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- / ISBN・EAN: 4523215062084
感想・レビュー・書評
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☆7
2016.4.1 視聴詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現実と幻想が、うまい具合に融合しているのは、さすがヴェンダースといったところ。特に塔から放たれる弓矢など素晴らしい。BGMをセレクトするセンスも光る。そして、ジョアンナ・メッゾジョルノが美しい。
【ストーリー】
フィン(カンピーノ)はアート写真からモード写真まで手がける世界的写真家。彼の写真はデジタル処理を駆使して、“現実”を組み替えることでまったく新しい世界を作り出す。活動拠点のデュッセルドルフでは、常に人に注目される生活。どこへ行くにも携帯電話が手放せず、イヤホンから聴こえる音楽だけが唯一心を落ち着かせる存在だった。
ほとんど眠ることができない彼は、いつも“死”にまつわる短い夢の始まりで目を覚ます。あるとき、車を運転しながら風景を撮影していると、偶然ある男の姿を写真に収めてしまった。それと同時に、車はコントロールを失い、危うく大事故を引き起こしそうになる。
フラフラと車から抜け出し、立ち寄ったパブで彼を待っていたのは、さらに不思議な体験だった。そしてフィンは旅に出る決意を固める。行き先は偶然ライン川で見かけた船に書かれていた地名、パレルモである。
それはデュッセルドルフでの撮影に満足しなかったミラ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)のためでもあった。そして、撮影後もひとりパレルモに残るフィン。そこでは執拗に彼を追い、矢で付け狙うミステリアスな男に悩まされる。
そしてもう1人、この街で魅力的な人物と出会う。街の美術館で巨大な壁画『死の勝利』の修復を行うフラヴィア(ジョアンナ・メッゾジョルノ)だった。彼女はフィンから矢に狙われた話を聞き、彼が自分の抱えてきた疑問を埋める存在であることを理解する。彼女もまた過去の出来事から“死”に取り憑かれた人物だったのだ。フィンの身に危険が迫っていることを心配したフラヴィアは、祖母との思い出の地、ガンジに彼を連れ出す。そこは彼女が唯一安心できて、本当の幸せを思い出させてくれる場所だった。フラヴィアの祖母の家で眠りにつくふたり。だがフィンはそこでついに、その男=“死”(デニス・ホッパー)と対面することになる。
多忙な生活に疲れた写真家が、旅行先のパレルモでの新たな出会いを経て、生きることを見つめ直す。監督は「アメリカ,家族のいる風景」のヴィム・ヴェンダース。出演はミュージシャンとして活躍するカンピーノ、「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」のジョアンナ・メッゾジョルノ、「アメリカの友人」のデニス・ホッパー。 -
shooting
矢を放つこと
写真を撮ること
現代の情報過多な世界、デジタルな社会、消費社会。それらに翻弄され原因不明の疲労に悩まされる、いつのまにかつくられた現実を生きている、小手先で理想の世界をつくってしまう。
前半
主人公は終始イヤホンで音楽を聴き、自分の世界に閉じこもっている。
デジタル写真で思い通りのイメージをつくる
妊婦さんを撮影。生。
後半
自分の足で歩き回る
フィルムカメラでの撮影。最初はシャッターチャンスをしばしば逃す。思い通りにいかない現実に直面。
死の観念にとらわれる
"細部ばかりを注目していると全体像がわからなくなる"
壁画を修復する女性の言葉だが、
冒頭にチラッと映っていたグルスキー作品にも関係しているような。
カラックスのホーリーモーターズをなんとなく思い出した。 -
ハードボイルドな映画なのかと思ったら割りとしっとり系でびっくりしたけど、監督の名前を確認して納得。うつくしい。
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さすがのヴィム・ベンダースと
さすがのデニス・ホッパー
音楽の使い方すごすぎ -
製作年:2008年 製作国:ドイツ=フランス=イタリア 時間:108分
原題:PALERMO SHOOTING
監督:ヴィム・ヴェンダース
(3.0点) -
景色と音楽の使い方と
高い位置から撮ったカンピーノの立ち姿が非常に素敵な作品。
大切なのは
表面では無い…
ってのに
気付くまでの道のりの長さ。 -
フィンがパレルモで出会う女性が修復している死神の絵がよかった。
映画の展開じたいは、もういいや、と思って途中で追うのを放棄した。 -
「人生、本質とは」心の中の現実。色のない風景。ありのままの音。ありのままの色。ありのままのにおい。ありのままの味。装飾。混沌。生と死。真実と虚偽。アナログとデジタル。善人と悪人。白と黒。内側と外側。そして全てを感じ楽しむことが大切だと思った。
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66点。ヴィム・ヴェンダース監督作品。ハイデガーやヘーゲルなどを下敷に批評できそうな観念的物語。
しかしながら「生と死」「デジタルとアナログ」「可視的と不可視的」…などの二項対立はあまりにも安易で退屈。というかすべてが確信犯的な二元論的な構造で描かれてる。女神と死神。デュッセルドルフとパレルモ、撮影者と被写体、とか。
そんな退屈な物語を帳消しにするくらいに息をのむほど素晴らしいのが映像と音楽で、そこは観てよかったなぁと素直に思えた。