空気人形 [DVD]

監督 : 是枝裕和 
出演 : ぺ・ドゥナ  ARATA  板尾創路  オダギリジョー  高橋昌也 
  • バンダイビジュアル (2010年3月26日発売)
3.65
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レビュー : 407
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569636034

感想・レビュー・書評

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  • 人間、燃えるゴミ
    人形、燃えないゴミ
    中身がからっぽの人間、
    中身がからっぽの人形、
    心をもってしまった人形、
    心をもたされてしまった人間、

    空想?現実?
    ファンタジーなのに、
    観てるうちにリアルさが
    際立ってくる映画。

    じゅんいちは
    自分が息を吹き込むことで
    空気人形の命を救えた。
    前、自分が救えなかった命を。
    息を吹き込むことで満たされるキズ。
    だから空気を抜いて、入れた。
    空気人形もじゅんいちを
    自分の息で満たそうとして、
    同じことをした。
    だって、わたしと同じでしょ?
    純粋で残酷、

    街のからっぽな人たちに
    空気人形は綿毛を届けた
    だれかの虻になりたいって、
    だれかの風になりたいって、

    衝撃だけど
    あったかい映画。

  • 心理性・社会性、作品としての美しさ、
    バランスのとれた名作だと思う。

    現代社会は。
    空気を満たすことに
    価値を見出せない。
    空気を抜くことで  
    かろうじて「生きる」を感じられる。
    そんな時代。

    それでも。 
    あなたの中に
    ぽっかりあいた穴の中を
    私の呼吸で満たしてあげたいと思う。
    そうゆうことなんだと思う。

    人はみな、誰の代用品でもない。
    だから自分の力で、歩くこと。
    そして、愛すべき人の満たされないこころの中に
    生気を吹き込むこと。


    人間より 人形がよくて
    花より 造花がよくて
    歳をとるより 若い方がよくて

    ひとは誰もがみな
    満たされない思いを抱えたり
    むなしさを感じながら
    生きている。
    そのことを僕らの多くは
    知らないふりをして 生きている
    死んでると言ってもいいかもしれない。

    でも
    それを
    虚しさの意味を 
    自分の力で 知ろうとするとき
    その意味の向こう側に 飛んでいけたとき
    僕たちは生きているんだと思う。
    生まれてきたことに感謝できるんだと思う。

    人は 絶対に 
    ゴミではないから。

  • なかなか困った映画です。
    ダッチワイフが心を持ってしまう、その繊細さや機微をペドゥナに切なく美しく表現させるために、例えば手足の線を消そうと努力させたり、タンポポや海に興味を持たせたりする。
    上手な演出がポツポツと出てくる度、「あぁ、このまま終わってほしいなぁ」と、淡い期待を抱いた折、

    ラスト30分がやってきて、ガーンと、打ちのめされました。

    ここまで突き詰めなくても…というやるせなさがまず先行しました。
    けれどこの徹底が無ければ色味の無い作品だっただろうとも思います。

    あと上手いと感じたのは、一見関係性の無い登場人物の間に、微かな相互依存が垣間見えたこと。
    中盤でペドゥナが放つ「人はたくさんの人と関わらなければ生きてはいけないのに、人はその人の存在に気付かない」といったような台詞ありましたけど、それをそのまま体現するかのような見せ方が好きでした。

  • 空気人形は「性欲処理の代用品」
    ということで、直接的なシーンも連想させるシーンもあったけど、
    私はそこまでいやらしい印象は受けませんでした。

    純一がセロハンテープを取りに走ったときと、
    人形師さんが「おかえり」と言ったシーンでそれぞれの2人にときめきました。
    私がセロハンテープを取りに走られることまずないんだけど(笑)

    純一に空気人形が「なんでもするよ」って言うシーンは切なかった。
    あと、「栓はどこ?」って尋ねる空気人形の純粋さは悲しかった…。
    純一の空気人形へのお願いって、人を殺してみたかったってことなのかなーって思ったり…。

    のぞみがお洋服合わせたり買ったりしてるシーンは、
    女の子がわくわくするシーン!って感じでかわいかった。

    ほとんどの人同士の関わりがほとんどないのに、
    なんか関わってるような不思議な描き方でした。
    俯瞰で見てた視聴者にさえわからない静かさで、誰かが誰かの風だったり虻だったりしてるのかも。

  • きっと誰もが誰かを重ねて見ている、そんな小説が川端康成にあったような気がする。代用品という表現はすごく冷たいけど、その冷たさが人間らしいなと僕は思う。ひとはずっとひとりだけど、結局ひとりでは生きていけなくて、空っぽだ、なんて言いながら、その足りない何かを求めて、必死で毎日をもがいている。彼女が心を持って、その目に映った世界はどんなふうだっただろう、見終わったあともほんのりと残りつづける、大切な映画だった。

  • 「いやらしさ」をもうひとつ飛び越えたこの言葉のインパクトよりももっと強いやらしさ。胃袋に入ってたものが全部でてきそうないやらしさがある。でもよかったのは、人間の嫌らしい部分を持ちながら人間の美しい部分も描かれていたこと。心を持った空気人形を誰も邪険には扱わない。突き放したりいじめたりそういう人間を出さず、彼らの日常の闇に焦点をあてる方向にいくのがいい。

    彼によって空気が抜かれて吹き込まれる。それはまったく官能的ではない。命がしぼんでく苦しさがある。彼女によって空気が吹き込まれる。でも彼は蘇生しない。この対比は見事だった。

    住所を見ながら訪ねる場所が自分が製造されたところなんだろうなとわかってしまった。

    残念ながら彼女の心に寄り添うことよりも「不自然」が上回ってしまった。空虚という言葉の響きが個人的にはとても好きだが、生きることはそんなに空虚だろうか。現代はそんなに空虚だろうか。若い人にとって。いつの時代だってそう思う人は一定数いるであろうし、現代がとりわけそうであるとも思わない。

    (20130529)

  • DVDの予告によく入ってて、ペ・ドゥナさんがかわいすぎてみたかった。予想を裏切らずきれいだった。メイド服もいいけど、中盤着てる緑のワンピース姿が人間ぽくてかわいい。
    でも、仕草とかは男から見た女の子って印象が強かった。

    きれいに描かれる世界、なのに誰も幸せじゃない、寂しいのが切ない。

    後半は急展開。

  • 心というものを持ってしまったが故に
    悲しみや憎しみや迷いを抱えてしまうけど、

    自分のなかにある温かな愛情や、美しいものを感じ取ることが出来る

    悲しい結末だけど、劇中でのぞみが得た気付きを語る言葉は、もやもやしてうまく言葉にできないが確かに感じ取れるこの世界の仕組みみたいなものを的確に表現していると思った

  • 人形が心を持ってしまったというファンタジーはあるけど、-≪グレムリン≫のように凶暴化する例もあるが-それにしては妙に生々しい。どぎついと感じるとこもあって、見てはいけないものを見てる感じになるが、かと思うととてもキレイだったり純情だったりする不思議なテイストの映画。

    単に心を持った人形の話とするにはいろいろなメタファーに満ちている。
    現代人ってこんな風に中身は空っぽで、自分の心をもてあましてるだけじゃないの とかアイドルってのはこういうことか、人とのコミュニケーションを面倒くさがり空気人形で癒されてる現代にあって、その空気人形が心を持ちコミュニケーションに踏み出す皮肉 とか、イノセンスが見る現代の世相とかイノセンス同士の恋愛はこうした人形にしかもうできないとか。 

    しかしそういうメタファーは理屈であって、映画を見てそう感じとったわけではない。あるのは空気人形をしているペ・ドゥナの存在感である。無機質な人形から表情豊かな女の子まで自在の演技で不思議な感触を持っている。彼女なくしてこの映画はないだろうという感じだ。

    というあたりに感心しながらやはりどこに感情移入していいのか。感触の悪さのほうが残る。どういうメタファーなのかと正解は何だなんて思っているうちに終わってしまった。テンポがややぬるいのもマイナス。

     キネ旬ベストテン2009年 6位。

  • ある日、とつぜん空気人形(ラヴドール)が心を持ってしまった。
    美しいと感じられる喜び、人を好きになる幸福に満ち溢れるが、心を持つということは悲しみや切なさも感じるということ。
    果たして、空気人形は心を持って幸せだったのか。
    心を失って生きている人間を対極的に描く事でその問いかけが一層深くなっている。

    ラストの美しさに救われた。

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プロフィール

是枝 裕和(これえだ ひろかず)
1962年、東京都生まれの映画監督。演出家、早稲田大学理工学術院教授。1987年に番組制作会社テレビマンユニオンに入社、テレビのアシスタントディレクターを務め、ドキュメンタリー番組の演出に関わる。1995年『幻の光』で映画監督デビュー。
その後多くの映画作品を撮り、ジャンルを問わず様々な演出、そして若手育成に関わってきた。若き西川美和を見出したことでも知られる。
代表作『誰も知らない』で第57回カンヌ国際映画祭にて柳楽優弥が最優秀男優賞、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞をそれぞれ受賞。ほか、『歩いても 歩いても』『海街diary』『三度目の殺人』が代表作。そして2018年6月公開の『万引き家族』が世界三大映画祭のひとつ、カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞。
書籍の刊行も多い。書籍代表作に『映画を撮りながら考えたこと』。

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