本質を見抜く「考え方」 [Kindle]

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  • サンマーク出版
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感想・レビュー・書評

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  • まず中西輝政さんは国際政治学の教授であることを頭の中にいれておく必要がある。これは地政学の本であり、本質を見抜く「考え方」というタイトルだが、実は日本人とイギリス人、アメリカ人、中国人の考え方の違いを外交目線で教えてくれる良書である。地政学の本であるゆえ、仕方ないことではあるが日本讃歌は少なからずあるが、目をつむれるレベルであるし、むしろ日本の未来を憂いているだろう。
    まず、歴史から学べ、というのがとてもいい。日本の歴史、アメリカの歴史、イギリスの歴史、ロシアの歴史、中国の歴史を学ばないといけない。特に日本の歴史である。司馬遼太郎の本を読んで、日本の歴史を知った気でいるのは危険である。私も好きなビジネス書に「坂の上の雲」をいうやつは危険人物と考える。もちろん大好きな本だがビジネス書ではまったくない。エンタメ本である。そう司馬遼太郎の歴史小説はエンタメ本である。吉川英治も同様。吉川英治なんて勧善懲悪がすぎるので本当の歴史なわけがない。
    ちゃんと縄文時代から現代までの歴史を学びたいのだが、GHQの時に日本の古書は焚書されたので、どこまでちゃんと学べるかは分からない。
    その日本の歴史によると、日本人は古代よりソフトウェアがものすごく苦手で、ハードや組織に嵌めたがる傾向が強く、第二次世界大戦での敗北もソフトウェアがダメすぎて敗北したとある。今もって日本人はソフトウェアが苦手である。
    買い物の時に70円の買い物で100円出したらお釣りが30円というのは、引き算。これは算数である。欧米の人間は70円に30円を足して100円にし、等価交換させる。これは算数じゃなく論理である。この論理がソフトウェア思考らしい。
    なるほど、ゴールから現在地の距離を測るのが日本人で、思考のフレームワークを書き換えて考えるのが欧米人。ITの世界で大正解なのは後者であり、前者は愚者がやることである。(なぜなら、最短距離の思考は負の遺産になりやすいから)
    日本人のソフトウェアが苦手な理由を理解できたのは大きい。
    あとはなんでも3つにするとバランスが安定する。という考えも共感できた。「動あれば反動あり」「慣性の法則」「鹿威し」のセオリーと、思考の順序 感情→理性→道徳の3手順。今の日本人は理性も道徳もなく感情でのみ動く人間が増えているらしい。これも納得。あとは「異端であれ」。みんなと同じ考えをもっていても意味がない。違う考えの視線を入れることで価値が生まれる。これは世界中が陥っている「正解のコモディティ化」に対するカウンターだと思うので、理解できる。

    間違いなく良書であり、古代から続く日本の歴史を学び直したいと思った。

  • Kindle unlimitedで購入。

    抽象論ではなく、具体的な作業論まできちんと書かれているところが面白い。
    思考について深い考察が得られる。頭の使い方をしっかりと言語化したいと思ったら、一読をお勧めしたい。

  • 動あれば反動あり、慣性の法則などは面白かったが、特に新たな発見はなかった

  • Wedgeに載っていたこの人のコラムをいつも読んていたのが懐かしい。とてもバランスの良いコメントを書く人で、今回この本を読んでその思いを再確認した。
    ■自分の頭で考える
    ■自分なりの「仮説」を立てる→とにかく一度「結論」を
     出す
    ■「択一」より「共存」を意識する
    ■「自分に都合のイイ論理」を調達しない
    ■痩せ我慢の説「利あらばそちらに転び、権力の強い者に
     媚びる輩」
    ■ふと浮かんだ疑問を封じ込めない
    ■「先に結論ありき」の議論に注意
    ■早く見つけ、遅く行動する

  • 一般のビジネスマン向けというより、政治家や外交官、総合商社の海外駐在員向け。もちろん書かれている内容は素晴らしいが2ランクくらい上の人達への心構え的なもの。

  • 本質を見抜くためにどのように考えればよいかのガイダンスを与えてくれる良書

  • 本質を見抜く。

  • 著名な政治学者による、平易な言葉で示された「考え方」のヒント。筆者が留学していたイギリス的なものの考え方を多く紹介する。
    私にとって新しい考え方は三割程度で、残りはあまり目新しさがなかった

    ==以下気になったところを抜粋==
    考え方21
    迷っている状態は、将来への投資
    ・相反するものを持ったとき、片方を切り捨てず我慢する
    ・相反するものを時間をかけて統合しようとすると、より大きいものを探求する思考が生まれる

    考え方26
    正しいことと効率のいいことは相反する
    ・世の中を統治する、経営することは、正しいことと相反する
    ・効率のよさと、倫理的な正しさを混同しないようにすべき

    考え方27
    相反する「効率」と「精神」を同時に自分のなかに持ち続ける
    ・インド人の出家したビジネスマンや、中国の昔の儒教官僚など
    ・日々の思考に幅が生まれる

    考え方46
    ものごとの本質を見極めるには、一見バラバラに見える事実を根気よく集積することが必要

    考え方49
    情報収集を先入観を持たず行う人格と、集まった情報から大局的な意味を見いだす人格を分けることが有効

  • ●感想
    考え方が様々な切り口で書かれている。
    相反する考えをどう使い分けるか、折り合いをつけるかの学びが多い。
    各項目を定期的に読み返したい。

    ●なぜ読んだか
    ・考え方の切り口を学びたい

    ●学んだこと
    ・何をどう考えたかも言語化し、振り返ることが大事である
    ・自分の好きだったものに考えのルーツがある
    ・考え方の妥当性は、歴史を振り返って確認する

    ●今後やること
    ・結果だけでなく、どう考えたのかもメモする
    ・メモの魔力の自己分析をやりきる
    ・歴史を学ぶタスクを追加する

  • 日本が特別な国というのはちょっとどうかと思っている。
    本当にそうなのか。
    どの国の人間も自分の国が特別だと思いたいだけのような気がする。

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著者プロフィール

1947年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。京都大学助手、三重大学助教授、スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授、京都大学教授を歴任。石橋湛山賞(1990年)、毎日出版文化賞・山本七平賞(1997年)、正論大賞(2002年)、文藝春秋読者賞(1999年、2005年)受賞。専門は国際政治学、国際関係史、文明史。主な著書に『帝国としての中国――覇権の論理と現実』(東洋経済新報社)、『アメリカ外交の魂』(文藝春秋)、『大英帝国衰亡史』(PHP文庫)、『なぜ国家は衰亡するのか』(PHP新書)、『国民の文明史』(扶桑社)。


<第2巻執筆者>
小山俊樹(帝京大学教授)
森田吉彦(大阪観光大学教授)
川島真(東京大学教授)
石 平(評論家)
平野聡(東京大学教授)
木村幹(神戸大学教授)
坂元一哉(大阪大学名誉教授)
佐々木正明(大和大学教授)

「2023年 『シリーズ日本人のための文明学2 外交と歴史から見る中国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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