アイズ ワイド シャット [DVD]

監督 : スタンリー・キューブリック 
出演 : トム・クルーズ  ニコール・キッドマン 
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
3.37
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4988135601445

感想・レビュー・書評

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  • 「夫婦の双方に方々で異性の誘惑があり、お互い一瞬はそれらに惹かれて片足を踏み入れるもハマらずに"日常の家庭"に戻ったお陰で、冷えかけていた夫婦愛に再び火が灯るまでの過程を描いた映画」の一言で説明できる、何の変哲もない内容。これは監督&主演二人のネームバリューがあるからこそ評価されているようなもので、それらがなければ記憶に残らない映画だったろう。
    賛否両論あるようだけど、これがスタンリー・キューブリック監督の遺作になった事、私は良かったと思う。もういいおじいさんだったのだから尖がっていない、才能ある人がこういう保守的で穏やかな内容が最後だったなんて平和だ。それに、このようなテーマは、酸いも甘いも噛み分けた年齢に達した監督しか良い作品は作れないと思っている。中年以下の年齢の若い監督には作ってほしくない。深みも説得力もきっと無い薄っぺらい作品になりそうだから。


    10年くらい前?に観た時は、テーマがいまいちわからない内容にたまにエロティックなシーンが出てくる(特に面白くはないという意味で)普通の洋画、くらいの印象だった。わっけわからないから、面白くなかった。でも、二人が実生活でも実際に夫婦であるってことは知っていた。
    わからなかったのも当然かもしれない。
    街でビルに声をかけた娼婦を、当時の私は、彼の知人だから彼は彼女の部屋に訪れたのだと思って観ていたくらいだから。まぁ、わからなくって当然かも。
    夫婦を軸とした大人の男女の性についてなんてまるで無知だったし想像もしなかったし関心さえなかった。
    だから、今、改めて観るとまた違う見え方となった。
    だから映画って奥深い。

    とりあえず、主演の二人がめっちゃ美男美女の夫婦。まるで人形のように端整。トム・クルーズなんてたまに蝋人形のように見える。だから濃密なシーンもいやらしさを感じず、綺麗なので見られる。あとは、実際に当時は本当の夫婦であるってポイントも、裸で抱き合ったりキスしていても嫌悪感を覚えない理由。夫婦だとわかっているからこそ、男女の絡みの芝居に下品で低俗ないやらしさなんてこれっぽっちも感じない。抱き締め合ってるのとかも素敵に見える。

    それより、何といっても映像、特に光の色使いがとても美しい映画。それだけでDVDが欲しいと少し思った。これ、舞台がクリスマス前後だからこんなに綺麗な光が溢れている映画になっているんだよね。
    蜷川実花ほどビビッドではないが、似た系統。色彩豊かな場面が多く、わくわくする。
    パーティーのお屋敷のキラキラした豪華さはもちろんだが、主演家族の住む家もホテルのようにリッチな空間でいかにもNYの中〜上流家庭辺りの家。特に寝室にて、室内の薄オレンジの温かい照明光の隣には、窓からこぼれてくる外の青い夜光。反対のトーンなのに綺麗に調和している…この光の対比は秀逸なものだった。
    それに、ビルと娼婦のキスシーンの構図も好き。中心が女性の横顔で、左奥に遠近法で部屋のツリーの電飾がぼんやりと滲んで光っている。この辺り、撮り方がすっごくうまいなぁと思った。

    音楽もイイ!

    エロティックなのに、なぜかロマンチックなのはなぜだろう?

    そうか。
    私がこの映画に惹かれたのは
    全編を通してミステリーでありつつ何となくロマンチック。生活感が排除された、生臭さも泥臭さも感じないからだ。邦画ではこうはいかない。自分が日本人である以上、邦画の中の生活臭や人間臭さを完全に取り払うことは恐らく不可能に近い。そこはどうしてもいいバランスの非日常を飛び越えて、いかにもフィクションになってしまうから。
    これは、欧米人がアジアに対してミステリアスと感じるそれと似たものなのかも。

    私の日常とはかけ離れた世界で、幻想に近い、うっとりするような映画。
    上流階級のパーティーも、主人公たちが住んでいる家も、クリスマスが近づいているNYの夜の街も、貸衣装店も、シークレットパーティーも全編を通してムーディーなの。

    しかし、この映画で一つだけ残念なことがある。貸し衣装屋の娘が春を販ぐ少女なんだけど、それを買った男が日本人二人なの。洋画で、たまにこれと似たようなみっともない日本人男の場面は他にも観たことがある。不思議なんだよね。なぜこういう外国人の役の相場は決まって日本人なんだろう。「少女売春をする」のは日本人の男というステレオタイプはたまたイメージがアメリカ人の中にあるのかなと思えてしまう。…恥ずかしい。


    どうも、この映画は観客に解釈を委ねるものらしい。
    道理で、他人の感想を読んでいると実に多種多様な捉え方があって、ほんとうに個々人によって受け取り方が違うなって思いながら読んでいた。自分では想像しえないような解釈もたくさんあって、「なるほどー」と思った反面、「(正解とかないのに)みんな偉そうに知ったかぶってよく言うわw」とも。
    あと、これは原作がシュニッツラーの「夢小説」なんだけど、あらすじを読んだ限り原作にほぼ忠実だった。だから、「ストーリがつまらない」とか「ラストに納得がいかない」とかっていうのは監督や脚本家の腕に原因があるのではなくて原作にあると思われる。
    映画を観ただけでは何が言いたいのか掴めなかったけど、原作のあらすじにざっと目を通した限りだと、夫婦に始まり夫婦に終わるお話で、そこから、夫婦の絆や再建にテーマや問題の中心を置いているストーリーであることがようやく解った。
    夫婦以外の部分、つまり最初のパーティーも娼婦との出来事もビルが忍び込んだパーティーその他もろもろも、どれも派手で刺激的で目まぐるしい変化のある非日常の世界で、それらの場面は単調で退屈なな夫婦の日常のシーンを観ているよりも確かにずっと魅力的だけれど、結局そこに特に深い意味なんてなくて、全てこの夫婦がラストで平穏な仲を取り戻すまでのスパイス、盛り上げ役にしか過ぎないようだった。

    そうそう、この映画を見て「妻に対する夫のときめきを上げるには嫉妬心を燃やさせる以外に方法はない」という恋愛研究者のアドバイスが頭に蘇った。これがまさしく表現されている映画だった。

  • やたらとゆっくり喋って強調する場面が多かった。
    キューブリックも最後に大好きなセックスをテーマに映画を作ろうとしたけれどセックスが好きすぎて失敗してしまったようだ。
    あるいはセックスを嫌悪していた?

    ニコール・キッドマンにとにかく『ファック』って言わせたかったことだけはよく伝わってきた

  • EYES WIDE SHUT
    1999年 アメリカ+イギリス 159分
    監督:スタンリー・キューブリック
    原作:アルトゥル・シュニッツラー『夢小説』
    出演:トム・クルーズ/ニコール・キッドマン

    医師のビル・ハートフォード(トム・クルーズ)は妻のアリス(ニコール・キッドマン)と共に、彼が掛かりつけ医になっている大金持ちのビクター(シドニー・ポラック)のパーティに招かれる。そこでピアノを弾いていたのはビルの大学時代の友人ニックで、ビルは彼がピアノを弾いている店に行く約束をする。ビルが若い美女二人に言い寄られていると、ビクターから呼び出され、二階に行くと全裸の女性マンディが倒れており、どうやらビクターといたしている最中にドラッグのせいで意識を失ったらしい。マンディはビルの介抱で事なきを得る。その間アリスは、見知らぬ紳士とダンスし口説かれていた。

    後日夫妻は、この日の互いの行動に関しての些細な嫉妬から口論となり、アリスはかつて二人で旅行した際にホテルで出会った海軍士官に抱かれたかったことを告白する。あくまで願望の話で、おそらく絵に描いたように幸福そうなこの夫妻が実は倦怠期で、アリスは夫への不満を抱えているのだろう。妻の本音にビルはショックを受ける。そこへ患者の一人が急逝したと電話。出向いたビルは、その患者のもうすぐ結婚するという娘マリオンから、突然熱烈な愛を告白され戸惑う。帰宅する気になれず街を彷徨うビルを、娼婦ドミノが誘い、ビルはついていくがアリスから電話があり何もせずお金を払って部屋を出る。

    そのままビルはニックがピアノを弾いている店に飲みに行き旧交を温めるが、ビルがある仕事の電話を受け、紙ナプキンに「フィデリオ」とメモをする。何かと聞くと、時々ある屋敷で仮面舞踏会が開催され、そこで目隠しをしてピアノを弾く仕事を依頼されている、「フィデリオ」は今回その屋敷で必要なパスワードだと言う。興味を持ったビルは、軽いおふざけのつもりで、屋敷の住所を聞き出し、ニックから聞いた通りの仮装道具(仮面と黒マント、タキシード)を揃えて屋敷へ出かける。

    そこでは全員ビル同様仮面をつけた正装の男性と、仮面で全裸の女性が大勢集まっており、奇妙な宗教儀式のようなものが行われている。ニックはパイプオルガンを弾かされている。やがて男女はカップルになり思い思いの場所で性交をしはじめ、ビルも一人の女性に誘われるが、彼女はビルが誰だかわかっている様子で、危険だからすぐ帰るようにと警告する。しかしビルは好奇心の赴くまま滞在し続け、ついに招かれざる客であることがバレて大勢の男たちに取り囲まれてしまう。仮面を外したビルは尋問されるが、先ほどの女性がビルの身代わりになることを申し出、ビルは解放されるも…。

    キューブリックの遺作にして、当時本当に夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンの豪華共演作。すじがき自体は、わりとシンプルなのだけど、とにかく夫妻の対話やパーティでの様子、仮面舞踏会のあれこれなどじっくり丁寧に描かれており、2時間弱にまとめることも可能だろうけど、これだけ時間をかけたからこそ、サスペンスとして心理的にじわじわ恐怖感が増す作りになっていたのだと思う。

    ビルはなんとか帰宅するが、翌日ニックを探しても会えない。彼が泊まっていたホテルのフロントマンは、ニックが謎の男たちに連れ去られたと告げる。昨夜の屋敷に行くが、詮索するなという手紙を渡される。そして昨夜の女性は誰だったのか。まずマリオンに電話するが婚約者が出る。次に娼婦のドミノを訪ねるが彼女もシロ。新聞を見るとホテルでオーヴァードーズで死んだ元ミスコン女王の記事。どうやら以前ビクターのパーティでビルが助けたマンディで、つまり昨夜ビルを庇ってくれたのはマンディだったのだ。そしてビルは自分がずっと尾行されていることに気づく。

    やがてビクターがビルを呼び出し、事情を話す。実はビクターも仮面舞踏会に参加していた。マンディが自分の身代わりに殺されたのではとビルは言うが、ビクターは仮面舞踏会の参加者はとんでもない大物ばかり、ビルの身元は割れており、これ以上詮索するのがいかに危険であるかを告げ、すべて夢だったと思うようビルに伝える(ビクターはビルに好意的なので、これで実は守ってくれていたのだろう)。ビルは帰宅し、アリスに泣きながらすべてを話す。

    見応えはあったけれど、正直どう解釈すべきかはイマイチよくわからない。浮かんだ言葉は「好奇心は猫を殺す」。ビル自身は軽いおふざけ、お遊びのつもりで、秘密の仮面舞踏会に紛れ込んだが、たったそれだけのことで命の危険にさらされてしまう。どうやら彼のせいで人が死に(ニックの生死は不明だが、彼がビルにパスワードを教えたことへの制裁は受けているだろう)平穏な日常が脅かされる。ただそのサスペンス部分と、夫婦の不和の部分があまりうまく噛みあっていなくて、最終的にどこに着地したかったのかはよくわからなかった。退屈はしないけど、広げた風呂敷のわりに中身は小さかったような。ニコール・キッドマンはとにかく美しくて眼の保養。

  • ファ ソ ソ ファ ファ ソ~~こわい

  • 呪術的で暗示の外に出るにはファックする事という最後のメッセージが良かった。

  • ぱっと見は凡作。でも町山智浩氏の解説や、他の人のレビューでの映画の詳しい解釈等を読んでいると評価が揺らぐ。深く描かれていると思えるところと、それでも結局のところ結論はそれかと凡庸に感じるところと様々。観る回数によっても評価が変わりそうで、難解といわれる映画は何本か観たけれどこういう掴み所のない映画は初めて。今時点ではテーマと思われるものの描き方が好みではないので☆3つです。

  • 前半は見るに耐えない‥何度も止めてしまいたい気持ちと葛藤する。
    あのピアノの音も、あからさまであまり好きではない。
    ファ、ソ♭
    ファ、ソ♭



    あの低く垂れ込めている猜疑心と緊張の黒雲を、ラスト、雑に払われてしまった感じで、なんだかなぁ、とため息。

  • 映像は奇麗。
    気持ち悪くなる映画。

  • 疑念と欲望。嘘、浮気、酒池肉林欲求、幻惑、LUCKY TO BE ALIVE.
    白人の美乳、二度の山場、儀式シーンの構図は極めてキューブリック的。

    一般人に対するビルの権威乱用も、結局は更にその上流階級があるんですね。

  • キューブリックの作品って観てるともやもやする。。
    観終わってもあんまり何回も観たいとは思わない。
    どんな内容?って聞かれると説明に困る。
    でも何故かすごく印象に残るのよね。

    この映画は、監督がキューブリックで、主演があの2人じゃなかったら意味ない。
    ニコールキッドマンの最後の一言がすべて。

  • キューブリック監督作品ということで、なんとも難解ですが、
    ゴシックな雰囲気は好きな映画です。
    若かりしトムはハンサムで、ニコールキッドマンが美しい。
    しかし内容はいまいちよくワカリマセンデシタ。

  • Gyao!にアップされていたのを、あらすじも読まず、

    何気なく観たのが間違いでした。

    ラブストーリーかと思いきや・・・怖いのか気持ち悪いのか、何だかよくわからない。

    こういった作品のテーマは苦手。

  • 2005年9月25日観賞。

    「奥さまは魔女」を観た後に、ニコール・キッドマンつながりで借りてきた。

    エロい。そして訳わからん。結局主人公は嵌められてたのかどうなのか。

    この頃はまだ、二人は夫婦だったのね…。

  • 冒頭、パーティーシーンのニコール・キッドマンが綺麗。

    妻からされたほんの出来心のような告白に取りつかれ、
    過ちを犯してしまいそうになる夫。
    たったひとつの好奇心が全てを壊してしまう恐怖。
    日常と隣り合わせにある非日常。

    ラストの妻の一言がいいなぁ~。夫婦はこうでなくっちゃ。
    なんだかんだあっても行き着くのは単純なところなんだと思わせてくれる。

  • 大好きなんです。キューブリック。
    ニコールキッドマンきれいすぎる。でも俳優がどうとかより、やっぱりキューブリック。ああツボだ。映像だけじゃなくて、メッセージとかも好きですよ。いつも普遍的な事を彼なりの芸術で伝えている。よく言われている事や、一言でも言えちゃうような事を。合わない人にはただそれが回りくどく感じられると思うんだけど、私にはドツボ。

  • 凄かった! 久しぶりに映画にディスターブされた!

  • 仮面の儀式に取り囲まれるところとか、日常からいきなり迷い込む先の奇異さが際立って甘美。

  •  何を見てもそれなりに楽しめる私だけど、出た! 久々に、本当のヘタレ映画。Hなのも散々煽ってたけど全然だったし、ストーリーもじゃ一体なんだったんだよぉって感じ。確かに、映像は綺麗だったけどね。でもそれも強烈に、特別に綺麗っていう訳じゃない。
     古今東西、何が言いたいのかよくわからない映画ってあるけど、ここまで何もないのも珍しいよな。いいところが、全然思いつかないや。
     トム・クルーズの顔って嫌い、っていうのにも気付きました(笑) 

  • 何が悪いのでしょうか
    もやもやったした気持ちの悪さ。

    わからない、全然わからない。
    自分が若すぎるのでしょうか?
    気持ちとか、描写とか。
    経験不足?実際に倦怠期を迎えた人間でないとわからないと思う。
    だからやっぱりわからない。

    妬きもちを妬かせたくてのあの行動とか、
    遊びたくなるという気持ちも想像はできる。
    だが、想像の範疇を逸脱しない、シンパシーは得られない。

    仮に、自分が夫婦の倦怠期を経験して、シンパシーを得られたとしても
    よくわからない。脚本が悪いのかな?
    謎が謎のまま。
    でも、複線ちゃんと回収しているんですよね。
    理解しようとする事が間違いなのか????
    この映画がサスペンスの部類なら最悪。
    頭で考えちゃいけない映画なんでしょうか????

    演出はさすがなんですよね。
    大乱交パーティーシーンに仮面仮装
    全然嫌らしさの感じない、品の良いエロスの演出。

    要するに
    みんなヤレってことでいい気もします。

  • 派手なわけではないのに色彩の鮮やかな美しい映像と、重くてイメージに合った音楽。さすがキューブリック。
    難解な感じのストーリー展開だけど、それでも魅せる映画力みたいなもんがあると思う。

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