坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

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感想・レビュー・書評

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  • 長い時間をかけてようやく読み終えた!

    これはあの時代の司馬さんだから書けた本だと思う。今の時代の人では書けない。まだ従軍関係者が存命していて、陸軍士官を経験した司馬さんだから歴史資料を読み解き、感性のフィルターを通して書くことが出来たのだ。

    内容もさることながら、これはあとがきや解説もセットで読んでもらいたい。両方とも素晴らしい。

  • 乃木希助と児玉源太郎の対比が面白い。乃木は詩的、哲学的には素晴らしい素質があったが、指揮官として戦争を遂行する能力は低かった。児玉は詩の才能はまるでなかったが、策戦家としての実務能力に優れていた。詩的、哲学的な能力と、実務的な能力は相反するものなのかもしれない*。確かに、詩的な「美しさ」や、哲学的な「深さ」などは、現実的に妥当な判断を迅速に繰り返さなければならない戦争という状況においては邪魔になることが多いだろう。仕事でも同じ。

    *トルストイも、「戦争と平和」の中で似たようなことを書いている。国の転機となる大きな戦争を描いて国民的作家になったという点で、司馬は日本のトルストイか。

    その他、面白いと思ったところ。

    ・大山巌について
    大山巌は、もともと非常な智恵者で通っていたが、人の頭に立つにつれ、自分を空しくする訓練を身につけはじめ、ぼう洋たる風格を作り上げた。
    「人は何も知らないに限る。何も知らないから私はどこへでも行ける。まことに重宝な人間である。」

    ・日本陸軍について
    信長の偉大さは、寡を持って衆を制した桶狭間の成功体験を捨て、その後は圧倒的兵力を持って敵を制するという戦争の定石を取り続けたことであった。日本陸軍はそうではなく、日露戦争の勝利体験を捨てられず、太平洋戦争敗北まで、寡を持って衆を制す方法を取り続けた。
    陸軍にはその国の国民性が強く現れる。日本陸軍の特徴は、地味で論理性が要求される補給を軽視すること、神経質過ぎて戦場での射撃が下手なこと等である。

    ・日本人について
    日本人の気質として存在する、相手の心を取りたいために自分の属する上部構造の無知、臆病というものを卑屈な笑顔でぶちまけてしまうといった心理。

    様々な分析や洞察は確かに面白いと思うが、物語としては「竜馬がゆく」の方が好き。

  • 経営者の方に愛読者が多いとのことだが、理由が分かった気がする。
    ビジネスに例えるなら、日本という国家が近代の国際社会においてベンチャー企業であった頃の話だと思う。組織も制度も未成熟だが熱気があり、(ほんの数十年前まで数百年続いた階級があったにも関わらず、)出自・年齢を問わずに有能な人材を引き上げて、権限を与えて組織の命運を任せてしまう。日本という国家が生き残るには、他に道がなかったのだろうが、それで近代化をやり切ったことは感嘆の一言に尽きると思う。
    本書の最も良かった点は、登場人物の魅力に尽きる。武士道精神を芯に持ちつつも、物事の企画・立案・判断については、科学者の様な合理性をもって行う人物が多く、非常に引き込まれた(特に合理性という点については、昭和の軍部と対比して、繰り返し強調されている)。
    悪かった点をあげるとするなら、「余談だが、、」に代表される司馬遼太郎さんの本筋から逸れた話があまりに多いことだろう(それが、物語に厚みを与えているという見方も出来るので、ここは個人の好き嫌いによる)
    戦争という題材が背景にあるが、決して、日清・日露戦争や当時の日本の軍部を礼賛している小説ではない。本書が描いているのは戦争の是非や善悪ではなく、激動の時代を生きた人々がどの様な思想でどの様に行動したかであり、彼らの活動を追っていく内に、8巻なんてあっという間に読了できる、そんな本だった。

  • 大好きです。

  • 明治維新から日露戦争にかけての日本の躍動を秋山兄弟と正岡子規を中心とした描写で綴っている。若者が混乱の時代に夢を持って活動する姿に年代を超えて共感できるのでは。私は40歳で読んだが、もっと若いうちに読んでおきたかった。

  • 日清・日露戦争を背景に新興国家・明治日本を描いた著者の代表作。

  • 小説なので仕方ないにせよ、日露戦争という複雑な事象を関係者のキャラによる成否で片づけすぎな印象を受けた。

  • 明治の時代人がどれだけクールにアツく頑張ったのか、司馬遼太郎の落ち着いて批判的な筆致の中からも感じ取れる時代を超えた名著。読むと自分がアツくなれて、頑張ろうと思える、自分にとっての心の故郷。

  • 日露戦争で活躍した人物に焦点を当てて描く
    好古の泰然自若とした振る舞いがかっこいい

  • 秋山好古・真之兄弟とホトトギス・正岡子規、そして日露戦争。真之人気が高いが、騎兵隊の好古に魅力を感じる。

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プロフィール

司馬遼太郎は、1923年、大阪市生まれの日本の歴史小説家・エッセイストである。故人。
本名、福田 定一(ふくだ ていいち)。大阪府大阪市生まれ。筆名の由来は「司馬遷に遼(はるか)に及ばざる日本の者(故に太郎)」から来ている。
特に歴史小説の大家として知られ、代表作は「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「翔ぶが如く」「燃えよ剣」「新撰組血風録」「菜の花の沖」「花神」「世に棲む日日」「梟の城」「関が原」「功名が辻」「国盗り物語」「街道をゆく」「十一番目の志士」「城をとる話」「風神の門」「二十一世紀に生きる君たちへ」他多数。その多くが大河ドラマ化、テレビドラマ化、映画化、コミック化などの形でマルチメディア展開されている。

司馬遼太郎は産経新聞社記者として在職中の1960年に、『梟の城』で直木賞を受賞。
1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。
戦国・幕末・明治を扱った作品が多い。
1996年2月に72歳で逝去。
2001年には、東大阪市の自宅隣に司馬遼太郎記念館が開館。

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