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- / ISBN・EAN: 4529264142807
感想・レビュー・書評
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1967年にアメリカの高校で起きた実際の事件
を基にファシズムをシュミレーションする危険
な特別授業が招いた顛末を描いた作品。
ドイツのごく普通の高校教師ライナー・ベンガ
ーは独裁制についての特別授業を受け持つこと
になります。しかし授業の内容に制約はなく手
探り状態の教師は生徒たちに全体主義を体験さ
せることを思いつきます。そして自らから指導
者となり単純明確な規律とスローガンをあげ集
団の結束を説していく。やがてその集団はウェ
イブと命名され束縛がきらいなはずの生徒たち
が自発的に団結を強めていくようになります。
監督はデニス・ガンゼルで衝撃的な結末のサス
ペンスドラマでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中盤からだいたいのオチが見えてしまうのが残念だけど、結構見ごたえはあるし、主張のしっかりした作品だった。
団結して、目標に邁進することは楽しい。
流れにのってみんなで行動すれば、なにもかも自分で考え、選び取らなくて済む。
そこにいるだけで、組織のみんなが自分を必要としてくれる。
独裁体制は羊水だ、
そこに浸っているかぎり安易な高揚感が得られる。
でも、いつかはでていかなくちゃいけないんだ。
いつまでもいようと無茶をしたって、先にあるのは死だけだ。 -
「今どき独裁政治なんて有り得ない」とはじめ一笑に付していた学生たちが、高々5日間の実習で、誰よりも独裁政治に忠実な構成員となっていく様がとても興味深い。実験的なデモンストレーションとしてその過程を目の当たりにする面白さがある。それも、ドイツという過去の巨大な負の歴史に対してとても誠実に向き合っている国家が舞台となっているところに、人間という生き物のどうしようもなさを映し出す痛烈な皮肉が感じられる。
独裁政治というレジームには、どこかサディスティックかつマゾヒスティックなエクスタシーをもたらすものがあるようだ。強きものにも弱きものにも、麻薬のように精神を侵食していく。とりわけ社会の中で強い劣等感を感じているような立場の人間には、そこに革命的な変革を期待させる独裁という構造がおこることによって、それがもたらすエクスタシーは尋常ならざるものがあるようだ。
こういう「支配ー被支配」という構図の精神実験的な映画といえば[es]を思い浮かべるが、個人的には[es]のほうがよりリアルでよりザワザワさせる恐ろしさがあって、比較してしまうと[es]のほうが個人的には好きですが、こちらはこちらで十分面白い仕上がりになっています。 -
これは日本の教育を連想させる映画だった。
人は簡単に洗脳されるし、洗脳されたいのかもしれないと思えた。
考えるよりも従いたい。一種の快楽が脳をよぎる。
自尊心がないほどに溺れていく。
依存と洗脳。色々考えさせられる。 -
最初のところは生徒気分で楽しかったが、どんどんエスカレート。
日本ではあまり珍しくない光景。個性より集団。 -
最悪のラスト、でも映画ならそのくらいでいい。
あのラストが無ければ生温い作品。 -
「es」よりはライト。それでも集団心理、独裁制の怖さを思い知らされる作品。人間が、どれだけ簡単に洗脳されてしまうのか、これは身近なところでも知らず知らずのうちに起こっているのではないかと勘ぐらされる。