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- / ISBN・EAN: 4988105058422
感想・レビュー・書評
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お盆なので『男はつらいよ』を観賞してみました。(^o^)
が、この作品はお正月バージョンでした・・・。(>_<)
1972年、松竹映画。監督は山田洋次。シリーズ第10作です。
主演は渥美清で、マドンナ役は八千草薫。
そのほか主な共演としては、寅次郎の恋仇で東大助教授役の米倉斉加年、そして特別出演(?)として、田中絹代がいます。
「とらや」の面々はいつも通りで、おいちゃん役は2代目の松村達雄ですね。それから、登役の秋野太作も登場します。
今回の主な舞台はやはり柴又で、「とらや」の面々のほか、御前様(笠智衆)や源公(佐藤蛾次郎)がそれなりに登場するので、寅さんとわいわいやって楽しい限りでした。
今回の東大助教授役は米倉斉加年にぴったりでしたね。彼はこういう根暗な知性派役がとても合うんですよね。(笑)
ある意味、寅さんとは対極の地位にある登場人物ですが、食卓での造作といい、女性への惚れ方といい、寅さんとは共通するボケがあって、寅さんとの対照さがなかなか良かったです。特に、食事でのボケ方は楽しかったですね~。
今回の『男はつらいよ』ではクラシック音楽が多用されていて、これも米倉斉加年の雰囲気にぴったりでした。
そういう意味では、女優陣の八千草薫といい、田中絹代といい、こちらの方もクラシック音楽が似合っていたかもしれませんね。
そして、マドンナ役のお千代さんこと八千草薫ですが、さくらの倍賞千恵子と姉妹のように扱われていて、これも楽しかったです。おでこコンビとさんざん寅さんに言われて、こちらもニコニコのし通しでしたよ。(^o^)
そんな中でまさかお千代さんの意中の人が・・・。自分のことはさておき東大助教授のためにひと肌脱ごうとしていた寅さんは・・・。
何だかこの辺りはちょっと拍子抜けしてしまった感がありました・・・。(^_^;
あと、田中絹代は往年の名女優さんですね。正直、私はリアルタイムでは知らないのですが、この映画では旧家にひとり残された初老の女性という役で、年相応の役柄をきっちりとこなされておられましたね。寂しさの中にも威厳を併せ持つ役柄が素敵だったと思います。
今回の寅さんでは最初に縁談話が持ち上がるのですが、ここに至った経緯はちょっと曖昧ではあるものの(笑)、皆が四方に散って縁談を探してくるもことごとく断られ、皆でわいわいやるシーンが特に楽しく、今回の結末とも対照的になっていて、物語展開の面白さでも魅せてくれた作品でした。
ところでこんな好条件でも結ばれないとは!?寅さんの恋の旅路はまだまだ続く・・・。 -
"男はつらいよ"第十作。恒例?出だしの夢落ちはマドロススタイルでマレーの寅。こういう決め方が寅さんの理想なんだろうなあという(笑)
真面目な嫁探しから始まる本作、けれども人口に膾炙する悪評にまったくうまくいかない。そんな中、水と油のインテリ先生の下宿、結婚に失敗した幼馴染の女性との再会で物語理が動き出す。。。
珍しく他人の恋愛を寅さんがからかう形で話が進むが、一方で寅さんにも秘めた思いが、って子供の恋愛かよと。最後の身を引くというか、逃げる気持ちはわからなくはないけれど、一歩踏み出して幸せになってもよかったのにとちょっと切ない。 -
寅次郎との旅、再開。
いよいよ二桁台突入…といってもまだ1/5程度なのだから
このスローペースへの鞭を持つ手にも改めて力が入る。
マドンナは八千草薫。数年前、彼女にはっと目を奪われたのは寺山修司監督作品である「田園に死す」(1974) を通して。アングラ、アバンギャルドと分類されがちなその作品におけるキャスティングの中で、唯一伝統的な銀幕女優が紛れ込んでいる感じがしてその役どころも手伝って浮き立ち度が抜群であった記憶が生々しい。そのすらりとした美しさにその後触れたのがいきなり飛んで2013年発表の「舟を編む」であったせいか、本作での彼女の「わけあり女」役はその2つの年齢の間に落ちるものと当初勝手に想像していたのであるが、実際に時系列に並べてみると本作の発表年は「田園に死す」より更に2年前ということで、この二本の間での彼女の印象のギャップが若干解せないままである。72年当時、彼女は四十も超える頃であり、寅さんでの印象の方が実年齢には近いのかもしれないが寺山修司はよほど彼女を若く撮るのがうまかったということなのだろうか…。
田中絹代の登場には心のうちにて拍手喝采。当時既に六十代も半ばということもあり老助役がハマりだしている。自分が観た彼女の登場映画としては「香華」(1964)、「赤ひげ」(1965) の後をゆく、最晩年期のものとしてランクインしたらしく、ともかく名優が出演する作品をまたひとつ確認することが出来たとしてスタンプカードに判を押しておきたい。
また本作で居候学者を軽妙に演じる米倉斉加年がほんの数カ月前に没していたことを鑑賞後に知った。彼にはこの後何度か本シリーズを通してお目にかかれるらしいということも学んだため、心して彼の演技を観させていただこうと決意した次第。 -
寅さんは出戻りの幼馴染を好きになるが、寅屋の二階に住む大学教授もその女性を好きになり。。。
前々作の寅次郎恋歌でもあった寅さんがフラれるのではなく、自分から身を引くパターンが明確に出てくる記念すべき作品。マドンナは寅さんを好きだというのに、寅さんからフる。しかも、そのヒロインが八千草薫なのだから本当にいい。
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キズのせいで真ん中の10分くらい観られず。再開したところからでも内容は分かるので問題ない。行商人仲間の為三郎が旅先で死んだという話を聞かされて気落ちする寅次郎。いつか野垂れ死にするかもしれないという思いはいつも心の片隅にあるゆえに。美容院を営む千代に恋する東大の数学教授を寅次郎が応援するというのが今作の本筋。告白の代理をするが、千代に寅次郎からのプロポーズだと誤解され、その上その申し出が受け入れられてしまうところがハイライト。当然、寅次郎は誤解されたのをいいことにそのまま所帯を持つなんてことはしない。中学時代に観たとき「なんでここで身を引くんだろう」と不思議でしょうがなかった。大きくなったら分かるだろうと当時漠然と考えていたけれど、今観てもやっぱり不思議なまんま。「あわよくばなんて考えは不潔だと思ったから」「結婚をすることで今の二人の関係を崩したくなかったから」「単に照れくさかったから」「女の人の方から愛を表明されて満たされた状態になることが久しくなかったため、いざ満ち足りてみるとそんな自分が今までの生き物とはまるで別物のように感じられて具合が悪かったから」「社会の束縛からひたすら逃げ続けてきたから」「そもそも恋愛とは合理的に進まぬものだから」などと頭でひねり出すことはできるけれど、どれも納得いかないんだよな。
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八千草薫の端正な美しさに見とれた。にしてもなぜ寅さん、告白されたのに逃げるんだよ。ダメだなあ。1作目から順に見始めて思ったのは小津安二郎作品との共通性。嫁探しをまわりが手伝うとか恋をするけど結ばれないとかいうワンパターンな作りが、小津安二郎の映画にダブって見えてきた。
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マドンナは八千草薫
こちらもマドンナにふられて柴又を後にするという通常パターンとは異なる展開、
個人的には定評のある大地喜和子のシリーズよりも好きだ。
この作品、見終わった後ちょっともやっとするものの、米倉さんが意外にも(笑)
良い味を出していたから「ま、い...
この作品、見終わった後ちょっともやっとするものの、米倉さんが意外にも(笑)
良い味を出していたから「ま、いいか」と思いました。
タバコを食べちゃうシーンとか、笑いましたね。
八千草さんも、「ラッキョウ!」なんて言われてて可笑しかったです。
田中絹代さんも、重厚感がありましたね。
ゲストの俳優さんによって多少味わいが変わるのが面白いのかなと思いました。
とらやの茶の間のシーンは、いつ見ても安心感があります。
ケンカしていても楽しそうですものね!
私は昨日、シリーズの中でも人気の高い「夕焼け小焼け」を観ました。
宇野重吉さんが絵描きで登場する、たつの市が舞台の作品です。
セリフをほとんど覚えている自分を、笑いました。
コメントいただき、ありがとうございます!(^o^)/
この作品では米倉斉加年の上手さが光っていまし...
コメントいただき、ありがとうございます!(^o^)/
この作品では米倉斉加年の上手さが光っていましたよね!(^o^)
特にあの食卓シーンでの食べ方が面白いんですよね。♪
それから、食べながら専門書を読んで、3次元から4次元へボールを投げた場合の動きについて、くっくっくっと笑っているシーンなんか、もう最高でした!(^o^)v
タバコも食べちゃうしねっ!(笑)
おっしゃる通り、とらやのお茶の間のシーンはいつも安心感があって楽しいですよね。
どんな客が来てもいつも通りにみんなで会話して、わいわいできる素晴らしさがありますよね。
あんな開放的な空間はいまの日本にはきっと珍しいんでしょうね。(^_^)
『夕焼け小焼け』は私も好きな作品です。
宇野重吉さんが日本画の大家の役をやっているんですよね。
私は神田の古本屋さんでの寅さんと大滝修治の会話が好きですね。(^o^)
ラストは粋な展開になっていて心が洗われるようでした。
あ~私もまた観たくなりました!(^o^)