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- / ISBN・EAN: 4988105056732
感想・レビュー・書評
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井伏鱒二原作、渋谷実監督、1952年作。
<あらすじ(ネタバレ)>
三國連太郎や鶴田浩二も出演するが、主演は柳永二郎扮する医者が折角の休診中に次々とヤボ用に悩まされる。
<コメント>
テンポがよく、ドラマチックな何かが起きるわけではないが、退屈しないで楽しめる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おもしろく、はないんだけどさ、渋谷実の劇画的な、わざとらしさを日常におとす演出はすきだよ
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テンポがよく、見ているものを飽きさせない作品である。
柳永二郎演じる主人公の医者は、お酒に酔った状態で診察をするなど、いまでは考えられないような行動をとるが、余裕があり、寛大な心で患者や人々と接する。登場人物の情に基づいた行動から、温かい人間ドラマを見てとることができる。 -
戦争の傷跡が深く残る時代に作られた喜劇映画。
今なら問題になりそうな言葉や描写がどんどん使われる。
傷跡が深いと言っても、今よりもずっと窮屈でなくおおらかな時代であったのだと痛感する。
映画自体は単調で、のちの大スターが勢ぞろいしている映画なので、なんとか観られるが、でなければ飽きる。 -
89点。井伏鱒二の同名小説と「遥拝隊長」の二つの短編をもとにした風俗喜劇。監督は渋谷実。昭和27年製作。
終戦から一年。老医師・三雲八春は、本日休診の札を掲げて、看護婦たちを慰安旅行に出してやった。そんな居残りの彼のもとに、次から次へと突飛な事件が舞い込んでくる。まだまだ人々の生活は苦しく大変なことばかりだが、ユーモアと思いやりを持って乗り越えていこうとする姿には強く胸を打たれる。
「気違い」「かたわ」など現在では使用することを憚るどころか禁じられている表現がしばしば使われるが、決してそういった人を見下して使っていない。
例えば戦争で精神を病んだ青年(三國連太郎の演技が素晴らしい)が登場する。彼の突拍子もない行動や言動に皆が困惑しながらも、突き放したり差別することなく付き合っている。それは戦争で息子を失った先生自身の経験がそうさせるのかもしれないし、何より戦争の爪痕と記憶が残っているからこそそのような人情ある見方ができるのかもしれない。いい映画でした。