文藝春秋増刊「つなみ 被災地のこども80人の作文集」 2011年 8月号
- 文藝春秋 (2011年6月28日発売)


- Amazon.co.jp ・雑誌 (160ページ)
感想・レビュー・書評
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3月11日の大地震のとき、ぼくは東京から北海道まで2日かけて電車で向かっている途中でした。のっている電車が北山形という駅にとまったちょうどそのとき、電車ごと思いきりゆさぶられました。そのまま電気も何もかも止まってしまい、ぼくは山形という知らないまちから北海道へ行くことも、東京の家にもどることもできなくなりました。雪がふる中やっとのことで探しあてたホテルにかけこみ、ホテルの人が出してくれたおにぎりひとつともうふ1枚で寒い夜をすごしました。停電がおわって、東京の家に帰れたのは14日のことでした。
同じとき、つなみにあったみんなが何をしていたのか、この本ではじめて知りました。学校で授業をうけていた人、学校から帰る途中だった人、卒業式に出ていた人、家に帰って遊んでいた人。みんな、たいへんだったのですね。
みんな、つなみのときのことを作文で教えてくれてどうもありがとう。れいなさん、自転車が当たってよかったですね。けんたくん、DSはつなみに流されずにすんだのだから、母ちゃんと同じようにだいじに使ってくださいね。かなこさん、また早く上地雄輔さんに会いたいですね。みさきちゃん、よしだともなかよしになれるといいね。大輔くん、愚民もまた人であるのがこの世界ですよ。ともゆきくん、きみが甲子園に出る日をたのしみにしています。まさとくん、ぼくも前むきにいきていきます。ヒロフミ、8人家族全員守りぬけて、すごいな!はるなさん、「フラフープダンスぶ」たのしそうですね。ゆうなさん、家族みんなでまちの人を助けてくれてありがとう。しょうたくん、親友がいるってすてきだね。せいやくん、野球がんばれ!かおりさん、ぼくも笑顔を忘れません。龍くん、就活がんばって!まこさん、つらいときは電話ください。かいとくん、ほしいものを思いついたら真っ先に教えてください!ちよさん、ぼくもあなたのような思いやりのある人になりたいです。なおかさん、ぼくは新しい友だちと出会えたときに幸せって思います。
みんな、文章がじょうずで感心しました。小説のように書く人、新聞のように書く人、いろんな人がいてとても勉強になりました。これからも、いっぱい作文を書いて、たくさんの人にいろいろなことを伝えられるようになってくださいね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は、小四の子どもに読ませたい、という思いもあって購入したのだが、先ずは私自身、眼を通した。
たとえば、石巻の小五の迅人君ー「津波から泳いでひっしに逃げている人が見えました。でもけっきょくは、おぼれてしまいました。そしてまた、たてつづけに見た物は、車から出れなくて、たすけをもとめている人が見えました。何分かたって、その車はしずんでいって、もうしずんだって時に、ギリギリでわかい人がたすけにいって、三人はたすかったけど、一人はさむさで死んでしまいました。」ーと、彼がまざまざと見た光景が、生涯決して脳裏から消えさらぬものであるように、此処に綴られたそれぞれの経験は、すべてそういうものだ。 -
これを読んだ感想をここに書き記しておこう…といった気楽な類のものではない。読んで感動するのも簡単だ。実際に感動する。でも、だから何なんだろう。被災に遭ったこどもたち80人によって書かれた作文は、作り話では無い。
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被災地のこども80人の作文集。一読に値する。
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この本の対象読者は誰なのか。この本は誰に向けて編纂されたものなのか。絶対にセンセーショナルな感じで手に取り、目を通し、涙してはならない。これは現実なの。
松本前復興相が最後の会見で記者に配ったもの。あのとき躁状態だったと言うから、それを信じる。しかし、あんなパフォーマンスではすべての被災者の気持ちを踏みにじっている。ここに載ってるのはわずか80人の「子ども」の作文だけれど、あの大きな揺れを感じた全員、「大人」も「子ども」も皆が、重い記憶を心に抱えている。
それは計り知れないほど深く大きな悲しみだ。わたしはそのことが本当に辛い。
あのとき何かが変わったと思う人に手にとってほしい。ただし扇動的に涙を流させる本ではない、読みながらそこ間違えたらだめ。
自分もあの日を思い出し、また、さまざまなことを考えながら時間をかけて読んでいる。まだ読み終わらない。 -
5-1 2011/12/14
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「災害・津波」に。
2011年3月11日に起きた東日本大震災による津波の話。 -
子供は大人が考えているよりも、しっかりしている。日本は、このような若者がいる限り大丈夫だと感じた。
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東日本大震災で津波の甚大な被害を受けた宮城・岩手の子どもたちが、津波体験を書いた作文をまとめたムック。下は幼稚園から上は高校生まで、計80人の作文が収録されている。うち約半分は、子どもが書いた作文用紙をそのまま撮影して掲載している。企画・取材・構成は、ジャーナリストの森健。
私が取材で赴いた石巻や気仙沼などの子どもたちもたくさん登場するので、読むごとに被災地の光景や出会った人々の顔が思い浮かんで、たまらない気持ちになる。
小さい子どもの作文は言葉が拙くて事実関係がわかりづらいが、森が取材で得た情報を随時文章で補足しているので、それを併せて読むと、幼い言葉の背後にある重い事実に胸を衝かれる。
《4月10日におとうさんが、みつかり一週間後おとうさんのかそうを、しました。とてもざんねんでした。》
いまはまだ、「とてもざんねんでした」という言葉でしか気持ちを表現できない小学2年生の男の子。その行間に、どれほど深い悲しみがあり、ドラマがあるのか。
読んでいて思い出したのは、矢野顕子の「たいようのおなら」。
これは1981年のアルバム『ただいま。』に入っている9分半の“組曲”で、子どもたちの詩に矢野が曲をつけて歌ったもの。この中に「いぬ」という小曲がある。6歳の男の子が書いた詩に曲をつけたもので、「ぼくはいぬがだいすきです」などというたわいない言葉の連続なのだが、聴いていて涙が出るほどに哀切だ。
本書に収録された小学校低学年の子どもの作文にも、同質の凄みを感じる。子どもならではの飾らない、幼い言葉だからこそ伝わるものもあるのだ。
いっぽう、中学生、高校生ともなると文章力もついてくるので、体験した者のみが書ける津波の惨禍の表現に唸らされる。
《そして夕方。じいちゃんが言った。
「ばあちゃん、流されたがもな……」
私とお母さんは泣いた。この事が妹と弟にバレないように、こっそりと。》
これは、大槌町の中学2年女子の作文。
森が市・町ごとに取材後記のような形で寄せている短い文章が、とてもよい。これ自体、被災地の子どもたちの姿を描いたルポとして独立した価値がある。
たとえば、次のような一節がある。
《前出の渡邊蘭さんははじめて自宅に戻ったとき、頑強なタイプの父が静かに泣いているのを見て驚いた。だが、蘭さんは震災後の数カ月で成長した自分を感じるとも語った。
「ふつうに会えていた友だちと、もしかしたら明日会えなくなるかもしれない。だったら言いたいことは言おうと思うし、後悔しないように生きようと思うようになりました」》
《校庭には、親達が続々とやってきて、わが子の手を引いて、家に連れ帰った。だが皮肉なことに、高台にある学校から市街地に戻ったことで、命を落としてしまった児童も少なくなかった。》
被災地の子どもたちの写真もたくさん載っていて、その明るい笑顔にホッとする。大人たちより子どもたちのほうが、災害へのたくましい適応力があるように思う。 -
(2015.03.16読了)(2011.07.17購入)
出版されて20日後ぐらいに購入して、あたまのほうを少し読んだところで、積読になっていました。今月になって思いだしたので、読んでしまうことにしました。
東日本大震災の津波の後、2か月後に、避難所にいた子供たちに原稿用紙を渡して書いてもらった「津波体験記」を80編ほど収録したものです。手書き原稿のまま掲載されているものと活字になっているものとあります。
手書き文字が読みにくかったり、ひらがなが多くて意味がとりにくかったり、漢字を間違えていたり、脱字があったり、文字の重複があったり、手書きならではの味があります。
まだ体験の記憶が生々しいうちの作文なので、体験のすごさが伝わってきます。
津波に追われながら高台に、建物の上位階に、自宅の二階に、等、危機一髪で助かった人たちが結構います。津波に流されていく人たちを見た子供たちもいます。
津波にあった日の夜は、食事にありつけなかった人たちも多く、寒さにふるえながら過ごした人たちも多いようです。
僕の場合は、津波には合わなかったし、家も壊れなかったのですが、停電で、水道も止まっていたので、食事は、公民館の炊き出しをもらい、余震が続くので、ストーブもつけたり消したりで、眠れませんでした。
【目次】
•はじめに 「子どもの眼」が伝えるもの 森健
●宮城県名取市、仙台市若林区、東松島市
「ままのかおがみえたらないちゃいました」(名取市 保育園)
「ままのくるまが、ながされた」(名取市 幼稚園)
「画用紙1枚で寝ました」(名取市 小4)
「つなみは黒くてくさかった」(仙台市若林区 小2)
「世界中の人に恩返ししたい」(名取市 中3)
「地鳴りが『ゴォー』」(名取市 小5)
「大好きだった海が嫌いになった」(名取市 中3)
「今まで見た中で一番キレイな星空」(名取市 高3)
「NVER GIVE UP!」(名取市 高2)
●石巻市、女川町
「くうきがきたない」(石巻市 小1)
「おとうさんにまけないせんしゅになりたい」(石巻市 小2)
「お母さんにだきついた」(石巻市 小3)
「『助けて』『苦しい』とゆう声」(石巻市 小学生)
「食パン4分の1」(石巻市 小6)
「自衛隊のシャワー」(石巻市 小5)
「だるさ・吐き気・変な感覚」(石巻市 小6)
「人間は強い」(石巻市 中3)
「頑張るぞ俺達家族!」(石巻市 高1)
●南三陸町
「つよくてやさしい人になりたい」(南三陸町 小学生)
「おにぎり一個十分かけて食べた」(南三陸町 小6)
「何も無くなってしまったやぁ」(南三陸町 中1)
●気仙沼市
「つなみってよくばりだな」(気仙沼市 小1)
「わたしのたからばこは、どこにいったかな?」(気仙沼市 小1)
「川の水がぎゃく流」(気仙沼市 小4)
「赤く燃え上がる炎と黒煙」(気仙沼市 中2)
「唯一残ったのは、命」(気仙沼市 中2)
「ペットボトルの湯たんぽ」(気仙沼市 中3)
●陸前高田市
「まつの木一本」(陸前高田市 小3)
「電柱やたて物がドミノのように」(陸前高田市 小3)
「ガレキの中に立っていました」(陸前高田市 小6)
●釜石市、大槌町
「今は何がほしいのかわからない」(釜石市 小4)
「夢だったらいいなー」(釜石市 小3)
「お母さんをかならず見つける」(大槌町 小5)
「白い煙のような波」(釜石市 中1)
「バイバイ。おばあちゃん」(大槌町 中2)
•おわりに 笑顔の先には明日がある 森健
●グラビア16ページ
「被災地のこどもたち」(文・塩野七生)+「こども絵画ギャラリー」
●くるまが(20頁)
くるまから、おりてはしって、かいだんをのぼった。すぐに、ままのくるまがながされた。とてもこわかった。
●人はおぼれて(30頁)
私は屋上に走ってひなんしました。その時はもう、つなみが来ていて車やがれきが流れてくるし、人はおぼれているしで本当に、こわくて悲しい気持ちでいっぱいでした。
☆関連図書(既読)
「東日本大震災100人の証言」AERA緊急増刊、朝日新聞出版、2011.04.02
「がれきの中で本当にあったこと」産経新聞社著、産経新聞出版、2011.06.02
「ふたたび、ここから-東日本大震災・石巻の人たちの50日間-」池上正樹著、ポプラ社、2011.06.06
「TSUNAMI 3・11-東日本大震災記録写真集-」豊田直巳編、第三書館、2011.06.30
「罹災の光景-三陸住民震災日誌-」野里征彦著、本の泉社、2011.06.30
「3・11東日本大震災奇跡の生還」上部一馬著、コスモトゥーワン、2011.07.01
「前へ!-東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録-」麻生幾著、新潮社、2011.08.10
「東日本大震災の教訓-津波から助かった人の話-」村井俊治著、古今書院、2011.08.10
「被災地の本当の話をしよう」戸羽太著、ワニブックスPLUS新書、2011.08.25
「明日へ-東日本大震災命の記録-」NHK東日本大震災プロジェクト著、NHK出版、2011.08.30
「生きる。-東日本大震災-」工藤幸男著、日本文芸社、2011.09.20
「三陸物語-被災地で生きる人びとの記録-」萩尾信也著、毎日新聞社、2011.09.30
「遺体-震災、津波の果てに-」石井光太著、新潮社、2011.10.25
「海に沈んだ故郷(ふるさと)―北上川河口を襲った巨大津波 避難者の心・科学者の目」堀込光子著・堀込智之著、連合出版、2011.11.05
「記者は何を見たのか-3・11東日本大震災-」読売新聞社、中央公論新社、2011.11.10
「あの人にあの歌を-三陸大津波物語-」森哲志著、朝日新聞出版、2011.11.30
「心のおくりびと 東日本大震災復元納棺師」今西乃子著・浜田一男写真、金の星社、2011.12.
「さかな記者が見た大震災石巻讃歌」高成田享著、講談社、2012.01.06
(2015年3月17日・記)
(amazon)
東日本大震災による津波に直面した子供たちが、地震の瞬間や、津波を目の当たりにした時荷何を感じたのか。家族や親友を失った悲しみ、避難所の暮らし、そして今、何を支えにしているのかを綴ってくれた文集です。半分以上は直筆文章を原稿用紙のまま掲載します(それぞれ写真と解説文つき)。
●3・11地震の瞬間、津波の恐怖
●家族・親友を失って
●避難所のくらし
●これからのこと
〔カラーグラビア16ページ〕 被災地での子供たちの写真と絵画作品集 -
病院の待合室に置いてあった本。
少し読んで先に進めなくなった。涙があふれて止まらない。
でも…無事なところにいて、大切な何かを失ったわけでもないのに、泣いてる私ってなんだろう…とも思った。
あの日、どう逃げてどう助かって、その後をどう過ごしどう家族と再開し、何を見て何を思ったかが、子ども達の作文に綴られている。報道されている印象とは何か違う。子ども達の言葉に装飾はない。おそらくは、ありのままが書かれている。
まだ全部読めてはいないけれど、少しづつ、必ず読まなければいけないと思っている。
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