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感想・レビュー・書評
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「無知は力なり」という体制のスローガンは、現代のわれわれをも蝕む。
つい先日、文科省が「子ども」表記を改めて「子供」とするという決定がなされた。言葉狩りのニュースを耳にするたびに、暗い気持ちになっていたものだが、久々に明るいニュースであると感じた。
たとえば、形声文字の仕組みさえ最初に理解して「且」が音符であると理解できれば、「祖父」はもちろんのこと、「組閣・租庸調・粗大・狙撃・阻止・炭疽菌・俎上」だって小学生でも読むことができる。その知恵が無い子に育てているとすれば、それは教師が怠慢であるか、『1984』のように意図的に愚民化を推進しているかのどちらかであろう。
『1984』の世界では、語彙を極限まで削ることで「正統とは何も考えないこと - 考える必要がなくなるということ」という状態を作ろうとする。
ウィトゲンシュタインは『論理哲学論考』を「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」と締めた。『1984』は、その言葉の意味にまた少しリアリティを持たせてくれた。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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