いま、拠って立つべき“日本の精神” 武士道 (PHP文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • すこし前に本書がはやったが、その際には国粋主義的な雰囲気を感じて敬遠していた。
    はやりから大分日が経って改めて読んでみたが大変な良著であることに驚いた。(というより、私自身の知見が足りていなかっただけだが。)
    てっきり主観的随筆的文章だと思い込んでいたが、堂々たる哲学書といえるのではないか。東西を超えた著者の広範な知識に裏打ちされた、明治維新前後の日本人の思想的背景を論じた書。単なる随筆ではないところは、論理的に堅牢な構成で記されているところ。これは日本人以外の人々を読者として英語で記されていることにもよるのだろう。
    確かに、日本人の思想的背景を理解する上では、誰もが一度は読んだ方が良い書物だと感じた。
    最近、日本の倫理的よりどころをどこに求めるかということをしばしば考えることがあるが、それに対する一つの解釈が本書には示されていると思う。特段のよりどころが示されない現在の道徳教育では説得力がない点に対して、明治~大正期のキリスト者的解釈がどうであったかということを理解することができるのではないだろうか。
    一方で、無批判的に本書を称賛するのは、理解として浅薄であるように思う。

  • 「武士道」(新渡戸稲造 : 岬龍一郎 訳)を読んだ。
    今更だけどまあ読んでおこうかなと。
    『武士道は、日本の象徴である桜花とおなじように、日本の国土に咲く固有の華である。』(本文より)
    が、日本からサムライが消えてどれほどになるのだろう。
    私達は何かを見直す時が来たのかもしれない。

  • これで3回目の読破だが、新渡戸稲造氏の卓越した理解と表現力に毎度脱帽する。英語で出版した事も、当時欧米人の日本に対する偏見と無知に危機感を覚えての事ではなかろうか?そして、武士道の精神は現代の日本人の根底に今も無意識のうちに脈々と流れてる事を信じたい。

  •  これまで、自分は日本人としての道徳観、正義感をどうやって学び、会得してきたのか?と疑問に思ったことがある。学校教育は道徳の授業があるのみで、その他の教育は受けていないから。もちろん、親や環境から学んでいることはあると思う。日本の社会にある、道徳観、正義感は外国のそれとは違う印象も持っていた。この本を読んで、その根本にある1つの要因が武士道にある事に気づいた。
     著者の新渡戸稲造も、ド・ラヴレーに日本に宗教教育がないことを驚かれ、「あなたがたはどのようにして道徳教育を授けるのか?」と聞かれたという。稲造は武士道にその答えがあるのでは?と考えた。
     武士道についてはっきりと記した法や条文の様なものはなく、精神として代々伝えられていったものである。武士道は武士が支配階級となっていくとき、行動様式に共通の規範が必要となったため、自然と生まれてきたものだった。日本では、宗教と同列な武士道が民衆の道徳律の模範となっていった。このため、今日も「大和魂」という名前で日本の民族精神として残っている。
     武士道とはその人の品格を重要とした精神である。武士道で重んじるものは行動であり、知識はその手段である。その中で自分が印象に残っているものは名誉、礼、勇という精神だった。
     名誉は重要な徳の一つだった。人の名声は「人として最も大切なもの、これがなければ野獣に等しい」という屈辱を恥とする感受性を育てた。この恥という感覚は「笑われるぞ。名を汚すなよ。恥ずかしくないのか」といった言葉で、過ちを犯した少年に教育される精神であった。(耳が痛い・・・)
     礼は他を思いやる心が外へ表れたものでなければならない。礼は「寛容にして慈悲深く、人を憎まず、自慢せず、高ぶらず、相手を不愉快にさせないばかりか、自己の利益を求めず、憤らず、恨みを抱かない」という精神だった。(自分に足りないものだと感じる・・・)
     勇気とは「正しいことを為すこと」。また、「戦場に飛び込み、討ち死にするのはたやすいこと。身分の賤しき者でもできる。生きるべき時は生き、死ぬべき時のみ死ぬことこそ、真の勇気である」という精神である。(自分もそうありたいです!)
     武士道を読み、理解できない精神は無く、漠然と抱いていた観念を言語化できてよかったと思う。自分の中にあった道徳観や正義感は、武士道が根差している事に気づけた。最近、ネット上でいろいろなことが発信される世の中で、これら武士道精神は一番必要なものに思える。子供はもちろん大人でさえこういった精神を失いつつあるように感じる。自分も初心に返り、「恥を知ること、礼を重んじること、勇気を持ち死ぬべき時のみ死ぬこと」を実践していきたいと思う。

  • 美学

    義は自分の身の処し方を道理に従ってためらわずに決断する力である。死すべきときには死に、討つべきときには討つことである」

    仁がなければ人ではない

    仁は、優しく柔和で母のような徳である。高潔な義と厳しい正義が男性的であるとするなら、仁における慈悲は女性的な優しさと説得力を持つ。

    本物の武士は「誠」を命より重く見ていたので、誓いを立てるだけでも名誉を傷つけるものと考えていた。

    生命の犠牲を払っても惜しくないとする事態とは何か。それが忠義というものである。

    武士道は、一方において不平不満をいわない忍耐と不屈の精神を養い、他方においては他者の楽しみや平穏を損なわないために、自分の苦しみや悲しみを外面に表さないという、礼を重んじた。

  • 「武士道」の考え方を体系化した本。
    武士道はその考え方においてのマニュアルは今までなく、新渡戸稲造が初めて体系化して出版した。もともと英語版で出版され、それが日本語訳された。

    義(正義の心)勇(正しいことを成し遂げる力) 仁(思いやりの心) 礼(礼儀、礼節を形にすること) 誠(誠実であること、内容が伴っていること。) 名誉(義の実践による評価) 忠義(忠誠のこころ)を実践することこそが武士道の精神の中核をなしている。

    それぞれの項目について他国の文化と比較しながら
    具体的に論じられている。

    時代劇などで出てくる「サムライ」をイメージしながら、
    このような精神のもと暮らしていたのだと新鮮だった。

    特に「義」の精神こそ武士道、我々日本人が忘れてはいけない精神だと思うので、大切にしたい。

  • だめだ…
    教養が足らなすぎて、読んでいても頭に入ってこない!(´-`).。oO
    もともとアングロサクソン系に向けて書かれている様なので当たり前だけど、西洋古典からの引用と表現が多くて、半分くらい読んでギブアップ…
    これすんなり読める人すごいよう。

  • 外国からも賞賛されたという新渡戸稲造の武士道。なるほど、「外国の○○という素晴らしい文化(考え方・歴史・偉人)と武士道のここが通ずる」と海外の文化と結びつけて武士道が語られるから共感を得られやすくし、さらに(外国人にとって)自国の文化を褒められるという自尊心までくすぐってくれる使用なのが外国に受け入れらたんだな、と納得。

  •  

  • 3.8とても良い本を読んだ。新渡戸氏の幅広い見識から、武士道という捉え所のない精神を比較対照論的に浮き彫りにする。想像以上の平易な文章でとても読みやすい。

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著者プロフィール

1862年南部藩士の子として生まれる。札幌農学校(現在の北海道大学)に学び、その後、アメリカ、ドイツで農政学等を研究。1899年、アメリカで静養中に本書を執筆。帰国後、第一高等学校校長などを歴任。1920年から26年まで国際連盟事務局次長を務め、国際平和に尽力した。辞任後は貴族院議員などを務め、33年逝去。

「2017年 『1分間武士道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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