選挙 [DVD]

監督 : 想田和弘 
  • 紀伊國屋書店
3.58
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4523215036269

感想・レビュー・書評

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  • 対象への徹底的な接近や、一方で主観の徹底的な排除という、想田和弘監督の手法は小気味いい。監督には文句なしに星5つ。
    でも、あえて正直な私の感想を以下に書き並べたい。

    私はこの候補者に、最初から最後まで全く思い入れが持てなかった。政治家としての魅力がまずゼロ。次第に人間的魅力も失せていった。

    最初の部分で候補者が政策を尋ねられる場面。「子どもへの支援を…」と言うものの、ハッキリ言ってしどろもどろ。立候補しておいて、具体的に何をやるかを全然考えてない。何よりも、人に自分の意志を伝える能力が感じられない。自分の得意分野になると朗々としゃべる。だから一見政治家向きかな、と騙されたのだろう。でも、それ以外だと全くダメ。

    このデクノボウを周りが何とか形にしようと、いろいろな策略(もちろん合法的に)が行われる。その駆け引きは非常に面白かった。
    選挙参謀やボランティアは自分のポリシーをちゃんと持っているので、党利党略に固まっていても見ていてイライラしない。一方の候補者は(政治家としての)自分というものがきわめて薄いため、投票日が近づくにつれ、党の色彩ばかり目立って、個人がますます色あせる。

    監督の冴えた編集により、我々はこの作品から多くを受け取れるだろう。私は候補者を断罪したが、見る人によればその矛先は政党や、あるいは背景の地域社会や日本、あるいは制度やシステムといったものに向くかもしれない。

  • 落下傘候補として市議会選挙に出馬したおっさんの選挙活動の様子を撮ったドキュメンタリー。ナレーションやテロップ、BGMなどは一切なく、映されてる映像からしか内容はわからない。

    出馬した山さんこと山内和彦は、それまで特に政治に関わっていたわけでもないのだが、川崎市議選補選の候補として出馬する。本職は切手・コイン商(マニアック過ぎて笑ったw) 日本の選挙にありがちな名前連呼とあいさつ回りなどの選挙活動を必死に行い、自民党の全面的な支援もあり、当選。

    神奈川新聞の記者からの取材で政策のことを聞かれても、明確なことを言えずに口ごもるという中身の無さなんだけど、日本の選挙にあってはそんなことはどうでもよく、ただ「小泉自民党の山内和彦です。改革を進めてまいります」といか言いながら通行人に握手するだけ。で、当選しちゃう。 

    これが海外でウケる、というのはよく理解できて、まさにジャパニーズスタイルと呼べる特殊性がにじみ出てるんだと思う。「顔を合わせてると意見が違う人でも、なんとなく親しみがわいてくる」みたいなことは一般的にあるけど、まさにその論理で、中身じゃなくて(なんとなくの)人柄・イメージだけで選挙に勝つという。

    こういうドブ板選挙って、結局ムラ社会(地元の有力者、コミュニティ)に媚びて、あとはいわゆる「B層」にどう好印象を与えるかってことだけが重要で、ホントに見ていて哀しくなってしまう。 

    東大出で、大企業とか官僚なんぞになることにも興味なく(たぶん)、細々と切手・コイン商なんてやってた山さんが、新自由主義を進める小泉の下っ端議員になって、「改革を進めます」とかいうのは一体なんなんだかわからない(そしてそれを支持した世論ももちろん意味不明)。

    しかも山さん、郵便局関係者の有権者と話すとき「小泉さんは郵政民営化とかやってますけど、僕は関係ないです。うちも郵便局一家なんですよ」みたいなこと言ってて、なんか笑ってしまった。

    想田監督の出世作でもあり、地味ながらもコミカルで飽きない。
    一見の価値あり。

  • 私はずっと、こういうものが観たかったんだなと、改めて気づかされた。
    何も押し付けられない、ということの快さ。
    何をみて何を感じるか、本来それは自由なことなのに、テレビなどを見ると、あるひとつの感情だけを押し付け、それ以外の感情はまるで悪だとでもいわんばかりである。感じたことに、正解も不正解もないはずなのに。
    注意しなければいけない。思考をやめた瞬間、私たちはたやすく誘導され、その渦に飲み込まれてしまう。

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  • 日本の選挙制度って、政治って、なんか“滑稽”だなぁと思わされる映画。

  • ラジオ体操 家内はおっかない 開票の時いない おばちゃんの公明党dis 切手 落下傘候補

  • 自民党になぜか選ばれ川崎市会議員の補欠選挙に出馬することになった山内さんの選挙活動を負ったドキュメンタリー。
    想田監督による観察映画の手法がとられています。

    観察映画とは台本、脚本なしで題材をただただ撮影し、編集するのみ。ナレーション、テロップ、BGMがないのであたかもその場にいるような臨場感を味わうことができます。

    主人公の山内さんは政治に関して素人。なんせ気ままな切手コイン商を営んでいたんですから、、、会社を退職する必要もなく立候補できるので白羽の矢が立ったんでしょうかね。
    白羽の矢が立ったといっても地盤も後援会もなく、ひたすら苦労する。
    日本の選挙なんて今でこそ少しは変わりつつあるも選挙カーでひたすら名前を連呼して名前を覚えてもらって書いてもらう。
    このばかげた選挙戦を戦い抜く素人夫婦を観察手法で追いかけてますのでいろいろと伝わってくるものがあります。

    そして海外の人にはとても信じがたい選挙戦で新鮮だったでしょうね。

  • マック赤坂、スマイル!
    選挙をドキュメンタリーとして追いかけるのと同じ手法で成立しうるイベントってたくさんあるんだろう。

  • 観察映画とはよく言ったもので、選挙活動の至るところ、カメラが空気のように存在する。とはいえ、ここまで違和感なくカメラの存在感を消せるまでにどういったプロセスが必要だっただろう。監督はフレデリック・ワイズマンに傾倒しているというが、膨大な時間をかけて撮影されたフィルムを厳選しておよそ2時間に凝縮したのだろうか。

  • ドキュメンタリー映画としてはおもしろいと思う。
    選挙の舞台裏なんてそうそう見れないと思うから。

    選挙の大変さはわかるのに、選挙活動の残念な感じ。とにかく候補者の名前を刷り込むことだけに力を注いでいること。握手とか。演説とか。

    余計に選挙に興味がなくなった。

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著者プロフィール

1970年、栃木県生まれ。映画監督。東京大学文学部宗教学科卒。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。台本やナレーション、BGM等のない、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。監督作品に『選挙』『精神』『peace』『演劇1』『演劇2』『牡蠣工場』『港町』『The Big House』『精神0』等があり、海外映画祭等での受賞多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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