NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2011年 11月号 [雑誌]

  • 日経ナショナルジオグラフィック社
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感想・レビュー・書評

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  • 2011年11月号の目次
    シリーズ 70億人の地球 断絶するアフリカの楽園

    豊かな自然に恵まれたアフリカ中部の地溝帯。民族対立が続くこの地で、人と動物は共存できるのか。

    文=ロバート・ドレイパー  写真=パスカル・メートル、ジョエル・サートレイ

     アフリカ中部のウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国東部に広がる「アルバーティーン地溝帯」。雨量が豊富で、多様な動植物が分布し、肥沃な土壌に恵まれていて、しかも感染症を媒介する昆虫も少ない――。この点だけ見れば、人間にとっても動物にとってもすみやすい「楽園」ともいえる地域だ。

     しかし、この一帯は人口密度と出生率が世界でも特に高く、限られた土地と天然資源をめぐって激しい民族対立が続く紛争地帯でもある。人と野生動物の間にも衝突が絶えない。

     今後、この地域で人口が増えた場合に、人の生活を維持しつつ、自然を守るにはどうすればいいのか。野生動物と人間が共存する道はあるのだろうか?
    編集者から

     「アフリカでは……最長、最大の戦争でさえも、急速に忘却の底に沈んで、まっさらに忘れ去られる」――これは、ポーランドのジャーナリスト、リシャルト・カプシチンスキの著書『黒檀』(工藤幸雄ほか訳、河出書房新社)からの一節です。

     第二次コンゴ内戦では推定で500万人以上が命を落とし、ルワンダとブルンジの1994年の大虐殺では100万人もの犠牲者が出ました。そして今も、コンゴでは土地や資源をめぐって武装勢力が対立し、その影響は罪のない女性たちにまで及んでいます。この特集が、世界から忘れ去られたまま苦しんでいる人々の声なき声に耳を傾けるきっかけになれば幸いです。(編集T.F)

    アイスマンを解凍せよ

    イタリア・アルプスの氷河から見つかった新石器時代のミイラ「アイスマン」。“凍れる男”の謎解きに挑む研究チームは、大胆にもアイスマンを解凍し、解剖による徹底調査に踏みきった。

    文=スティーブン・S・ホール  写真=ロバート・クラーク

     アルプスの氷河で発見された5300年前の男性のミイラ「アイスマン」。氷づけになっていた貴重なミイラは、発見時の状態そのままに冷凍保存されてきたが、2010年11月、なんとその体を解凍することになった。目的は、解剖による体内各部の徹底調査だ。

     アイスマンの「人となり」や「死因」については、発見以来、さまざまな角度から調査が進められている。2001年には新発見の証拠から、実は背後から矢で射られていたことが判明。なんと殺人事件の被害者だったことまでわかってきた。

     そんな中、引退後もこつこつ画像の検討を続けていた研究者から、思わぬ指摘が舞い込んだ。「アイスマンの胃はからっぽだった、という“定説”は、実はまちがっていたのではないか」――これまで見落とされていたところに、重要な手がかりが残されていたのだ。

     アイスマンの「最後の食事」は、果たしてどんなメニューだったのか? 専門家7チームによる徹底解剖でわかったことは? 世界が注目する最新の成果をレポートする。
    編集者から

     2007年7月号「アイスマン その悲運の最期」で紹介したアイスマンの続報です。アイスマンの最期に関する新たな見解を紹介していますが、写真の見どころはなんといっても、アイスマンの等身大の復元模型! 40代半ばから後半という年齢にしてはちょっと老け顔ですが、皮膚がつやつやに光った冷凍ミイラと比べると、はるかに親しみやすくなりました。彼は一体どんな人生を送ったのだろうと、想像をかき立てられます。(編集M.N)

    遊牧の民 サーミ

    はるか極北の地で、ツンドラの大地を季節ごとに移動し、トナカイを追って暮らしてきたサーミの人々。伝統がはぐくんだ文化への愛着は強いが、今では遊牧生活を続ける人は少なくなっている。

    文=ジェシカ・ベンコー  写真=エリカ・ラーセン

     ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの北部にまたがる北の大地で、サーミの人々はトナカイを遊牧して暮らしてきた。

     冬は内陸の山岳地帯に広がる高原で過ごし、短い夏の数カ月間は沿岸部、フィヨルド高地の放牧地へ。トナカイの群れとともにツンドラを季節移動する遊牧の暮らしが、サーミ人独自の文化をはぐくんできた。

     トナカイたちは持ち前の俊足で、主食のハナゴケを求めてツンドラを何百キロも移動する。広大な放牧地でテント暮らしをしながらその群れを追う暮らしは、決して楽なものではない。サーミの伝統と文化への愛着はやみがたいが、一方で、各国の政策や外来の文化による影響もあり、遊牧生活を続ける家族は時とともに減っている。

     今もトナカイの遊牧を続けるサーミの人々を取材し、日々の情景と彼らの思いを伝える。
    編集者から

    「ラップランドのおみやげだよ」。子どものころにもらった人形の記憶が不意によみがえりました。鮮やかなブルーに赤や黄色のふちどりの服は、本誌89ページの写真(ウェブのフォトギャラリーでは、11枚目に掲載されています)とそっくり。あれはサーミの民族衣装だったんですね。

     特集の写真は、本誌「もっと、ナショジオ」にも登場している写真家エリカ・ラーセンが、サーミの人々と生活をともにしながら撮ったものです。資料を探していて1992年発行の『遊牧 トナカイ牧畜民サーメの生活』(筑摩書房)という本に出会い、今から約40年前、同じように彼らのもとに身を寄せたフィールドワーカーがいたことを知りました。著者の鄭仁和は、「金がないなら雇われればいいんや。衣食住つきで教えてくれるで」という梅棹忠夫の示唆を受けて1967年、ほぼ1年間の遊牧生活に身を投じます。一つまちがえば命を落とす極寒の地で、熱いコーヒーをすすって体をあたため、群れを追って駆けずり回る遊牧の日々が臨場感たっぷりに伝わってきました。(編集H.I)

    美しき川の流れ

    太古の自然の姿をとどめた美しい川を、守り伝えたい――ダム建設の脅威から米国の川を守り、原生の自然を残してきたのは、約40年前に成立した保護法と、川を愛する先人たちだった。

    文=ジョエル・K・ボーン Jr.  写真=マイケル・メルフォード

     米国がダム建設ブームにわいた20世紀に、美しい川を守り、後世に残そうと立ち上がった男たちがいた。川を愛する人々の尽力が実を結び、1968年に成立した「原生・景観河川法」。そのおかげで、これまでに約200の河川が保護区域に指定され、ダム建設や開発から守られている。

     アラスカやヨセミテの国立公園を流れる雄大な川、原生の自然のままの荒々しい景観を縫うように流れる川、国有林をうるおす清流、急流下りや釣りにうってつけの川。米国の各地に残る、美しい川のある風景を紹介するともに、法案成立の陰の功労者に話を聞き、その最愛の川を訪ねる。
    編集者から

     2011年9月号の「アディロンダック公園」に引き続き、米国の壮大な自然を見つめた特集です。今回のテーマは「川」。ページをめくるたびにまったく表情の違う川が現れます。一つとして似た風景がなく、米国の川の豊かな景観に驚かされます。広大な面積をもつ国ですから当然ですが、その広さゆえに、すべての川の流域を守って原生の自然を残そうというのは至難の業でしょう。それでも、宝物のような美しい自然が残っている川があります。筆者の言葉を通して、米国の知られざる一面に触れてみてください。(編集M.N)

    地中に眠る騎士の財宝

    英国中部で大量に発掘された中世の宝飾品。イングランド建国の歴史とともに、その謎に迫る。

    文=キャロライン・アレキサンダー  写真=ロバート・クラーク  イラスト=ダニエル・ドチュー

     英国イングランド中部のスタッフォードシャーで、大量の財宝が発掘された。多くは黄金で作られた武具の飾りで、中世王国のものと推定される。だが、一緒に埋められていた宗教にまつわる三つの宝飾品を含め、すべてねじ曲げられ、折られているという、不可思議な状態だった。いったい、誰が、何のために埋めたのか。アングロサクソン人がイングランドを建国するまでの歴史を紐解きながら、謎多き財宝のルーツを探る。
    編集者から

     財宝がゴロゴロ眠る英国では、趣味でトレジャーハンティングをする人が多く、中古の金属探知機を使って億単位のお金を手にする人がいるようです。特集の「スタッフォードシャーの財宝」の発見者は55歳の無職男性でしたが、昨年には、3歳の男の子が3億円以上の価値があるペンダントを発掘したのだとか。それも、父親の金属探知機を借りてわずか5分の出来事です。徳川の埋蔵金探しに大枚をはたくより、英国に行ったほうが早いかも!?(編集 H.O)

    参考資料:『イギリス史 1 世界歴史大系 先史~中世』青山 吉信 他 著 山川出版社

  • 池澤夏樹さんの「屋久島」のエッセイ。
    入りから、引きこまれた。

    こんなにおもしろい文章は今まで読んだことのないくらい。

    わ これはおもしろいぞ と1文で思わせるなんて。


    「断絶するアフリカの楽園」では人間の残酷さ、自分勝手さ、
    争いごとはずっと続いていること、の生々しさをみた。

    旅本以外に世界を知る。

  • サーミの特集。
    むかしロバミエニの民族博物館にいったけど
    英語がサッパリで非常に残念な思いをしたことを思い出した。
    英語の勉強しなきゃな。。。

  • 断絶するアフリカの楽園 アイスマンの解凍 地中に眠る騎士の財宝

  • アイスマンの存在すら知らなかった私にとって新鮮だったし、ロマンある内容。

  • 真っ白な北欧のサーミ人と、
    アフリカのアルバーティーン地溝帯の話おもしろかった。
    それにしても、どっかいきたい。

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