ニューシネマ期のロードムービーというだけで外れはナイだろうと期待しておりましたが期待通りの満足度です。
ニューシネマやロードムービーが好きな私としてはそれだけでもういろいろ満足ですが、万人にとくにお年寄りにも薦めたくなるってのは珍しい映画だなぁという意味でも素晴らしい作品だと思います。
ハリー爺さんをとりまく周りの若い登場人物が元気づけられてゆくようにまた私たちもしみじみしつつも非常に勇気つけられる。
印象としては「東京物語」のアメリカ版という感じでした。
「東京物語」とはまぁまた違っていますが本作の内容は子どもたちを点々とたらい回しにされるというよりもじいさん自らの意志で子どもたちを点々と回る事を目的地点としてある意味でそれを利用した謳歌の旅をしているってところですよね。
なんとなくゆるーいです。シリアスなところもあり人間関係が実は表面的にはあまり円滑とも言えない現代に近い70年代のアメリカですが雰囲気がゆるいのでそこのところ変な観念こじつけず純粋に楽しんで見れるのが良い。
どじいさん、ばあさんがとにかく元気。
そして自立をしようと人生を一生懸命に謳歌しようと生きているところに好感が持てます。
そう考える事によってアメリカと日本の文化や意識の違いの差を考える事も出来ました。
「ハロルドとモード」といいニューシネマに出てくる老人は若者をしのぐ程にパワフルで元気。見てて元気づけられるなぁ。
それだけでなく主人公がじいさんであるというのはその生きていた道のりや抱えてきた記憶の財産があまりにも膨大なんでたった2時間で描くとものすーっごく奥深くて感慨深い内容になりますよねぇ。
私は別に猫が好きな訳ではなく(むしろ触れなかったりします)猫映画として見たらまぁどう思うかわかりませんが、タイトル以上に猫ちゃんに癒される映画ではないのでロードムービーとして見るべきかと。
印象的なシーンもたくさん。
とくに昔の彼女(彼女の記憶は若干アルツで曖昧気味なのだが)との介護施設でのダンスシーンや留置所でのインディアンのおじいさんとの交流のシーンが面白かった。
留置所ですら面白い事に変えてしまうハリー爺さんのプラス思考がこの奇妙で面白い旅を作り上げたのだろうなぁ。
旅の途中で出会う人物一人一人が濃ゆいのでそれぞれみんな印象的だったりしますが。
ラストにかけての流れが非常に素敵。
ニューシネマは全体的にラストの締めが良いのですが、
終わりよければ全てよしと言いますが全体のながれがゆるーく進みながらも感慨深くラストも老人が主人公に見立てたにしては意外な程に味の良い美しい締めで良かったなぁ。
万人にお薦めしたいゆるくて奥の深い映画です。
年を取ったら改めて見てみよう。笑