雨月物語 [DVD]

監督 : 溝口健二 
出演 : 京マチ子  森雅之 
  • コスモコンテンツ (2011年2月26日発売)
3.90
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レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4571339481137

感想・レビュー・書評

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  • モノクロの画面がかえって陰影をきわだたせ、妖しい雰囲気を醸し出している。
      溝口健二監督の『雨月物語』、1953年のヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した作品だ。上田秋成の怪談集『雨月物語』を原作としつつ、モーパッサンの短編小説『勲章』からも着想を得て脚色した、オリジナルの怪異譚である。

     時は戦国時代。近江の国は、賤ヶ岳の戦いを直前に控えて騒然としていた。陶工の源十郎は妻子と仲睦まじく暮らしていたが、戦による好景気で焼物が高く売れるようになると、妻の反対を押し切り、戦火をかいくぐって町へ焼物を売りに行く。はたして焼物は高く売れたが、町で若狭という美しい姫と出会った源十郎は、妻子を忘れて姫にのめりこんでゆく。一方、源十郎の義弟の藤兵衛も、侍になって戦で手柄を立て出世するという夢を叶えるため、妻の制止を振り切って出奔する…。

     戦に乗じて一旗揚げようともくろむ男達と、家族が平穏に暮らせれば十分だという女達。我を通した男達は、やがて自分が支払った代償の大きさに気づいて愕然とするのだが、ネタバレになるので詳細は省こう。それはさておき見どころは、やはり京マチ子演じる若狭姫の妖艶ぶりだ。あの流し目の雄弁なことといったら!何でもオープンにしすぎて今や隠すものを持たない私たちに、「秘すれば花なり」という言葉の意味を教えてくれているかのようだ。 あと個人的に印象に残ったのは、源十郎(森雅之)が老女の幽霊に着物を引き裂かれて半裸にされるシーン。恐怖で震える男を女の幽霊たちが取り囲んで責めたてるのだが、性的な絡みはないにも関わらず、私はこのシーンに本作最大のエロスを感じた。

     改心した源十郎が家へ帰ってきた時のトリッキーな演出はお見事。オチを知っているはずの観客さえ、一瞬「あれ?」と思ってしまう。ひたすら夫を待つ女、宮木(田中絹代)の献身はいじらしく哀しい。夫の服の繕いをする宮木に、後光のように朝日がさすシーンが美しい。「戦が俺たちの望みを歪めてしまった」という藤兵衛。映画に教訓を求めるのは野暮だが、作品が作られた時代背景を考えると、このセリフは重い。源十郎の子が母の墓前で手を合わせるラストは、鎮魂と復興への願いを込めた監督自身の祈りだろうか。

    「含蓄」という言葉がまだ健在だった時代の作品である。

    • 淳水堂さん
      こんにちは。
      白黒なのに陰影が印象的で、さすが溝口健二ですよね。
      日本の怪談において、置き去りにされた妻がそのままの姿で待っていた場合、...
      こんにちは。
      白黒なのに陰影が印象的で、さすが溝口健二ですよね。
      日本の怪談において、置き去りにされた妻がそのままの姿で待っていた場合、翌朝恨みごととともに消える、というパターンが多いですが、ここでは純粋に慕情でじんわりしました。
      しかし、あんな戦場に女おいてったらどうなるか分からんのか…、これだから男は〜とも思う。
      2018/08/29
    • 佐藤史緒さん
      こんにちは、淳水堂さん。コメントありがとうございます^_^
      確かに、日本の怪談には置き去りにされた女が恨み言とともに男を待ってるパターンが...
      こんにちは、淳水堂さん。コメントありがとうございます^_^
      確かに、日本の怪談には置き去りにされた女が恨み言とともに男を待ってるパターンが多いですね。これってお国柄ですかねえ? アメリカあたりなら、家で待ってないで、男のとこに自分からガンガン攻めていきそうですよね(笑)
      この作品ではひたすらダメな男と、そんなダメ男に尽くす女、というパターンが基本になってます。様式美としては美しいけれど、自分の夫がこんなんだったらやってられんわ、とも思いますね
      (;´д`)
      2018/09/02
  • 時間があれば

  • 上田秋成の幻想美をわりと忠実に映像化しているんじゃないかと思った。割と良かった。
    レンタル屋のGEOで借りたが、この作品著作権がすでに切れているので格安で購入もできるようだ。

  • ただの古い映画かと思ったら、今でも通用する面白さだった。
    ラストはありきたりな、普通の生活が1番みたいな感じだったけど、その過程がコミカルな冒険と幽霊ものでわくわくした。
    まぁ、藤兵衛の話の尻切れ感は否めないし、こっちは反対にコミカル路線を貫いて出世に振ってもよかったんじゃないかとも思える。

  • 立身出世を夢見る兄弟とその妻たちに見舞う悲劇。ラストは”それでも物語は続く”という印象が残ってよかった。ただ見ていてやはり「古さ」を感じてしまった。海外での評価が高いのは、浮世絵っぽい世界観がウケたのかなという印象。

  • 今見ても新鮮と良いたいがやはりふるぼかしいですね。のめり込んで見るということにはならない。
    でも京マチ子の不気味な存在感はすごいですね。ヘンなCGよりはるかに迫力がある。森雅之、田中絹代の安定した演技もいい。でもその程度。こうした悪霊にいつのまにか取り憑かれてるというのはこれ以降なのかおなじみになってなのかそう新鮮ではない。

  • 名作!現実と幻想が対照的に描かれていて、見ていて過酷な現実が浮き上がってくる!物語がシンプルなところや、俳優の演技も好きだったし、抑えた表現だからこそ、エロスも品があるし、見えない部分を想像する楽しみもあるのかも!

  • 溝口健二監督 1953年作品
    川口松太郎 脚本 宮川一夫 カメラ。
    画面が暗いのが 残念である。
    今の技術で、明るくすることはできないのだろうか?

    戦国時代 羽柴と柴田が争っているころ
    北近江 陶工 源十郎(森雅之)は、
    宮木(田中絹代)と娘と仲むつまじく生活していた。

    長浜の街に陶器を売りにいったら・・・
    高く売れたことから 源十郎は 陶器つくりに精を出す。
    宮木は 3人が仲むつまじく生活できればいいと思っていた。
    義弟 藤兵衛(小沢栄太郎)は、武士になりたいと思っていた。
    嫁 お浜(水戸光子)に 村一番の大ばか者といわれていた。
    柴田軍が 村を襲ったが、作りかけの陶器は無事だった。

    源十郎は陶器を売りにいったとき 
    朽木家の若狭姫(京マチ子)が陶器を高く買ってくれ
    饗応を受け、一緒に生活することになる。
    その生活は 源十郎にとって 夢のようだった。

    若狭姫のプレゼントを買うために 屋敷から出て
    朽木家にいるといったら 店のものは 首をかしげ
    売ることを拒絶した。
    老僧にあうと・・・死相が出ているといわれ、
    源十郎は、老僧に、身体中に呪文を書いてもらう。
    若狭姫は その贈り物を喜ぶが、
    源十郎に近寄れない。
    源十郎の身体の呪文が若狭姫を近づけないのだ。
    若狭姫は 朽木一族の死霊だった。
    若狭姫は 女の喜びを知らずに死んでしまったのを悔いて
    亡霊として出ていたのだ・・。
    源十郎は 若さ姫から逃れて・・

    すんでいた村に帰る。
    宮木(田中絹代)と娘は大喜びして迎える。
    再び、3人は平穏な生活が始まるが・・・

    一方 義弟の藤兵衛は、相手の大将の首を討ち取った武士から
    奪い取って、自分の手柄として 献上し、
    馬と家来もちに出世する。
    錦を飾って 村に帰ろうとする 途中で、郭街に立ち寄るが
    そのとき 身体を売っている自分の嫁 お浜に出会う。
    藤兵衛は 嫁に認めてもらいたいために
    功をあげたのに と苦しむ。
    藤兵衛は あっさりと 武士を辞めてしまう。
    村に戻って お浜とふたたび 農民として生活を始める。

    ある時 宮木の父親がやってきて
    源十郎に会うが・・・父親は宮木はもうすでに死んでいるという。
    今まで、宮木に会っていたのに・・・
    源十郎は 宮木が幽霊だったことを知る。

  • 役者の動きに、舞台の「見栄」みたいなのが沢山あってかっこいい。

  • 妖艶で、しかし、薄汚い世界を描いた名作。

    この映画を最初に観たのは、まだモノクロにそこまで親しみのなかった頃。この映画を観て、モノクロに惚れたといっても過言ではない。

    宮川一夫を始めとしたスタッフにも賞賛。

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