牡牛座  レーニンの肖像 [DVD]

監督 : アレクサンドル・ソクーロフ 
出演 : レオニード・モズゴヴォイ  マリヤ・クズネツォーワ  ナターリヤ・ニクレンコ  セルゲイ・ラジューク  レフ・エリセーエフ 
制作 : ユーリー・アラーボフ 
  • 紀伊國屋書店 (2011年12月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4523215038737

牡牛座  レーニンの肖像 [DVD]の感想・レビュー・書評

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  • 2001年ロシア映画。監督はアレクサンドル・ソクーロフ。
    権力者の黄昏を徹底した写実風をもって映像化した作品で、彼の「歴史4部作」の第2作となる。

    ある別荘での1日。別荘のあるじは病に臥せっている。脳梗塞からくる右半身麻痺に、痴呆、錯乱、失語といったボケ症状。別荘への電話は遮断され、手紙も届いていない。妻と妹は介護に疲れ、医者や護衛官や使用人といった周囲の人々には好奇の的であり厄介者としか彼を扱っていない。彼の名はソビエト連邦を建国したウラジミール・イリイチ・レーニン・・・。

    革命家として、革命後の建国者として、そして社会主義国家の形成を推し進める権力者として、レーニンが君臨した20世紀初頭のロシア。彼の亡き後も遺体はレーニン廟に保存され建国の父として崇め奉られる存在であったが、その彼の最晩年の痛々しい様子を「権力の残骸」として完膚なきまでにアレクサンドル・ソクーロフは白日の下に晒している。
    全体的に淡く霞みがかった映像は、レーニンの知性のもやもや感を観客と共有させているかのようである。それと対比するかのような別荘周囲の清々しい緑の自然。そして、見舞いにスターリンが登場したシーンは明暗のはっきりした彩りの映像となり、これまたレーニンの現状と対比させていると思われる。
    ただただ繰り返されるボケと身体不自由な症状の描写は、倦んでいる時間が流れているだけの単調さそのものであるが、その切実さ、緊迫感と退屈さのせめぎ合いが、当時の状況を如実に示しているようでもある。レーニンの痛々しいまでのボケ老人ぶりと、どこか噛み合わないスターリンとの会話は、ソビエト連邦権力の行く末を暗示しているとのこと。
    このレーニンのボケ老人ぶりを熱演していたのが、レオニード・モズコヴォイという舞台俳優とのことで、その容姿だけでなく、低下した知性や半身不随の様子を見事なまでに演じていて、まるでその心情まで伝わってくるかのようである。頭と身体が思うにまかせず、もどかしい思いを繰り返すレーニン。国の状況が気になり、また、あくまでも知識を摂取しようとするが、頭がついていかず、服毒により事態を終結させようとも考えるレーニン。そして始終、周囲の好奇に晒されるレーニン。この救いのない状況をたんたんと冷徹に演じ切っていた。
    まだまだ記憶に残る「歴史」の厳しさを、現実のものとして、もはや朽ち果てようとする権力の黄昏を捉えて描くアレクサンドル・ソクーロフの視点は見事なものだ。次は『太陽』をそのうち観てみたい。

  • 【未見】ソクーロフ権力者4部作。レーニン。史実には疑問はあるけど、徹底した時代考証、リアリズムの追求、権力者を人としてとらえ、何が権力者にするのかを描く。その目のつけどころがおもしろい。2013/4,DVD購入。

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