木下惠介生誕100年「香華〈前篇/後篇〉」 [DVD]

監督 : 木下惠介 
出演 : 岡田茉莉子  加藤剛  三木のり平  乙羽信子 
  • 松竹 (2012年9月25日発売)
3.90
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105064799

感想・レビュー・書評

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  • 母でありながらクソ女の乙羽信子が劇中ずっと憎たらしくてしかたなかった。そのクソっぷりに呆れ堪えかねた娘・岡田茉莉子がいつか殺してしまうのでは、みたいな予想も期待もしつつ観ていたら、意外にも終盤、突然あっさりと事故死。
    「バイクに跳ねられまして、即死だったそうです」という台詞が出た瞬間ニヤリ、拳を天に突き上げた。よっしゃバイクよくやった!グッジョブ!それで当然とまで思った。ある意味そこが最もカタルシスな瞬間だった。

    あと、後篇のキャストに「田村正和」の名前があり、若かりしそのひとの姿は観たことがなかったので注意しながら観ていたら、戦争犯罪人として裁かれ死刑囚となった加藤剛に面会しに来る家族の中にいた。子供だった。背格好こそ少年ではあるものの、目鼻立ち、口の感じ、たったワンシーンのひと言程度の台詞だけど、もっさりした独特のトーンも、面影があるどころじゃあないくらいに、完全に田村正和だった。異様な存在感があり笑った。本来おっさんの田村正和が子供の扮装をしているようにも見えた。

  • 木下惠介監督•脚本、有吉佐和子原作、1964年作。岡田茉莉子、乙羽信子、田中絹代、杉村春子、加藤剛、岡田英次、北村和夫、菅原文太、三木のり平、田村正和、松川勉ほか出演。

    <コメント>
    •物語の根幹は、母に運命を規定されながら、母や周囲を愛して生きる娘の物語。ラストにいう「和歌の浦の波」が母親の暗喩(寄せるだけで返さない波)。
    •郁代の自由奔放さ、1964年当時は、進歩的で斬新な生き方だったのかも。だからこそこうして、映画の役どころとして取り上げられたのだろう。
    •しかし、現代にてらせば、非常識で自分勝手なサイコパスではないか。この手の女、どこにでもいそうなだけに、進歩性も斬新さも感じさせないからだ。
    •その意味でこの映画のもつメッセージは、歴史的なものになってしまっているように思う。

    <あらすじ(ネタバレ)>
    明治37年、夫(田沢家)を日露戦争で亡くした郁代(乙羽)は、母の須永つな(田中)のもとに娘の朋子を残して敬助(北村)と再婚するも、金に困って朋子を静岡の遊廓叶楼に芸者の卵として売り飛ばす。
    朋子が13の時、敬助に捨てられた郁代が同じ遊郭に年をごまかして入所するがバレ、お茶挽きの下働きをさせられる。朋子は、お母さんと呼ぶことを禁じられるなか、母にあますなどを差し入れるが、口に合わないと文句を言われる。
    17になった朋子(岡田)は東京赤坂に移り、小牡丹として一本立ちするなか、陸軍大学校の江崎(加藤)と知り合い恋仲になり、芸者をやめて結婚することを約束する。朋子は神波伯爵(宇佐美)にスポンサーになってもらい、芸者置屋の花津川をはじめ独立。
    関東大震災で花津川は倒壊するが、25歳で築地に旅館、波奈家を始め、繁盛。しかし、①郁代が8つ年下で和歌山の家の下男八郎(三木)を築地に呼んで住まわせ、②神波の死を新聞で知り、③江崎が郁代の女郎あがりを理由に朋子を捨て、④郁代は八郎と結婚することを決めたことなどから、激しく落ち込む。
    空襲で店が焼けて終戦。朋子は花の家を再建して3年後、江崎大佐が戦犯として絞首刑になる記事を見つけ、巣鴨プリズンに半年通い、江崎の家族(奈良岡朋子、田村正和、松川勉)と一緒にようやく一目会うことができる。
    憔悴しきった朋子(52歳)は病気にかかり入院、手術後、見舞いにきていた八郎に、母郁代が見舞いにすら来ないことをなじるが、実はすぐに病院に来ようとした途中でダンプに轢かれて即死していたことを知る。
    退院して花の家に戻ると、夫と別れた妹が、その子、常治とともにきていた。朋子は常治に我が子の面影を感じる。
    63歳の朋子は、昭和39年、郁代の遺言に従って、和歌山の田沢家にお骨を納めに行くも、田沢家から冷たくあしらわれる。朋子はどこかのおばさんと酒を酌み交わしながら、「お腹を痛めた子供」の愛しさを語り合い(朋子は常治を想定して居るが自分の子ではない)一抹の寂しさを感じる。おばさんは、窓から見える和歌の浦の波を指しながら、寄せるだけで返さない波なのだと紹介すると、朋子はそれを感慨深げに繰り返し口にして幕。

    木下惠介監督•脚本、有吉佐和子原作、1964年作。岡田茉莉子、乙羽信子、田中絹代、杉村春子、加藤剛、岡田英次、北村和夫、菅原文太、三木のり平、田村正和、松川勉

  • 自由奔放な母親/音羽信子が、なぜか 可愛くみえる。
    その分 娘 朋子/は、母親の負の部分を負うことになる。
    青年 江崎/加藤剛に 朋子は惹かれていく。
    芸者をやめて 神波伯爵に、水揚げをしてもらう。
    その時の 朋子は 実に美しい。
    岡田茉莉子ってきれいだったね。
    お妾になったのも、江崎のためなのだ。
    そして 料亭を開き 事業として成り立たせる。
    神波伯爵が なくなったので、これでと言う時に
    江崎は、興信所を両親が使い、
    朋子の母親が 女郎屋にいたことから、結婚はご破算になった。
    というより、江崎は もう結婚していたのだった。

    関東大震災、戦争、敗戦の焼け跡、
    いつの間にか朋子は 歳をとるが、
    母親は 3度目の結婚を下男/三木のり平とすると言う。
    かわいらしく、奔放さをもつ母親は、
    死んだら 朋子の父親の 墓に 一緒に埋めてくれと言う。
    母親は、娘の幸せも食いつぶしてしまう。
    母と娘の2代にわたる物語。
    そんな時代を 刻銘に 記録するのもいいな。

  • とにかく二世代の生涯が描かれているので・・・長い。
    福田恆存作「わが母とはたれぞ」という劇作品が、まったくこの映画を剽窃していると思う。
    シェークスピア翻訳家も地に落ちたものだ・・・と、なんだか別のことを考えながらの鑑賞だった。
    木下恵介らしさは充分。

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