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- / ISBN・EAN: 4527427642768
感想・レビュー・書評
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監督 エミール・クストリッツァ セブン・デイズ・イン・ハバナ(2012) フェアウェル さらば、哀しみのスパイ(2009) マラドーナ(2008) ウェディング・ベルを鳴らせ!(2007) それでも生きる子供たちへ(2005)
製作国 セルビア=モンテネグロ/フランス
さすが『パパは出張中!』『アンダーグラウンド』『黒猫・白猫』の監督の映画
セルビアとの国境にほど近いボスニアの片田舎に暮らす鉄道技師のセルビア人とその家族と周りの人たちの話。
音がすばらしい、景色もすばらしい。
町には音楽隊がいて、熊狩りのときも演奏をしながら歩いたり音楽が溢れている。
そしてみんないつも歌って踊っていてすごく気持ちがいい町。
何より前半にどんどん出てくるヤドランカの歌声がすごすぎた。
(ヤドランカは私が小さい頃地元の町にやってきてうちの両親がライブへ行きCDを買ってよく聴いていた。あのヤドランカがモデルなのだろうか。それともボスニアにはよくある名前なのか)
戦争に送り出すシーンもみんなでダンス。
送り出す家族は悲しいだろうな。でもこの町は悲劇も音楽で洗い流す何かがある
戦争中でもコカインを線路にまいて歌いながら吸いながら列車を走らせるというアホっぷりも日本の戦争中と違ってすごくいい。
あの国なら不謹慎という言葉はないんじゃないかと思う。日本はすぐに不謹慎という言葉が蔓延していやだ。
列車が来る前は線路の上を車が走っていて、その姿が秀逸。
汽車の到着のシーンも音楽隊とヤドランカの歌声とともに空から降りてきてかっこよかった
ヤドランカのいかれっぷりはリアルなのではないかと疑うほど
嫁さん狂っちゃって、息子は戦争へ行って、残された父ちゃんはすごく悲しそうだった
「戦争は突然はじまる」らしい。本当にそうなんだろう。私は直接経験していないけど、こないだのイラク戦争だっていつの間にか起きたんだ。
それはそうと、捕虜といちゃついているときにミランカがいつ帰ってくるかとても不安だた
奥さんが狂っちゃうと、何もかも忘れて他の恋を求めるのが男なのかもね。つうか人間なのかもね。
私は狂ったような恋をした経験がないからわからない。
「恋ってのは病気で分別を失ってしまう」らしい
私は分別を失うのが怖いのかもしれない。 と、また自分の恋のことに思いがいってしまった。
とにかくどんなことが起きても、この映画みたいに音楽が人生を楽しくしてくれるのかもしれないな。
いい映画だった。基本ケセラセラ~なノリがなんだか今の自分にありがたい映画詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
楽隊が演奏し、ロバやらウマやらアヒルやらとにかくさまざまな動物が入れ替わり立ち代り登場し、ベッドが空を飛び、まるでドリフのコントのように、登場人物たちがずっこけまくる。クストリッツァの映画だ!と、嬉しくなってしまった。
テンションの高い登場人物が多数出てくるのも、内心ニヤリとしてしまうところ。とくに、躁気味のルカの妻や、ルカの息子の友人・トモの暴れっぷりはすごかった。トモはクストリッツァ映画によく出演する、ミキ・マノイロヴィッチを若くした感じ。そういえばミキ・マノイロヴィッチが出てなかったのは残念だった。
ストーリーの舞台は内戦時のユーゴスラビア。捕虜になった息子を助けるため、主人公ルカは、やはり捕虜になったムスリムの娘サバーハを預かるが、彼女のことを好きになってしまう。息子か?恋人か? どちらも捨てられない。そんなルカに、奇跡が訪れる。
内戦中だというのに、映画の中のルカ(セルビア人)や村人たちは、田舎とはいえボスニアに暮らしながらも、どこかのんびりとした感じ。ルカの息子はムスリムの友人とも遊んでいるし、大体、ルカが預かるサバーハは、捕虜の身ながらも、村の女性のお産を手伝うぐらいなのだ。内戦当時、メディアはさかんに、セルビア人の残酷さやボスニアの悲惨な様子などを報じていたけれど、たしかに悲惨な状況だったとは思うけど、実際にそこに暮らす人々の様子は、こういう感じだったのかもしれないと思う。
村に駐留する軍人も、ルカの息子やザバーハを助けようと誠意を見せる将校もいれば、ドラッグや酒で大騒ぎしたり、テレクラで興奮している者もいて、「軍人全員が残酷で威張っていて悪者」とは描かれていない。軍人じゃなくても、こういう人はいるよね…と思ってしまう。
大騒ぎしながらも、ラストに向かってきちんとまとめていくのがクストリッツァのすごいところ。「生きろ」というメッセージ、たしかに受け取りました。