孤島の鬼 [Kindle]

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 36
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感想・レビュー・書評

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  • 初の江戸川乱歩作品を読みました。

    作風がとても独特ですぐにその世界観に引き込まれました。
    時代は大正時代で当初の特色も上手く抑えられており、勉強にもなります。

    内容としては、生まれながらの畸形や同性愛等、本来ならば触れるべきではない所が一切のカモフラージュもなく表現されていて、それが本書のリアルな息遣いを感じました。

    道徳観、悪徳、悲壮感、偏愛などをテーマに繰り広げられるあまりに濃い内容に感服させられました。

  • なかなかスリリングで面白い。特に後半の島に渡ってから。前半は主人公の独白という感じで少しダラダラする。場面展開では「この話はここまででひとつお預かりとさせていただき」というフレーズが出てくるが、横溝正史氏の初期のジュナイブルでも好んで使われている。この時代の流行りの口上だったのだろうか。まるで講談話のようだ。

  • 江戸川乱歩の熱を感じた。

    ミステリーの王道である密室殺人と衆人環視の中での殺人だけでなく、恋愛要素や冒険譚でもあり、物語としての面白さを全て詰め込んである。

    この話のキーのひとつに、障害がある。当時の世風については分からないが、今より差別が露骨で当たり前だった時代だったと思う。障害者について良い意味でフラットに扱われているこの作品は、きっとその当時だから書けたのだろう。今では差別問題は複雑化しすぎて、逆に無神経であると感じるので、助長している人たちには一度読んで欲しい。

    恋愛パートでは箕浦が自分の気持ちに素直すぎるのが気になり、思わず諸戸に感情移入してしまう。
    箕浦に想いを寄せる諸戸に対して、思わせぶりなくせにいざとなると全力で拒否し、諸戸が死んだというのに「これだけが残念である」と非常にアッサリとしていて、あまりにもかわいそう。諸戸の父から来た死亡通知状の最後の一文には涙が出た。
    今まで父と思っていた人が殺人鬼で心を痛めていた諸戸の、ようやく本当の両親に会えた諸戸の、家族への思い入れは人一倍だっただろうに、それなのに死ぬ間際に考えていたのは箕浦のことだけだったというのに、箕浦ときたらあんまりではないか。

    ということで星4。江戸川乱歩大好きです。

  • 乱歩、久しぶりで読んだけど、これは・・・。もう2度とこういう作品は生まれないナ。(;'∀')

  • 初めての江戸川乱歩。長いなぁと思っていたのですが、割とサクサク読めてびっくりしました。腐女子なので、諸戸と蓑浦の関係も気になり、サクサク読めたのかもしれません。
    水が苦手なので、地下のシーンでは息切れしながら読んでいたくらい鮮明な文章で、やはり名作と言われているだけあるなと思いました。

  • たまに読みたくなる狂気の世界。自己愛の世界が好きなのか、ホモゲイの世界が好きなのかわからないが、ある種の美意識に共感してしまう。

  • prime readingで読みました
    久しぶりにイッキ読みする小説に出会いました
    この時代でなければ、江戸川乱歩でなければ、この作品は生まれなかったなぁ

  • 初めて江戸川乱歩の本を読んだ。ミステリーというよりホラーだった。電子書籍のせいかもだが、読みやすい本だった。

  • 4.7くらい。
    めちゃくちゃ面白い。一度読み始めてしまったら、あまりの面白さに途中でやめられないくらい。だけど、内容があまりにもマニアックなので、あえて4.7くらいで。
    本当に無茶苦茶。その無茶苦茶さを好きな人はどんどん引き込まれてしまう。
    今まで割と正統派の江戸川乱歩しか読んでいなかったのか、この内容の頭のおかしさに度肝を抜かれて、最後は感動さえ覚えるっていうすごさ。
    かたわとか見世物小屋とかきちがいとか、何でもありな感じ。後半の島に行ってからの盛り上がりは、神がかってる。
    ミステリー、推理ものというよりも、怪奇もの?こういう江戸川乱歩に出会えた幸せ。もうすっかり虜になってしまった。明智探偵が出て来るお話よりも、こういう小説をもっと読みたい!

  • 江戸川乱歩は子供の頃に短縮版(だと思う)を読んだきりだった。Kindle Unlimitedで読めるものが増えたので借りてみた。

    おどろおどろしい。

著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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