マーラー:交響曲第1番「巨人」

アーティスト : ブルーノ・ワルター 
  • SMJ(SME)(M) (2008年11月19日発売)
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  • Amazon.co.jp ・音楽
  • / ISBN・EAN: 4547366040876

マーラー:交響曲第1番「巨人」の感想・レビュー・書評

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  •  歌曲「さすらう若人の歌」と関連の深いこの交響曲は、旅する若者の姿(あるいはその心象風景)を映しているかのように私には感じられます。

     カッコウが鳴き交わすように始まる第一楽章は、森の中で目を覚ました若者がやがて森を出て旅立つ情景でしょうか?

     舞曲のように華やかな第二楽章、そして愁いを帯びて沈み込んでいくような第三楽章を経て、第四楽章は突如として不穏に始まります。音楽はまるで嵐と大波のようにうねり、まさに疾風怒濤という言葉がぴったりです。しかし一たび嵐が去ると、第一楽章の森の音楽が還ってきます。それは旅の終わりのようです。

     そしてコーダは、輝かしく圧倒的な歓喜です。マーラーの作品の中で、これほどまでに気持ちを高揚させる音楽は他にないでしょう。

     マーラーは死をテーマにした作品を多く遺しています。それらが扱っているのは生を鋳るための鋳型としての死であって、それらの曲が必ずしも不健康なものではないと私は思います。一方、交響曲第1番ではマーラーは生そのものを肯定的に音楽にしているようです。この曲は若いマーラーによって書かれた一度きりの生への頌歌です。

     多くの指揮者がこの曲を様々なスタイルで演奏してきましたが、ブルーノ・ワルターの歴史的な録音はいつまでたっても色あせず、その価値を失いません。

  • 高校生の時に初めて自分のお金で買ったレコードがこれ。以来マーラーを約45年間聴きつづけている。
    その意味で、この盤には特別の思いがある。
    ワルターが録音する為に特別に組成されたオーケストラだが、ハッキリ言ってそれ程名手揃いとは思えない。しかし、晩年のワルターのこの曲に対する思い入れはしっかり記録として残されていると思う。
    ステレオで録音されたワルターの名演。

  • 今夜は、マーラーの愛弟子であったブルーノ・ワルターの「巨人」を聴いています。

    ●マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」
    コロンビア交響楽団
    ブルーノ・ワルター(指揮)
    1961年録音

    「巨人」というのは、当時、マーラーが愛読していたジャン・パウルの教養小説からインスピレーションを受けてつけたタイトルです。ただし、曲想と小説の内容はほとんど関係がないので、マーラー本人はタイトルを破棄しています。

    このワルターの演奏を聴いていると、この曲の聴き所はここですよって教えてくれるような優しさを感じます。特に、第3楽章の葬送行進曲の場面で、コントラバスがヨチヨチと頼りなさそうに表現しているところや、第4楽章の第1主題が出てくるところで少しテンポを落としているところは、ワルターが微笑みかけながら諭しているような気がします。

    ワルターの後、マーラーを演奏する指揮者が雨後のたけのこのように現れて、いろいろな解釈で表現をしています。そして、すばらしい演奏も数々ありますが、この「巨人」は聴いていてホッとしますね。ワルター自身も、戦前の「第9」や「大地の歌」の演奏を聴くと悲壮感のようなものを感じる演奏もありますが、晩年、コロンビア響を振っている演奏の多くは、自分の姿をを俯瞰しているようにも(戦前のウィーン・フィルとの響きの違いもあると思うけど・・・)感じます。

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