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- / ISBN・EAN: 4510840406352
感想・レビュー・書評
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恩赦で釈放された女に与えられた仕事は、盲目の牧師に届く悩みの手紙を読んでやること。初めはやる気も無く、金さえ盗もうとする女だが、真摯な牧師が、日に日に少なくなる相談の手紙に自分は神に必要とされていないと悩む姿に態度を変えていく。そして、心をゆるし自分の悩みを相談すると、そこに出てきたものは・・・。登場人物も時間もコンパクトにまとめられた佳作。【WOWOW録画】
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終盤、気づいたらボロボロ泣いていました。
手紙は自分への神からの贈り物だったのだという神父。
人は誰かを助けると同時に助けられている。
あらためてそう気づかせてくれる静かな映画です。 -
恩赦を受けたレイラが、盲目のヤコブ牧師の元で「手紙の返事を代筆する」仕事を与えられる。牧師と関わっていくうちにレイラの心に変化が訪れる。
展開も読めてしまうし、単調に進んでいく映画ですが、その中の牧師の言葉の重さやレイラ自身の葛藤、そして心境の変化がとても胸に刺さります。はっと驚くほど綺麗な景色の中の二人に共感する部分が、少なからず感じられるのではないでしょうか。 -
シンプルでじーんときました。舞台は1970年代のフィンランド。元終身刑のレイラは盲目の牧師ヤコブの家で住み込みで働くことに。仕事は毎日ヤコブのもとへ届く手紙を彼のために読んであげること。人のために祈り尽くすヤコブとは対照的にレイラは人に嫌気がさし、ヤコブにも冷たい態度をとっていた。ところが次第にヤコブのもとへ手紙が届かなくなり始めると、レイラとヤコブの心に変化がおとずれる…。静かで物悲しい雰囲気の映画だけれど、人の温かさと美しさが描かれています。はじめから最後まで「ヤコブへの手紙」というタイトルがぴったりだと思いました。一人の寂しさと人と人が支えあってる温かさ、この二つが1時間ほどの映画の中で真っ直ぐ伝わってきました。ラストはパッと終わってしまって…その後のストーリーを想像させ、余韻が残りました。
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感覚だけで言うと、なにか惜しい作品。「もうひとこえ!」と言いたくなります。
良かった点: 配役と、映像・音楽。
牧師もレイラもはまり役でした。役者の演技は繊細だけれども、力強かったです。
映像・音楽は、静けさ・寂しさ・暖かさといった物語の雰囲気をよく表現していました。特に教会のシーンは印象的で、ミステリアスさも感じました。
イマイチな点: ”訴えたいこと”が意外と心に響いてこない。
「自分を必要としてくれる人は必ずいる」「祈るという行為が与える癒しや希望」というのが大体のテーマと予想できますが、時間が短いぶん、登場人物の心情変化の描写が細やかでない。
さらに、そのまんま過ぎて、予測できてしまうストーリーが、リアリティを欠いていると思いました。
(ストーリーが簡素ならば、もう少し登場人物への感情移入を強める描写が欲しいです。)
若干浅い部分はありつつも、良作です。観る価値あり! -
号泣といってもいいくらいラストで泣いてしまった。
過去に囚われて沈んでとげとげしい主人公のレイラが静かに変貌を遂げる姿がすごい。
それにしても郵便やさんが走ってくる小径、古い教会や牧師館のたたずまいなどほんとうに風景が美しい。音楽も静かで柔らかい。 -
殺人罪で服役していた中年女性が恩赦され、田舎の教会にひとりで住む盲目の牧師に手紙を読み上げ、返事を書く仕事をするうちに、自分が犯してしまった罪に向き合っていくという話。
1時間あまりのとても短く、小さな映画。登場人物もふたりと、郵便屋の男くらい。ふたりは森の中の牧師の家で手紙が届くのを待ち、木の下で手紙を読み返事を書く。時折手紙が配達される以外には、訪れる人もない。
静かで穏やかな生活ではあるが、牧師のベッドの下にぎっしりと詰まった手紙の束は、人々が彼を必要としたのと同じように、彼も人々を必要としていたのだということを強く感じさせた。彼はどれほどの孤独に苛まれてきたのだろう。重みに沈む気持ちを抱えながら、それでも牧師としての使命に生きようと、ひとり耐えてきたのではないだろうか。
小さくとも、重みのあるいい映画だと思う。 -
短いイタリア映画。殺人事件を犯した女囚が釈放され、隠者のような牧師が身柄を引き受ける。なんの気もない女は盲目の老牧師を蔑んでみるが、牧師は変わらぬ生活を続ける。人気のない郊外に佇む小さな牧師館。老牧師ヤコブの日課は、関係を持つ人たちに手紙を書き続けることだった。
宗教映画と言い切れるものかはわからないが、人間のつながりに於ける苦悩と慰めを静かに綴った名作だと思う。