あ、これってゲット・ショーティの続編だったのね!
知らなかったわー。
だからダニー・デビートが特に意味もないのに
チョロチョロ出てきてたんだな(前作ではキーとなる大物映画俳優役だった)。
そんな事情も知らない2005年の作品を借りたのは
パッケージのロック様、ドウェイン・ジョンソンさんの
小さめアフロに泥棒ヒゲの、「なんだこれ」なお姿を拝見してしまったため。
これは借りずには居られまい。
主役はチリ・パーマー。ジョン・トラボルタです。
前作では、取立て屋だった彼が、映画業界へ乗り込んでって
プロデューサーになる話だったかと思います。
今作はその後。
すっかり映画業界に飽きたチリ。
もう辞めようかな、みたいな話しを友人のトミーと街中のカフェでしていたら
急にカツラのロシア人が襲撃してきて、トミーを撃ち殺します。
「ドラマ」の棚にあったのを借りてきたのですが、
ここで銃を撃つたびカツラが跳ね上がり、それを抑えつつ銃撃するロシア人を見て
「あ、これはコメディなんだ」と確信。
で、そのトミーは音楽業界の人で、小さなレーベルを妻イーディとやっていた。
でも、それも金銭難で、唯一のヒットを出したギャングスタ・ラッパーグループ、
“Dub MDs”への支払いも滞っている始末。
たまたま立ち寄った店で、ショーガールをやっていたリンダ・ムーンの歌声に、
彼女を売り出してやろうと考えていたチリ。
イーディの元へ行き、リンダ・ムーンのプロデュースをすると共に、
トミー&イーディのレーベルを再建してやろうと立ち回るのでした。
このイーディがユマ・サーマン。
パルプ・フィクション以来?のトラボルタとのダンスシーンも見ものでした。
さて、このリンダ・ムーンという少女が働いていた店なのだが、
一応ここも芸能事務所、ということになっており、リンダは契約に縛られている。
社長のニックをハーヴェイ・カイテル、部下のラジを
「俺達」シリーズや「ドッヂボール」なんかでおなじみのヴィンス・ヴォーン。
しかし、ヴィンス・ヴォーンは悪い役をやるときはキャラが濃すぎていつも同じだな。
こいつらは、なんだったらチリを殺してでも、と考えており、殺し屋まで雇う。
のだが、コイツがアホで勘違いでチリを殺しにきたロシア人を殺しちゃった癖に
散々にラジ&そのボディガードを馬鹿にするので、怒ったラジに殺されてしまうというオチ。
(しかし本当の死因は、バカにしている際にノドに詰まらせたサンドウィッチによる窒息)
ここで出てきたボディガードがわれらがロック様です。
もともと俳優志望で、その芸能事務所に入ったんだが、仕事がないのでボディーガードをしている。
ただしゲイ。が、それをバカにすると激高する。
得意技は片眉を上げた表情だけ。
ラジと共にチリを脅しにかかるのだが、チリは前作で映画プロデューサーで名前を売っているだけに
「オーディション来る?」の一言でメロメロ。
これだけドロドロに甘えた表情になるロック様もなかなか見れないのでは。
この映画では結構大きく扱われているロック様ですが、その扱いは上記のように完全にネタキャラ。
オーディションを期待して、真っ赤なブーツにピタピタのズボンを買ってご満悦。
お尻をピタンと叩いてポーズ!
また、なかなか連絡をくれないチリに怒り、勝手にイーディの家に入り込んで
脅してやろうと待っていた(でも暇なので自分のPVを流しながらくつろいじゃった)が、
怒りをぶつける前に口八丁のチリにうまく言いくるめられてニコニコして帰ったり、
非常に愛らしい、手のひらで転がされまくるバカを演じてます。
当時2005年では、ハムナプトラ&スコーピオンキングで名を売ったものの、
そういったのに俳優としては、WWEがケツ持った、彼主役の御山の大将映画にしか出ていなかったわけで、
必死に仕事を欲しがる様なんかは、結構当時の彼の心境にあってたんじゃないかな、と思ったり。
それらに比べると、本作はいわゆる大物映画人の映画人による映画なわけで。
結構気合入ってたんじゃないかなー。
それなりに爪あとは残してると思うぞ。
最近はどの映画に出ても、割とどれも「ロック様しゃべり」だったりするんだけど
ここでは全然まだその形になってなくて。
でもやっぱ、これとか「ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金」のバカマッチョ役とか、
「妖精ファイター」みたいなコメディとか、愛されるバカ役も出来るのは大きいな。
一時、アクション全盛から下ったあたりで、シュワとスタローンの差がまさにそこだったように、
いわゆるWWE上がりのアクションスターとの大きな違いはそこなんじゃないかと思ったりします。
大きく脱線しましたが、殺し屋をラジが殺しちゃう羽目になったのも、
ラジが頼んだ「バット買って来い」に、ロックが“赤いスチール製バット”を買ってきちゃったから。
オカマかい!ということで大笑い(&パンをのどに詰まらす)になったわけです。
で、そのバットでフルボッコにしてやったと。
あ、ロシア人一味はもともとトミーとのいざこざで彼を殺すことになったんだけど、
その目撃者であるチリを消そうとして狙ってる。
さらに支払いが遅れてる“Dub MDs”も「ギャングスタなめやがって」と
チリ&イーディに機嫌を切り、遅れたら殺すと。
ニック&ラジの芸能事務所を含めて三方からターゲッティングされるチリ。
ただね、ここが口八丁手八丁のところで、非常に小気味よくこの状態を脱出。
ロシア人とニック&ラジは同士討ちや自滅するようにけしかけ、
“Dub MDs”はリンダの才能を見込ませ、仲間に取り込む。
「いくら歌がうまくても、売れるわけじゃねぇんだぜ」
に対する秘策は、なんとエアロスミス(本人)との競演。
かつてエアロスミスのツアーに同行して洗濯係をやっていたイーディを
スティーブン・タイラーに無理やり再会させると、彼がイーディを覚えていて、
そこからはまたチリの口車の出番です。
タイラー&リンダのデュエットによるコンサートシーンはさすがに格好良すぎ。
さらに、ボディーガードのロックには、
リンダのPVのダンサーとして実際に仕事をオファー。
満面の笑みでサモアンダンスを踊るロック様はやっぱり可愛い。
こうしてみると、数々のごたごたに対し、
「才能あるものは味方に、それ以外の雑音になる連中は排除」したことになるんだな。
超有能プロデューサーだぜチリ。
しかも、“Dub MDs”を仲間にするために、表向きのプロデューサーの肩書きを
彼らのリーダーに明け渡しちゃってるんだよね。
「これだけ苦労してシンガーを売り出して、プロデューサーの俺が報われるのは
そのアルバムの最後にちっさく一行、俺の名前が載るってだけなんだぜ」
と、言ってたのはニックだったか。
最後には賞をとり、壇上に上がるリンダと“Dub MDs”の面々を見ながら
笑顔で会場を去るチリ&イーディ。格好良すぎるぜ。
そんな感じで、世間的にはあんまり評判よろしくないようなんですが、
展開も面白く、豪華な面子(カメオも多かったなぁ。セス・グリーンはもっと見たかった。ジーン・シモンズはどこに出ていたんだ?)に
ハッピーなストーリー、さらに素敵なロック様(今回半分くらい彼の話だったな)も見れて俺的には大満足でした!
映像特典のロック様PV
監督「PVでやってはいけないことをすべて詰め込んだ、最高にダサイ作品だ」
も必見!