アーティスト コレクターズ・エディション [DVD]

監督 : ミシェル・アザナヴィシウス 
出演 : ジャン・デュジャルダン  ベレニス・ベジョ  ジョン・グッドマン  ジェームズ・クロムウェル  ペネロープ・アン・ミラー  ミッシー・パイル 
  • ポニーキャニオン
3.82
  • (95)
  • (160)
  • (130)
  • (12)
  • (4)
本棚登録 : 774
感想 : 173
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013182561

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なかなかに粋でニクい映画。全体の展開としてはものすごくシンプルなメロドラマですが、無声映画からトーキー映画への移行という時代の転換期を象徴的に使い、栄光と凋落の対比を、細かな演出を用いながら、とても巧みに描いています。

    1927年のアメリカ。無声映画の大スターであるジョージは、新作の舞台挨拶からの帰り、駆け出し女優のペピーと出会う。
    その後、偶然の再会と共演を果たす二人。
    ジョージのささやかなアドバイスもきっかけにして、端役からスターへと駆け上がるペピー。
    対して、無声映画からトーキー映画への時代の波に乗れなかったジョージはというと、凋落の一途を辿っていく。

    大スターと数いる駆け出し女優として、かつてささやかにすれ違っただけと思われた二人の人生。
    今をときめく大女優と、落ちぶれた「過去の人」へと完全に立場が入れ違った数年後、ジョージが人生のドン底の中である事件が起こったことから、ペピーがずっと秘めていたジョージへの想いが溢れ出すと共に、二人の人生は交錯して…。

    セリフが入らない無声映画スタイルで、それでも十分理解できるようにシンプルかつ軽妙に進行する展開と演出をベースにしながらも、いかにも現代的に効果的かつ巧妙に音楽や物音が盛り込まれており、レトロとモダンのバランスが絶妙な、趣き溢れる作品に仕上がっています。

    時代の潮流であるトーキーを示す「声」という表現が、声のない映像の合間合間にわずかに挟まれる字幕の中で象徴的に使われているのもいい。
    対比するように、物語の最後の最後には、声が溢れているのもまた素敵。

    難しいこと言いっこなしに、シンプルな展開と、レトロとモダンが融合した巧みな演出を楽しめる、実に粋な作品です。
    これまで見たことがない無声映画を観てみたい気にもなりました。

  • アッパレというしかない映画。
    サイレント映画を 現在という時代に再現。
    その手腕の確かさに、驚くばかり。
    こんな切り口もありなのだ。

    アザナヴィシウスの演出の巧みさと
    ジャンデュジャルダンの多様な表情。
    男の俳優で これだけ表情豊かに演ずることが
    できることが スゴイ。
    笑顔が オトコらしく 豪快でもある。
    その笑い声が 聞こえるようだ。
    プロデューサーの男優も優れていた。
    顔全体で表現する。

    ベレニスベジョにホクロをつけるだけで
    ホントに変化する。
    女優は、化け物だ。
    ただし、ちょっとオーバー表現が気になった。
    ペピー・ミラー という名前が 字のバランスがいい。

    サイレントの時代が終わったと言われて、
    ジャンデュジャルダンが 階段を下りて
    ベレニスベジョが 階段を上がって行くシーンが
    実に象徴的なシーンだ。
    計算された シーンが 巧みに使われている。

    オトコの浮き沈みを きちんと支えようとする
    涙ぐましい 愛情あふれる気持ち。

    最後の二人のダンスが 実にステキだ。
    二人が ダンスを踊るまでの 
    声を使用しない。声が出なくなる。声が聞こえなくなる。
    という 見ざる言わざる聞かざるが 象徴的。

    最小限のセリフ。
    あとは、想像しながら 物語を見る。
    耳への情報は 音楽だけ。
    それでも、何を話しているのかが 想像できる。
    確かに、ニンゲンの脳は 偉大だ。
    それを うまく引きづりだした。


  • <ストーリー>
     1929年のハリウッド。サイレント映画の人気俳優ジョージは舞台挨拶が終わり映画館を出たところで記者とファンに取り囲まれてしまう。大混乱の中、自分にぶつかってきた女性に優しく微笑みかけるジョージ。ジョージの優しさに感激した女性は記者たちの前で頬にキスをした。
     次の日の新聞でそのことが一面をにぎわせるなか、映画会社キノグラフではジョージが新たな作品の撮影に入っていた。そこに昨日の女性がエキストラとしてやって来る。彼女はぺピーと言い、撮影終了後ジョージの楽屋を訪ねた。そこでジョージは彼女に「女優を目指すなら特徴が必要だ」と言って、アイライナーで唇の上にほくろを描いてあげた。
     それから映画界はサイレントからトーキーに移行していくが、トーキー映画に否定的なジョージはサイレント映画にこだわり続ける。しかしトーキーの波に押されて次第に人気も落ちて世間からも忘れられていく。妻もジョージの下を去って行き、残ったのは莫大な借金と愛犬だけだった。そんな中ジョージに救いの手を差し伸べたのは今やトーキー映画で大スターとなったぺピーだった…

    <感想>
     この作品の監督、ミシェル・アザナヴィシウスと言う人の映画に対する愛を感じれる作品。一般的にサイレント映画で白黒と聞くと当然古臭いと感じる人が多いと思う。人によってはそれだけで見る気がなくなるだろう。自分も最初に聞いた時はその古臭さを感じたのは否めない。しかし、観始めると全然印象が変わった。古臭いどころか、「アーティスト」は21世紀のこの時代でしか創れない最先端の映画だと気が付く。この映画の見所は3つ。
     ①過去のたくさんの名作映画のオマージュをふんだんに取り入れていること。映画好きの人が見たらこの作品の中にいくつもの名作映画が隠れている事が分かると思う。チャップリン、ヒッチコック、ビリー・ワイルダーなどこれを機会に名作映画を見直したくなるし、もっと知らない映画を見たくなる。
     ②台詞がないので演技、構図、音楽などで表現する比重が高くなっている。これがまた凄い印象的で面白い。観終わってからも再会するシーン、楽屋のシーン、階段のシーンなどなど頭に強烈に残っている。ちなみに上の写真はぺピーが始めてジョージの楽屋に行った時のカット。「誰もいない楽屋でジョージのジャケットに腕を通す」この仕草だけでぺピーの気持ちが声にするよりも強く心に響く。
     ③現代と過去の融合。最後は少しネタばれになるが、劇中で音が入るところがある。つまり完全なるサイレントではないと言う事。そしてこの白黒の映像も元々カラーで撮っていて編集の段階で白黒にしていると言う事。そうする事によって綺麗で見やすいコントラストになっている。こういった技術によってアーティストは古いけど新鮮で、懐かしいけど斬新な作品になっている!!
     誰でも絶対見た方がいい作品です!!

  • やったもの勝ちな挑戦と監督の映画愛が良い作品。とてもチャーミングでハッピーな気持ちになれる映画だと思います。
    それに映画好きの為の映画と見せかけつつ実は映画初心者の為の親切な入り口となるかのような映画なのではと思います。

    わんちゃんの活躍っぷりはサイレント映画に出てくるかのようなどの動物にも劣らない素晴らしい者がありましたが俳優さんはちょっとモダン過ぎるんじゃないかなーもっとなんか雰囲気までトーキーな俳優さんは他にいなかったのかなー

    感動を呼び起こす万人受けするストーリーだとはわかっていても感動してしまう自分がいる。
    万人受けって意外と簡単な様で難しいんですよね。
    そういった意味でもこの大胆な挑戦を起こしながら万人ウケする者を作り上げた本作の監督さんは大きく評価を受ける程のものを作ったのではないかと思いますね。

  • シンプルでいい映画!でもダンスシーンだったりはもっと見たかった!あと全体的に暗い部分が少し長く感じたかも。サイレントからトーキーの変化ももう少し描いてあったり、白黒からカラーへの移行もあれば・・・となんか色々なところ描いた部分も見たくなった。

  • サイレントからトーキーへ、時代に残された名優と波に乗る新人女優。

    とにかく俳優個々の演技が素晴らしい。声が無くても仕草、表情だけで充分に魅せてくれる。
    かえって見ている側の想像力を刺激させてくれるのでストーリーも、よりロマンスを感じさせてくれる。
    クライマックスも最高、正にアーティスト。

  • サイレント映画からトーキー映画に移り変わり、
    落ちぶれる往年のスターと、新たに注目を集める新人女優。
    展開も結末も大体予想のつくベタなストーリーだけど、
    そのベタさが心地よく、観終った後すごく満たされた気分になった。

    役者の「声」という1つの情報がないだけで、想像力を使う。
    頭をフル回転させるような難解なものじゃなくて、
    ほんのちょっとだけ考える余白がある。それがとても楽しい。
    連休中にみるのに打ってつけの映画だと思う。

    パルムドッグ賞を受賞した犬の演技もかわいい!

  • 見始めて30分くらいは無声白黒がかなりきつかった(まだ30分!?って思った)けど、後半になるにつれ引きつけられ、最後は涙。クリエイション(芸術)として正解だと思う、ストーリーと表現方法が完全に合っているから。役者さんもみんな本当に上手で、あと、犬が最高すぎる笑!!!愛しくてたまらなくなる。 一度見てからすぐに二回目最初から見直すと、最初の台詞に驚愕!この最初の台詞(って言っても音なくて文字だけど)にこめられている意味、一回目では全然わかんないわー。すごい。伝統を守りながらも時に革新的なフランスの制作らしい映画。大衆受けを狙っていたらこれはできない。そしてこのチャレンジングな作品にオスカーをあげるなんて、アカデミー会員も勇気あるなあと思った。あまりにも王道から離れすぎてて。賞はだからこそ意義があるのですね。デザイナーやアーティスト(まさに題名とおり)を目指す人には特に、大胆な表現方法で、とても意味ある映画だと思います。

  • ★★★☆☆
    想像するということ
    【内容】
    アカデミー賞作品賞ほか5部門を受賞したロマンティックラブストーリー。サイレント映画界屈指の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは新人女優のペピーを見初め、彼女を人気女優へと導いていく。

    【感想】
    サイレント&モノクロ映画である。
    サイレントなんだけど、音の使い方が巧みだったり、モノクロなんだけどCGを適用したり、観客に飽きさせない工夫が随所に見られておりGood。

    いつの時代にも、時代に逆らおうとかたくなになる人々がいる。
    サイレントからトーキーへ、アナログからデジタルへ。時代は進化し続ける。

    彼がサイレントに固執しつづけた要因が何だったのであろうか。プライドだろうか。恐怖心だろうか。
    その部分の深堀が足りなかったけど、イヌが可愛かったので許す。

    僕らはテクノロジーでバカになっている。
    カーナビのおかげで、道を覚えない。結果として、車は人を運ぶ道具になり下がり所有欲が低下している。
    トーキー映画のおかげで、俳優が何をしゃべっているのか、何を考えているのかを想像しなくなった、結果として『ゲド戦記』のような登場人物の心情は全て話すという暴挙が起きる。

    テクノロジーを駆使した上で、さらに人間の欲求を書きたてるような作品が求められる。

  • なかなか良かった。
    いまこの時代にサイレント映画を作り、それを成功させたってすごいなぁ。
    わんこのジャックが凄かったけど、そういえば公開当時に絶賛されていたっけ。

  • これは、この映画に携わった人々を指して
    「ARTIST」なんだなと。
    サイレント映画という設定。
    最後の締めかた。
    本当に「ARTIST」を感じる。

    そして、犬に泣く。

  • クラッシック映画もモノクロも好きな自分には、かなり楽しんで観れた一本でした。
    確かに面白かったし、楽しかった。
    でも素直に絶賛する気になれない作品なんですよね。
    それは、結局はクラッシック映画のいいところを真似た「モノマネ映画」だなと思ってしまったため。
    やっぱりモノマネは所詮はモノマネで、本物にはかなわないよね。
    というかすでにクラッシックの名作はたくさんあるんだから、わざわざ真似して作らなくてもそれらを観ればいいんじゃない?と思ってしまいました。

    ヒロインの女優さんは、昔のハリウッドのスターにはとても見えないですね。
    体格がスレンダー過ぎるし、あのエキゾチックなルックスはちょっと。。。
    ラスト、一番の見せ場であるはずのタップダンスのお粗末さにもがっかりしてしまいました。
    やっぱりフレッド・アステアやジンジャー・ロジャースは凄かったんだなぁ。

    あまり古い映画を観たことがない人にとっては(自分もそんなに観てませんが)、逆に新鮮にみえて、面白く感じるのかもしれませんね。

    (2011年 フランス)

  • 前評判も良かったので期待していたけど、私の心にはあまり引っかかる所がなかった。
    あの時代に作られた映画を観ると、ファッションや古ぼけた映像などには惹かれるけどストーリーに関しては「ふ〜ん」って印象を持つ事が多い。この映画も全く同じ。
    特にペピー役の女性の容姿が自分の好みでなかったのも大きい。20年代のファッションは大好きなだけに残念。
    ただ、ワンコはキュート。

  • 昔のハリウッド映画が好きな人なら、愛さずにはいられない映画。なんといってもジャン・デュジャルダンが、体格といい物腰といい、まさしく往年のスターの色気と貫禄をみせる。バレンタインの見る悪夢のシーンやラストシーンなど、音声の使い方がほんとうに上手い。そのうえパルムドッグ賞に輝いたアギーの名演に、締めはフレッド&アステアなみのタップダンスというサービスぶり。たっぷり楽しませてくれる作品、ぜひとも映画館で。

  • 今年度アカデミー最優秀作品賞を受賞した作品で、1930年頃のハリウッドを舞台に、トーキーの普及と共に凋落するサイレント時代の大スターと、彼と対照的にスターの道を上り詰めていく新進女優のお話。白黒サイレント映画。

    前評判に違わず素晴らしい作品でした!
    ハートウォーミングなストーリーも、主演二人の演技も、音楽も◎。
    何よりも、「映画」の良さを再認識させてくれる作品です。最近の映画は3DやCG、音響で「リアル」を追求する傾向にありますが、この映画は白黒でサイレント、声すら入りません。それでも、優れた演出と観客の想像力を掛け合わせれば「リアル」は創造できることを証明しています。
    サイレントである以上、雑音や他の誘惑がある自宅でのDVD鑑賞ではなく、ぜひ映画館で見てもらいたいです。

    なお、何の前知識も無くても十分楽しめる作品だと思いますが、1910~30年代のハリウッド映画史を少しかじっていると、もっと面白く観ることが出来ると思います。特にラストは、映画史を知っている人なら「そう来たか!」と笑みがこぼれてしまうのではないかと。

    ついでに言うと、20世紀初頭のハリウッドは、当時差別的な扱いを受けていたユダヤ人にとって、自らの出自を隠して「白人」としてアメリカ社会のメインストリームに入り込むチャンスを与えてくれる場所でした。
    今回、フランス人監督によるフランス映画が、アカデミー賞という「アメリカ映画の最高峰」という評価を獲得しました。高齢のユダヤ系会員が多いと思われるアカデミーが、このような審査を行ったのは、はたして無意識だったのか自らの過去を思い出しての恣意的なものなのか、少し気になるところです。

  • 請求記号:12D182 (館内視聴のみ)

  • これは良くできた映画。サイレント映画に対するオマージュになっている。イヌも含めて演技もよく、起承転結が良くできている。終わり方がフランス映画らしい。A-

  • ジャンの笑顔にちょっとどうだかすっかり
    心奪われましたの。
    お口のちょび髭までもがえらくチャーミング。

    そして思った以上にチャーミングだったのがペピー。
    どんどんと輝いていく彼女がモノクロの世界なのに
    まるで色が付いているように見えてしまうという不思議。

    ストーリー的には予定調和ではあるけれど俳優、女優の
    輝くような笑顔と観終わった後になんとなく幸せな気分に
    浸れる映画です。

    タップダンスのシーンは
    わくわく心が踊ります&噂の犬ちゃんは文句なしに
    かわいい!!! 名演技ですわ。

  • 初のサイレント!話題作だけあってとても面白い!

  • 白黒で、声もないのに、素敵だった。現代でもこういう映画が取れるのね。ある意味単純化されてわかりやすい。もっとねっとり濃密な感じを期待していた。
    今になって思い返すと、犬が賢いなぁ、可愛いなぁ。という印象ばかり。

全173件中 1 - 20件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×