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- / ISBN・EAN: 4523215020794
感想・レビュー・書評
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救いのない環境の中でも民衆は逞しく生きて行く。信念だけは貫きたいものだ。それも、甚だ難しいことだが。
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戦闘機の爆音が鳴り響き、老歌手ミルザは言う。
「この轟音。これも歌だ。イラク軍のね。」
ミルザ親子はクルドの民族音楽を歌う。同胞を癒し鼓舞する生命の賛歌だ。
イラン国内ではにぎやかに珍道中を繰り広げた個性豊かな3人のミュージシャン。イラク側に入るやいなや、クルド人のおかれた厳しい現実を目の当たりにする。
そしてラストで彼らがそれぞれ手にした「希望」、子供たちであり若い男女の愛に、監督の平和への思いが溢れている。
派手な戦争映画と違い、土でつくったレンガの家や、雪深い山岳地帯で、終始爆撃音が鳴り響く悲劇の中で生きていく、クルド人のリアルな生活が感じられた。
「戦争で歌は忘れられてしまったわ」
「まさか、人々はみんな歌ってる。歌は永遠だ。人々から歌を取り上げることはできない。」
歌は爆撃では奪えない、次代に引き継ぐ民族の心だろう。
〔080927鑑賞〕 -
歌は永遠だ。人々から歌は取り上げられない。
彼らは爆撃機が飛ぼうと愛の歌を高らかに唄い、父の愛した女性を探す為イランからサダムの圧政の敷かれるイラク国境へと旅に出る。
決して我々日本人にとって馴染みのないクルド人の歌だが、愛や苦しみの歌はどんなメロディであろうと我々にも伝わってくるのだ。
これは父の愛を探す旅であると共に、息子達の生き方をも変える旅である。