わたしを離さないで [DVD]

監督 : マーク・ロマネク 
出演 : キャリー・マリガン  アンドリュー・ガーフィールド  キーラ・ナイトレイ  シャーロット・ランプリング 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.69
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本棚登録 : 670
感想 : 144
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142857729

感想・レビュー・書評

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  • もう少し子ども時代を丁寧に描写して、そこはかとない気味悪さをもっと表現して欲しかった。それでも、原作者が脚本に携わっているからか、作品全体としては原作をそれほど損なっていないと思う。原作を読んでから観るほうが設定に納得がいくと思う・・・なぜ、運命に抗わず悲しみを抱えたままその日を待っているのか・・・原作には、子ども時代からの何年にもわたる洗脳(教育)がリアリティを持って描かれているから、物語がハッピーエンドに落ち着かないのも理解できる。ありがちなハッピーエンドではないところが、物語に現実味を与えている要素でもある。主人公がなんでもできるヒーローじゃなかったり、ラストに大どんでん返しがなかったりするから、近未来のドキュメンタリーっぽさまで匂わせていてちょっと怖くなる。

  • 映画の方が現実のものとして認識してしまい、物語の情景を思い浮かべるのが難しくなってしまった。それでもこの話自体は何度読んでも、見ても、自分の存在とは何かを考えさせてくれる、とても良い物語だと思う。

  • 閉鎖された寄宿学校。少女の恋。少し恐ろしいサイエンスフィクション。

    個人的に好きそうなキーワードがありながらどうも重そうで観る機会を逃していた映画です。

    謎の寄宿学校で生活をしていたキャシー、ルース、トミーの彼らだけの数奇な運命の物語。

    恐ろしい運命におかれた彼らの人生を3人の三角関係の恋愛模様と友情を軸に描いているのだが、どうもハートフルな青春映画にありがちな温かい絆というものが見当たらない。

    どこか物悲しくて無機質なその冷たい絆は彼らが作り上げられてきた環境によるものなのだろう。

    友人や愛する人に対する愛や、生に対する執念。
    温かい家族の愛に包まれて育っていたのならばきっと彼らの行動はもっと違うものになっていただろうと思い、映画を見た後じわじわ、ゆっくりと切ない思いにさせられてしまった。
    寂しくて、無機質な彼らの生き方を観てたら命の尊厳、魂の存在、どう生きるかを考えさせられてしまった。

    SF文学という風に聞いていたが、どうもSF感がないまま終わったけれどそれが逆に彼らの命の受け入れ方に関してリアルに表現されていた気がする。

  • 原作既読。
    映像が非常に美しかった。
    原作の少し湿度のある端正な文章をそのまま映像にした感じ。
    語り過ぎないところも原作に習っているのだと思う。
    その姿勢は評価したい。
    台詞に頼らず、一瞬の映像で不穏さを明らかにしていく。
    原作を尊重しているのが全編から伝わった。
    ただ、音楽がうるさかった…。
    映像だけで原作の静謐な文章とぎりぎりタイなのだから、そこに更に音楽を薄めずに乗っけたら過剰になる。
    その上、感情を揺さぶる場面の音楽は大体同じで、またこれか…と冷めてしまった。
    映画でしか出来ないことをやった、と思える部分もなかったし…。
    忠実な映画化ではあるが、それ以上でも以下でもない。
    カズオ・イシグロ原作の映画は名作「日の名残り」があるので(あれは忠実な上に映画にしか出来ないことをやってのけたと思う)、どうしても比較してしまう。

    これ、原作未読でも一回でするっと入り込めるんだろうか…。
    原作が好きな人同士で良かったところを語り合う内輪の会、その中でのファンの一表明、という感じがしたので…。

  • 2010年公開。

    数週間前に観終わった。美しい映画である。あっさりしていて――それ以上のことを口に出したくない気持ちにさせる作品だ。
     
    原作のある作品であり、また、原作の性格を考えても、この作品の、「語りきらなさ」、折りたたんだその襞に挟み込んだ滴をほとんど見せないでいる在り方は、時間的制約があったにせよ、意図的なものと判断できる。読者、鑑賞者の心の中のゆらぎでもってこの作品は完成する。そういう作品である。
     
    原作を読んでいるものにとってこの作品の価値は、ビジュアルを提起したことであって、それ以上のことはそもそも求められていないし、原作のあれがなかったから云々ということには何の意味もないし、それどころか自ら受け取った価値を破壊するようなものだと考える。しかし映画だけを観ていて原作を読んでいない人には、損がないから読むようにとお勧めしたい。彼らの気持ちがいっそう自然に理解できるようになるはずだし、ゆえに、最後に受け取るものも、一次元ほど高度のものになると思う。

  • 衝撃的な映画だった。

  • 同名の小説『わたしを離さないで』の映画。

    小説を2時間ほどに納めなければならないため、多くのことは語られず、主人公キャシーの沈黙と静かな表情で表現されている。
    映像も、雰囲気も、かなり小説に忠実だ。

    <提供者>である彼らも、人間と同じように悩み、恋をし、嫉妬し、楽しみ、苦しみながら生きているが、<提供>が始まれば彼らはいわゆる「家畜」のように「終了」するまで内臓を提供しなければならない。その<提供>を3年ほど猶予されるためには、本当の愛を証明しなければならないという噂があった。わずか3年である。しかし、彼らはその噂に翻弄される。
    「あなたがたにも魂があるのかを知りたかった」と、言い放つ「人間」の存在も、このストーリーに深い悲しみを添えている。

    小説、映画を両方、見て欲しい作品である。
    小説のレビューはこちら。
    http://booklog.jp/users/wasabing/archives/4151200517

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「家畜」のように「終了」」
      臓器移植やクローンの発達は、技術や科学の進歩なのか?
      合法化されなかったら、きっと行方不明者が増加するんだ...
      「「家畜」のように「終了」」
      臓器移植やクローンの発達は、技術や科学の進歩なのか?
      合法化されなかったら、きっと行方不明者が増加するんだろうな、、、
      2014/04/05
  • 臓器移植の倫理性を問いたいのか切ないラブストーリーなのか、主旨が曖昧。原作は未読なので何とも言えないが、104分に壮大なテーマを詰め込みすぎたのではないかと。もっと違う見せ方があるのに、もったいないと思う。

  • 01/09/12

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ところで、原作は読まれましたか?
      ところで、原作は読まれましたか?
      2012/12/10
  • 大好きなカズオ・イシグロ原作。
    イギリスの空気感が良くでていた。

    内容は、遺伝子操作でスペアの臓器提供者として生きている人の物語。声高に遺伝子操作反対を叫ぶわけではなく、でもじんと染み透ってくるせつなさ。とにかく行き場がないぐらいせつない。

    主人公の3人がとてもいい。アンドリュー・ガーフィールドはいかにも気の弱そうな青年を演じている。キーラ・ナイトレイも気が強く負けん気にあふれ、でも人を愛せなかったさみしさにあふれていた。そして、キャリー・マリガン。穏やかで、芯が強く、運命をうけいれた(受け入れざる得ない)女性を本当にうまく演じていた。

    カズオ・イシグロの世界そのままの映画だった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「行き場がないぐらいせつない。」
      在り得ないようでいて、近い将来に実現するかも知れない。だから切ない進行にしたのだと思う、ジンワリ心に残るよ...
      「行き場がないぐらいせつない。」
      在り得ないようでいて、近い将来に実現するかも知れない。だから切ない進行にしたのだと思う、ジンワリ心に残るように。
      カズオ・イシグロの新作が待ち遠しいです、、、
      2013/03/08
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