いつかは観たいとずっと思っていたニューシネマ期の名作。
この度午前10時の映画祭にて大画面スクリーン観賞出来ました。
ずっとこの企画のスクリーンで観たかったのでストーリーなどの前知識は一切入れずにデニーロが主演でタイトルが如く鹿猟りする映画だとばかり思っていましたのでその点からすでにそんな話でないことに驚いた。笑
本作と同じくデニーロ主演の「タクシー・ドライバー」なのに全然タクシードライブしていないのと同じで、「ディア・ハンター」なのにディアハント全然してないという。笑
とにかく様々な反戦映画がある中でも個人的に本作ほどにこれでもかと丁寧にリアリティに表現した作品はないんじゃないでしょうか。
ロシアンルーレットによるじわじわと迫り来る恐怖。銃を引くまでの静かで手汗握る緊張感は地味だけども底なしに恐ろしい。
1時間にも及ぶ冒頭の友人の結婚式のお祝いのシーン。
ここの部分がだらだら長くてツラかったみたいな意見があったのに自分は少々意外だなと思いました。
むしろ友人たち一人一人の個性がとても面白くて観ているだけでもこっちも嬉しくなるような場面です。全然飽きませんでした。
全裸で町中暴走するマイク。途中ギャグみたいなシーンがあるのだけども実はこの先を握る深イイ約束を交わすシーンへと続く。。なんという憎い演出。笑
この最初の結婚式のシーンにおける綿密な人間味表現には監督の粘り強いこだわりと演出の情熱が感じ取れます。
・・・こういう幸せなひとときを濃密に描けば描く程後ほど来る落差になんとも言えない憤りと悲しさに落ち込みますね。
肝心のディア・ハントするシーンのなんて美しい事。
この映画におけるディア・ハントは神聖な音楽、景色に包まれ、ある意味で賛美歌であり教会であり山と鹿猟りは神聖な領域の象徴なのだなと思わされます。つまりマイクとニックの深い情に繋がるんですね。
デニーロ(マイク)とニックの熱い本物の友情に涙、涙ですよ。
ここまでに打ちのめされるとは思わなかった。
静かだけども頼りがいがあって最高にかっこいいデニーロ。このひと味違うヒーロー像はまさしくニューシネマ映画の主人公。
デニーロ以外の良い役者さんも沢山揃ってますね。
ついこの前サッチャー首相を演じて話題になったメリル・ストリープ。・・・綺麗だったなぁ。
そしてニューシネマの脇役常連、デコ広ハゲとギョロ目が忘れられないジョン・カザール。←ひどい。
彼、メリル・ストリープと婚約してたのか・・・なんと・・・!
それにしてもタイトルからして地味だし反戦と言っても激しい戦闘シーンがあるわけではなくじりじりとした繊細で静かな恐怖がある本作。
しかも上映時間も3時間越えという途方も無く長い作品なので尚更映画館の大画面スクリーンで観る事が出来て本当に良かったと思っています。
ちなみに3日後に2度目の観賞をしてきました。3時間があっという間に感じたのはやはり本作は素晴らしい作品なのだなと改めて実感しました。