ラビット・ホール [DVD]

監督 : ジョン・キャメロン・ミッチェル 
出演 : ニコール・キッドマン  アーロン・エッカート  ダイアン・ウィースト  タミー・ブランチャード  マイルズ・テラー 
  • 角川書店 (2012年4月5日発売)
3.57
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111241627

感想・レビュー・書評

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  • RABBIT HOLE
    2010年 アメリカ
    監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
    出演:二コール・キッドマン/アーロン・エッカート

    ヘドヴィク~ぶりのジョン・キャメロン・ミッチェル作品ですが、芸風はガラリと変わって、抑え目のヒューマンドラマでした。4歳の息子を交通事故で亡くした夫婦の絶望と再生の物語ですが、心理描写が丁寧で、ドカーンと爆発するような感動はないものの、地味にじんわりと共感したり救われたりする感じ。

    同じように子供をなくしても、夫と妻で悲しみの表現の仕方も、そこからの前進の仕方も違い、どちらがより悲しいかという差異ではなくて、ただ単純に、わかりあえない、そのジレンマ。妻のほうが唯一理解しあえたのが、息子を死なせた加害者の青年だけだったという皮肉。

    まあこの加害者が全く反省していなければ、ありがちなハリウッド的復讐譚になってもおかしくないとこですが、オタクっぽいこの青年の描いたコミック「ラビット・ホール」が、ヒロインを救済するところに、地味ながら説得力があって良かったです。二コール・キッドマンも好演でした。
    (2012.04.06)

  • ニコール・キッドマン演じるベッカと、アーロン・エッカート演じる夫のハウイーは息子を交通事故で失う。その喪失感のあまり時が止まり、のた打ち回りながらもありふれた日常を再び生き始めるまでを描く。

    特に前半から佳境に入るあたりまで、ベッカは息子を失った現実を受け入れられず、他者の何気ない言葉や態度に過剰反応してはこれでもかというほど周りに毒づきまくる。

    そんな中、息子を轢いてしまった加害者とベッカが交流を持つようになる。加害者の少年のはにかみ、所在無げな感じの演技がこれまたすばらしいのだ。

    「自らの不注意から死なせてしまった」という罪悪感で加害者少年とベッカはつながり、少年が「パラレルな世界に父親が迷い込む。その世界で確実に生きている父親をうさぎの穴を辿って少年が探しに行く」という漫画を描いていることをベッカに打ち明けるまでに。この漫画がのちに、ベッカが地に足をつけて生きるための重要なツールになっている。

    それによる変化の一つが、加害者少年がプロムパーティーへ向かう様子をベッカがみかけ、涙がとまらなくなる場面。これまで喪失感にとらわれているのにそんな自分をなんとか押しやろうと無理をしていたベッカが、ここで泣きつくし悲しみぬく自分と一致をみせる。そんなベッカをさらにみかけた少年が、戻ってベッカを気遣うところも心憎い。

    ここでガラリと元気になりましたというわけではないのだろうけれど、今をいきられるようになるためには重要な作業なのだろうと観終わったあとも強い余韻が残る場面だった。

  • 愛するものを失った時の喪失感を埋める方法は人によって違う。思い出させる物全てを捨てて、悲しみからひたすら逃げる人、写真やビデオを毎日見て思い出に浸ることで心の穴を埋めようとする人。前者と後者が共に暮らす場合、互いを理解することは難しく、そこに癒やしは生まれにくい。
    また、その友人としての対応も人によって違う。寂しさを紛らしてやろうと出来るだけそばに居てやろうとする人、痛みを自分の事のように感じるあまり触れるのをためらう人。

    ニコール・キッドマン演じるベッカは幼い息子を交通事故で失い、息子を思いださせるものを全て視界から消そうとする。私も同じタイプなので大いに共感できた。
    タイプの違う夫婦が互いを傷つけ合いながらもどこに着地点を見出すのか興味があった。
    実際の生活で何かを大きく変えてくれるイベントがそうそう起こらないように、映画でも変化はとても静か。“普通の生活”こそが大事。
    悲しみが消えることはないけれど、その重さは時間とともに変わっていく。同じ主題を持つ映画に共通するテーマだと思う。

  • ( ・_・) 幼い一人息子を交通事故で亡くした夫婦が、絶望の果てから微かな希望を見いだすまでを描いたヒューマンドラマ。フィクションかと思うがわざとらしくも奇跡もない、ありそうなストーリーだ。静かに淡々と進むが、Nicole Kidmanの主人公に乗り移ったような堂に入った演技で魅せる。
    パラレルワールドが存在して、今の私は悲劇バージョン、別の世界の私は充実した普通の生活をおくっている…、と思うことで、悲しみを乗り越えようとする。
    地味ながら訴えるものが伝わってくる良作。

  • 後半のベッカと母親の会話がよかった。
    大切なものを亡くした悲しみは消えない。
    重圧のようにかかっていた悲しみは、ポケットの中の小石になる。
    でもふとポケットに手を入れた時に、それに気づくんだ。
    うん、とてもよくわかるよ。

  • 4歳の子供を8カ月前に亡くしたばかりの夫婦の話し。
    やり場のない怒りや喪失感が辛い。
    お互いに大事なものを喪い余裕もなく、また思い出から逃げたい妻と浸りたい夫で悲しみや癒し方が違って支え合う事も難しい。
    上手く行かずに離婚する夫婦もいる中、どう折り合っていくのかとドキドキした。

    よく映画では「~の会」でお互い気持を出し合うのを見るけど、同じ境遇の人と慰め合えるのはプラスだろうけど、向かない人も当然いてやっぱりしんどいよなぁと思う。
    中でも「神様が連れて行ったんだ」「神様なら簡単に作れるじゃない!」という反論もごもっともだよねって思ってしまう。
    勿論そこに縋りたい遺族の気持ちも分かるけど。

    スーパーで飴をねだる子供をたしなめる親に噛みついた妻が、思わずビンタしてしまうシーンも強烈。
    その後、妹がフォローするも「許せるわけないじゃない!」とビンタされた母親が言うのも個人的には印象的だった。
    どんな境遇であれ怒りはその人のものだしな…。

  • 月イチゴローで1位になった作品で以前から気になってた。息子を事故で亡くした夫婦の物語。いつまでも息子が生きた証に執着し続ける夫、亡くなった息子への愛は変わらないものの気持ちを切り替えようとする妻。その二人のそれぞれの心情が心に痛む。やがて事故を起こした少年と再会して交流していき二人にも変化が…。いつまでも悲しい過去にとらわれるのではなく新たにスタートしていくことを教えられた。

  • ポケットの中の石ころ

  • 価値観が違うと、こういう場合は特にスレ違い関係性に歪みが生じるんだなぁと。
    前に進む為に、息子の思い出が残る物をどんどんなくしていく妻と、息子の思い出の物に囲まれつつ前に進んで行きたい夫。
    私の価値観的には夫の方が、本当の意味で前に進めて行ける気がする。
    全て受け入れてから、やっと前に進めるんじゃないかな。
    スーパーでの出来事もそうだけど、妻の方は割と自分の考えを押し付けるというか、我を通しすぎに見えた。
    夫の方が感情移入出来たかな。
    ただ、妻の「神様マニアは苦手」や「同列に考えなきればいいの」は凄く共感した。

    また母親の一言も良いよね。

  • 自分の息子を車で轢いてしまった加害者と触れ合うという設定にドキっとさせられ借りたDVDだったが、思った以上に淡々としていて、普通だった。

    印象的だったのは遺族の会の捉え方。自殺した親族の痛みを分かち合う会の存在意義について、昔エッセイを書いたが、安易な論理展開だった。確かに悲しみを分かち合うことは大切だけれども、悲しみから逃れられない人たちと一緒にいることは長期的に見れば前に進んでるとは考えにくい。立ち直った人たちはその会にはいないのだから。

    BBQをcooking outというのは初めて知った。手軽にホームパーティーできるのが羨ましい。

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