- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988105058439
感想・レビュー・書評
-
1973年、松竹映画。監督・脚本は山田洋次。シリーズ第11作目です。
主演はもちろん渥美清。そして今回のマドンナは浅丘ルリ子です。
とらやの面々としては、おいちゃん役に松村達雄、おばちゃん役に三崎千恵子をはじめとして、諏訪家としては倍賞千恵子、前田吟、満男役には中村はやと、それに御前様の笠智衆、源公の佐藤蛾次郎、タコ社長の太宰久雄といつもの面々が相変わらず賑々しく登場しています。
また、この頃常連だった吉田義夫やタコ社長の会社の従業員として江戸家猫八、寅さんが勤労意欲に目覚める酪農農家の人に織本順吉、ラストの寿司屋主人として毒蝮三太夫らも登場しています。
寅さんの運命の想い想われ女性、松岡清子が初登場!
「うん、あぶくだよ。それも上等なあぶくじゃねいやな。風呂の中でこいた屁じゃないけども、背中の方にまわってパチンだよ。」(車寅次郎)
寅さんと似たような境遇の女性リリー。ひょんなことから知り合い、シリーズを通していつまでも心と心とが本当に触れ合える仲になったその出会いの作品です。
リリーとの会話で渡世の無常を感じてなぜか勤労意欲に目覚めた寅さん。朝3時起きの僻地開拓の酪農家で働き始めるも1日で体力が続かず寝たきりになってしまう。
さくらが北海道の果てまで迎えに行きしばらくとらやで養生するも、とらやのみんなの会話に気を悪くしてまた北海道へ働きに出ようとするが、とらやの店先でばったりとリリーと再会を果たします。
リリーを囲んで花が咲く寅さんの恋の遍歴は楽しいことこの上ないですね!
「あたしの初恋の人、寅さんじゃないかしらね。」(リリー)
寅さんと同じ匂いを持つ渡世女として浅丘ルリ子が醸し出す孤独感・寂寥感は半端ないですね。
そんなところが、寅さんシリーズにマッチすると思われたのでしょうか。
やっぱり寅さんの相手は同じ匂いのする女がしっくりくるようですね。
そんな寂しい女を目いっぱい慰める寅さんの優しさには僕らもしっかりと絆されてしまいます。
そして、去った彼女を探し求める寅さん。そこでのすれ違いも寅さんの優しさが凝縮されていて、そんなところが私たちをとりこにするんですよね。
「あたしほんとはね、この夫より寅さんのほうが好きだったの。」(清子)
この言葉で、寅さんが感じる寂しい気持ちがオーバーラップされてくる手法は唸るほかないです。
そして、余韻を残しながらも、実はまたに繋げるという企みがこの時点であったかはわかりませんが、結果として次回へも繋がる深い言葉にもなりました。
山田洋次監督、にくいね~にくいなあ~。
寅さんはリリーとの会話で無理にカタギを目指した上に失敗したけれど、リリーはまっとうにカタギになったんだという一見、対照的な終わり方だったんですが、最後にさくらと対する言葉の節々にやっぱりカタギにはなれない匂いが感じられました。
寅さんと同じ匂いを持つキャラだっただけに山田洋次監督もまた活かしたかったんでしょうね。
毎度の監督の鉄道愛と、渥美清が実は殺陣も上手かったんだという一面も見れて楽しかったです。
あー次はどれを観ようかな♪ -
ほら、逢っている時は 何とも思わねぇけど
別れた後で 妙に思い出すひとが いますね
・・・そういう女でしたよ あれは
本作「忘れな草」で寅はときめかない。
いつも一目惚れして小躍り始める寅が、出逢いからしてときめかない。
女旅烏リリーには共感を覚えた。
リリーは共通の価値観を持った異性だった。
寅にとってマドンナは“堅気への憧れ”に通じていた。
山田 洋次は本作で遂に、共に歩んでいけるヒロインを登場させた。
今までのマドンナ達を総括的に思い出すシーンもあったし、
ひょっとして山田 洋次は本作で大団円にしたかったのではなかろうか。
しかしリリーを寿司職人と結婚させてしまうことで寅の物語は続くことになった。
因みに15作でリリーは早々と独身に戻っている。
リリーも堅気になりきれなかったことになり、やはり寅しかいないのでは?
と二人の今後の物語を映画の見どころのひとつとする事に成功した。
ところで毒蝮の存在感は寿司職人 石田良吉のキャラを立たせ
ひとつの世界観を形成していた。流石、怪優と思った。
寅とリリーは堅気に憧れ、堅気に成れず、しかし共に生きていける人と巡り会った。
運命のヒロイン、リリー初登場の第11作(’73)。
以降、15作(‘75)、25作(‘80)、48作(’95)、特別編(‘97)へと
二人の物語は紡がれる。
(111114鑑賞) -
"男はつらいよ"第11作。浅丘ルリ子のヒッピーな格好や蓮っ葉な感じがいかにも70年代な感じ。流しの歌手と渡世稼業の二人、どこか心の底にある寂しさを共有して珍しく仲が進むが。。。
寅さんの片思い遍歴で盛り上がる場面もそうだけれど、二人の境遇は似ているようでやっぱり違うんだよな。それが結局、帰る場所のある寅さんと、それがないリリーの振る舞いの違いになってしまう。最後リリーが自分でその場所を作るオチは、良かったと思いながらも、寅さんがあの時受け止められたらなあと思わずには入れなかった。でもあれが二人の違いで仕方がないとも思う。
そのほか、冒頭のピアノをめぐるごたごたは、当時の庶民の夢と寅さんの世間からのずれが伝わってきて、これもまたおかしく、少し寂しい。今作でも珍しくさくらの出張あり。北海道の牧場で三日坊主ならぬ三日でダウンは寅さんらしいなあと(笑) -
四角い顔のツバメ。
-
満を持してのマドンナ浅丘ルリ子登場。この先あと三本に登場というから大したもの、よほどの人気であった様子。珍しく寅さんの今までの「片思い遍歴」に話題が及ぶシーンが含まれていたが、結構それぞれのマドンナの役名を覚えていない自分を改めて認識。まだまだ寅さんマニアとは自称できない域であることを感じずにはおられず。
網走に向けての移動シーンにおいて「北の国から」で使われていた楽曲が一瞬登場した際はつい反応(笑) TVシリーズが開始されるのは本作より八年後。つい関連性を探ってみたくなったり。 -
寅さんが同じような流れ人のリリーと出会う。
『男はつらいよ』はリリーというキャラクターを得たことでまた一段上に上がったように思える。それくらいリリーという存在はせつなく味わいが深い。
こんな何とも言えない別れ方は別のヒロインではありえない。やはり寅さんの最高のヒロインはリリーである。 -
浅丘ルリ子演じる松岡リリーが初登場。「男はつらいよ」シリーズのお手本のような作品。お茶の間で寅の過去の恋愛をおさらいする場面良かった。
-
第11作。
マドンナはリリー。
シリーズ初、マドンナも流れ者という設定。
そして、シリーズとしては珍しく、寅さんがマドンナに惚れているという描写がほとんどない。
恐らく寅さんの感情は、「リリーは可哀想なやつなんだよ」というセリフに凝縮されているのであろう。
また、そのセリフは寅さん自身にもはね返ってくるものであり、「可哀想なのは兄さんの方かもしれないな」という博のセリフが突き刺さる。
本作は、流れ者という生き方の自由と孤独くっきりと描いており、間違いなく名作だろう。 -
ピアノを買うかどうかとかそうした話でくるまやの一同に非難されて家出。網走へ。そこで旅の歌手リリーに会う。リリー役の浅丘ルリ子のあばずれな感じがなんとも色っぽく魅力的。その魅力だけで一本もたせただけの回。御前様との掛け合い、網走の街並み、牧場の風景、そして最後の毒蝮三太夫というのも話を退屈させなかった。だけど寅さんは相変わらず人でなしだった。
リリーさんは歴代のマドンナの中でもひときわ輝いてますよね。
他のマド...
リリーさんは歴代のマドンナの中でもひときわ輝いてますよね。
他のマドンナが物足りなく見えるくらいです。
いつもは女性に気を使ってばかりの寅さんが、何故かリリーさんにはキツイことも平気で言います。
でもまた仲直りします。相性がいいんでしょうね。
忘れな草もいいけど相合傘も大好きです。
船越パパと、あの「メロン事件」がある回。
あとは夕焼け小焼けと伊予の殿様が出てくる回。そして、第一回の作品。
あ、聞かれもしないのにマイ・ベスト5を告白してしまいました・笑
渥美さんは(顔が大きいので)時代劇の衣装も似合います。股旅ものの恰好なんてすごくハマりますよね。
ああ、嬉しくてずうっと喋ってますね。
また次も寅さんでお願いします(*^-^*)
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
やはりお盆とお正月は寅さんが欠かせませんね~。...
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
やはりお盆とお正月は寅さんが欠かせませんね~。(^o^)
寅さんにとってリリーはやはり特別な存在だったんですよね。
回を重ねるごとに深化されていく関係性にも見応えがありましたよね!(^o^)
nejidonさんのマイ・ベスト5、ありがとうございます!(^o^)/
「メロン事件」は面白かったですよね。私も好きなエピソードです。
あと夕焼け小焼けの大滝秀治との会話も面白かったなあ~。(^o^)
今回は寅さんの太刀さばきも出ていましたが、意外と抜き打ちがうまくて驚きました。(笑)
案外、喜劇な時代劇でもハマったかもしれないですね!
実は次は『座頭市』でも観ようかなあと・・・。(笑)