ニューポート・フォーク・フェスティバル フィーチャリング・ボブ・ディラン [DVD]
- ヤマハミュージックアンドビジュアルズ (2012年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988112610958
感想・レビュー・書評
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マレー・ラーナー監督によるニューポート・フォーク・フェスティバルのドキュメンタリー作品。1967年に公開された。
数多くのアーティストが出演した昼の部、夜の部のステージと共に、来場した若者や年寄りへのインタビュー等を挿入し、当時のフォーク・ファンの音楽への認識も語られる。
コンサートこの作品に収録されているDylanのパフォーマンスは3つ。
昼の部の"All I Really Want To Do"、夜の部の"Maggie's Farm"、"Mr.Tambourine Man"だ。
"All I Really Want To Do"は、ジョーン・バエズの紹介に促されて登場。熱狂の中、トリとして笑顔でステージに上がっている。
スタジオ・ヴァージョンに忠実に演奏されており、観客の聴き入っている。
バターフィールド・ブルーズ・バンドを従えて行った"Maggie's Farm"は、一般にフォーク・ファンからブーイングを浴びたと言われているが、映像を見る限り、歓声と怒号が交差しているような反応だ。少なくとも、最も大きな反応を受けているのは間違いない。
マイク・ブルーム・フィールドがDylanの横で、体でリズムを取りながらエレクトリック・ギターを弾く姿も印象的。
"Mr.Tambourine Man"を歌う前には、「Eのハーモニカをもっていたら貸してくれ」と周囲に頼むDylan。
これもスタジオ・ヴァージョンと同様の弾き語りが楽しめる。
他にも、Dylanに関しては、リハーサル映像で"Like A Rolling Stone"のフレーズが聴けたり、昼の部の演奏後、車に乗り込み、後方の窓ガラスを叩くファンに応える場面などが見れる。
Dylan以外で本作の中心人物はやはりジョーン・バエズ、そしてPPMだろう。
ジョーンは「若者は好きよ」と言い、言葉を伝えることに熱中、ファンサービスもこなしている。
反応を見れば、当時のフォークファンにとって女王的存在だったのはよく分かるし、一方で、Dylanを"若者の代弁者"として紹介している姿を見ると、(彼女自身がDylanに)心酔している一方、Dylanにとってはもはや、望まざるイメージを押し付ける重荷になっていった感もしなくはない。
良くも悪くも優等生だというのが作品から受けた感想だ。
PPMは、"The Times They're A-Changin'"、"Blowin' In The Wind"といったDylanのカヴァーをはじめ、かなりの曲数が収録されている。
やはり、当時のフォーク・シーンの中心にいたグループの1つだということは間違いない。
その他、フェスティバルには、フォークに留まらず、ブルーズ勢も出演。中でもサン・ハウスやミシシッピ・ジョン・ハートの演奏シーンは中々見れない貴重なシーン。
マイク・ブルーム・フィールドがサン・ハウスについて語る場面も収められている。
Dylan以外で私が最も印象に残った場面は、"Maggies Farm"演奏シーン直前の婦人へのインタビュー。
"ロックンロールが隆盛しているが?"とでも聞かれたのだろうか、彼女は笑顔でこう応える。
「今フォークと呼ばれている音楽も、かつてはポップスだったのよ。変わっただけよ」詳細をみるコメント0件をすべて表示