚しちゃうのかと、現代とは異なる結婚事情にしみじみ。
こんな美人で気立てのいい娘と結婚する男はどんな奴だろうと思ったら、最後まで出てこなかったのでびっくり。トリッキーなこともやるんですね。