英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

監督 : トム・フーパー 
出演 : コリン・ファース  ジェフリー・ラッシュ  ヘレナ・ボナム=カーター 
  • Happinet(SB)(D) (2012年3月10日発売)
3.85
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953036987

感想・レビュー・書評

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  • 「頭を空っぽにして、私に話しかけろ。私だけに、友達として。」

    1925年、イギリス王太子のヨーク公がスピーチに臨むシーンから始まる史実ベースの映画。吃音に悩まされていたヨーク公が言語聴覚士のローグに出会い、治療・トレーニングを通して絆を強めていくお話。ラスト、ドイツとの戦争に突入するイギリスとして国民に語りかけるスピーチは、視聴側もつい手に力が入る。

    王子の苦労・苦悩を描いた映画だけど、ローグ側のサクセスストーリーでもある。治療のためには王族にもへりくだらない男が気に入られる、というのは漫画の設定に採用したらベタだと言われてしまうような話です。

    宮殿や大聖堂のシーンも多く落ち着いた気品のある映像でまとめられていて、綺麗だなと思いながら観ました。

    それにしても、父も兄も乳母まで酷い。映画的誇張はあるだろうけど、時代的には吃音の息子を怒鳴りつけて余計悪化させる父親なんて普通にいただろうな。
    自分を「欠点だらけだ」と言う、周囲に恵まれなかった王子に、寄り添ってくれる妻がいて良かった。

    いい映画でした。

  • 極めて普遍的で王道な成長物語、弱さや情けなさを持った完璧超人ではない一人の王族が周りの助けを借りながらも困難を乗り越えていくというストーリーは極めて王道で見ごたえがある。歴史ドラマではあるものの、ところどころでクスリと笑えるシーンがあったりと決して重苦しく作られていないのが素晴らしい。英国俳優たちの豪華共演&熱演も良し。オスカー受賞も納得。

  • とても好みな作品だった・・・。

    イギリス王室って結構スキャンダルのネタにされたり好き放題言われてるけど、実在の王族を描くのに制約とか遠慮とか圧力とかはないのかな?
    チャーチル首相とかもちらっと出てきて印象的ですが、イギリス人なら誰もが知ってる人を描くのって、難しそう・・・。
    とりあえず自分は予備知識全然ないので、それぞれの登場人物、キャラクターとして楽しめました。

    立派な父が世を去り、王位を継いだ兄は女にうつつを抜かして王位を捨て、変わりに突然王になることになったジョージ6世。
    吃音でスピーチが大の苦手。
    王妃のすすめで、秘密で町の先生のところに通いはじめる。
    対等な立場で接しようとする先生に、プライドの高い王は反発しますが、やがて友情が生まれ・・・。

    主人公の王も、王を特訓する先生も、先生の家族たちも、みんな愛すべきキャラクター。
    脇役まできっちり描いてるっていうのは名作の必須条件だと思う・・・。
    なかでも、ヘレナ・ボナム・カーター演じるいたずらっぽい王妃が素敵。
    この人、ホントいい感じで歳を重ねたよなあ。
    古きよき英国、って空気が似合う。
    品がありつつ、すごい可愛い。

    最後のスピーチでは、奇跡的な愛の力みたいなのが降りてきて、魔法にかかったようにスラスラと・・・
    という展開をなんとなく想像してたんだけど、違った。

    王様、一生懸命、頑張って頑張って、噛みしめるようにして言葉を届けるのです。
    傍らで見守る先生も、王がトチらないように、一生懸命身振り手振りで指導して。
    そうやってようやっとの思いでつむいだ言葉が、ちゃんとみんなの胸に届く。
    その不器用な一生懸命さがすんごくよいのです。

    重苦しいところがなくて、ほほえましい笑いもあり、緊張感もあり、最後は勇気をくれるさわやかな終わり。
    いい映画だったなあ。

  • 洋書_The King's Speech_を読んでいるので、映画も再度、見て、映画のレビューを書いている。

    事実(史実)をもとにしていることが、歴史の重みを映画にしっかりと加えている。ヒットラーの時代に、英国がどう進もうとするかは歴史の大きな転換点になったはずだ。しかも、兄が国王の位を降りたことで急遽自分にまわってきたstatusと、その困難な時代と、新国王George VIにとって、自らの吃音がさらにその困難さを増す事になっていることを誰よりも分かっていたようだ。

    そんな中で、ヨーク公(後の国王ジョージ6世)は、イギリス人でなく、コモンウェルズのオーストラリア人であるローグを、自らの吃音矯正の指導を依頼することに、いささかのためらいはあったと思う。妻のエリザベス(後の、王妃であり、さらに現女王エリザベス2世の母であるので、英国人に絶大なる人気を有する皇太后となる)の支えがすばらしく、次第に、ローグの訓練を受入れていく。

    ライオネル(ローグ)とバーティ(ジョージ6世)とが、二人で行っていく訓練の場面がひとつの見せ場であり、audienceは、言葉をめぐって、心が閉ざされたり、開かれてゆくさまを、共有してゆく。

    この作品のもととなった、オーストラリアのローグの孫が出演するCNNの動画がある。実際に、ふたりが友情を持ち続けたことを示唆してすばらしいので、ここにあげておく。
    http://edition.cnn.com/2011/SHOWBIZ/Movies/01/25/kings.speech.grandson/index.html?hpt=C2

  • いやぁ〜
    なんとも上品で静かに響く、
    見応えのある大人な良作。

    それにしてもイギリスという国は、
    王室の寛大な対応にしても
    なんとも粋でカッコいいっスよね。


    王室の内部事情という
    縁遠く退屈な設定が面白くなりえたのは、
    前評判通り
    安心して観ていられる
    ベテラン役者陣の
    名演の賜物だと思います。


    実在のイギリス王を人間味たっぷりに妙演した
    英国の名優コリン・ファース、

    物怖じせず
    「我々は対等だ」と言い放つ、
    無免許の言語聴覚士ライオネル役の
    ジェフリー・ラッシュ、

    久々に普通の人間を演じた(笑)
    献身的な妻エリザベス役の
    ヘレナ=ボナム・カーターなど、
    さすがと唸る
    納得の演技を見せてくれます。

    英国らしくウィットに富んだ
    会話の妙と、
    優しく奏でるピアノ演奏など
    音楽の素晴らしさも◎。


    国王を1人の男として捉え、
    絶望の淵から歩き出し困難に立ち向かう姿は、
    観る者の希望となり
    人を勇気づける。


    大事なのは
    どんな時も
    抗う意志を持つこと。

    運命に抗うことなんですよね。


    人はどんなに絶望しても、
    どんなに心が折れても、
    諦めさえしなければ
    灰の中から不死鳥が甦るように
    また雄々しく立ち上がることができる。

    それは限られた者だけではなく、
    国王だからではなく、

    コンプレックスを抱える全ての生きる者の中に
    その力は宿っている


    そんなことを
    説教じみることなく気付かせてくれる作品です。


    タイトルからして
    堅苦しいと敬遠する人もいるだろうけど、
    コンプレックスを背負った主人公が
    様々な困難を乗り越え勝利するという、
    「踏み止まって戦うヒーロー」を描いた
    言わば王道的作品なので、

    実は意外と熱いし、
    わかりやすい描き方をしているので
    ご安心を(笑)


    クライマックスの
    べートーベン交響曲第7番第2楽章が流れる中、
    ドイツとの開戦を告げるスピーチは
    緊張感みなぎり、

    たどたどしいながらも
    心に響いて
    本当に引き込まれました。


    あの少女が、
    現イギリス女王
    エリザベス2世になるんだと思って観るのも面白いです(笑)

  • 観よう観ようと思いつつ、長らく鑑賞機会がなかったが、GYAOでやってたので視聴。
    戦時下の王として、そしてエリザベス2世女王の父君としても有名なジョージ6世の、第2次世界大戦開戦時の有名なスピーチに帰結するまでの吃音との闘いを、言語療法士のライオネル・ローグとの共闘と友情を軸に丹念に描く感動の作品。コリン・ファースはじめ、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーターの熱演が光る。頭脳明晰で責任感の強いスマートな人物なのに、思っていることを的確に言語化できない苦しみをコリン・ファースが見事に演じている。ヒネリのない演出も本作では吉と出ている。

  • あなたは誰より忍耐強く、勇敢、というライオネルの言葉に自分が言われているような気分になる。吃音ではないがジョージ王の気持ちがよくわかる。ラストのバッキンガム宮殿にうっとり。コリン・ファースにも。
    驚くべきはエンドタイトルのキャスト紹介。役柄主体ではなく王族を最初に列挙している(ジョージ6世の次がエリザベス女王なのだ。役として重大なライオネルではなく王族を尊重)。さっすが英国!
    やっぱりアカデミー賞授賞式は毎年録画するべきだったなあ。あの、一人として同じものがない、こちらの胸を打つコメントの数々はすごいよね。
    (2011.8.19)

    名場面のみ久々に観た。選曲がまたベートーベンの交響曲第7番、ピアノ協奏曲「皇帝」、モーツァルト クラリネット協奏曲ときた。ジョージ6世は吃音のハンディがあったからこそ、より人生を豊かに味わうことができた。素晴らしい奥様(王妃)、娘たち(マーガレット女王とアン王女)、最高の友人ライオネル。こんな人たちに囲まれたら苦労なしの人生よりずっと素敵。
    この映画、私にとっては場面緘黙症だった頃を思い出し、場面場面でジョージ6世に乗り移れそうなほどリアル。しかし人の苦労は様々で、吃音症じゃなくても「自分の人生と重なった」という感想が世界中から寄せられていることを考えると、世の中捨てたものじゃないなと思う。愛しくて、さめざめと泣いてしまう映画だ。
    それから人間関係のバランスについてもふと思う。それぞれデリケートで優しい人々であるが、繊細でときにかんしゃくを起こすジョージ6世を見守る人々は皆明るく優しく安定している。王と同じ性質だと相性が悪いということだ。王にとって王妃やライオネルは必要不可欠な存在だが、王妃やライオネルにとってもまた国民にとってもジョージ6世は勇気を与えてくれる必要不可欠な愛すべき王様だった。
    自分に与えられた使命について思いめぐらし、一歩前進のための多大な勇気を与えてくれる映画。
    (2013.5.20)

  • 【ストーリー】 (Amazonより)
    スピーチができない男が、国王になった―。
    吃音に悩む英国王ジョージ6世が自らを克服し、国民に愛される本当の王になるまでを描いた感動の実話。

    ジョージ6世は、王になどなりたくなかった。兄のエドワードが、王室が認めない愛のために王冠を捨てたことから、予期せぬ座についたのだ。しかも彼には、吃音という悩みがあった。スピーチで始まり、スピーチで終わる公務の数々に、いったいどう対処すればいいのか? 心配した妻のエリザベスは、スピーチ矯正の専門家、ライオネルの診療所に自ら足を運ぶ。堅く閉ざした心に原因があると気付いたライオネルは、ユニークな治療法で王の心を解きほぐしていくのだが ―。



    人それぞれにコンプレックスはあると思います。
    ユニークな治療法には笑ってしまいましたが 主人公は吃音を克服するためにとても努力していて 言語療法士ライオネルと出逢えて良かったと思いました。
    私も人前で話をするのがとても苦手なので 逃げたい主人公の気持ちがわかります。

  • じわじわくる映画だった。

    幼い頃からのプレッシャーによって吃音症を患ってしまったバーティが、第二次世界大戦に向かい行く英国の国王となって、重圧にくじけそうになりながら、ライオネルと家族と供にそのトラウマを克服していくお話。

    物語は意外と淡々と進んでいくんだけど、
    自分との葛藤とか、他者との信頼関係とか、逃れられないものに向き合うこととか、時にコミカルに、時に静かに描かれている、素敵な映画でした。

  • いたってシンプルな筋書きの裏に、一言では語れないジョージ六世の生きてきた道がある。「私は国王ではない」と泣き出すシーンは、情けなさを自覚しつつも堪えきれない涙にグッときた。自信を持てない自分と必死に向き合う姿、ライオネルとのユーモラスな交流に終始心は温かい。

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