NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2012年 09月号 [雑誌]

制作 : ナショナル ジオグラフィック 
  • 日経ナショナルジオグラフィック社
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  • / ISBN・EAN: 4910068470928

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  • 2012年9月号の目次
    猛威を振るう異常気象

    記録的な干ばつ、竜巻、豪雨……。異常気象と地球の変化に人間はどう立ち向かうべきなのか。

    文=ピーター・ミラー

     記録的な猛暑や干ばつ、次々に襲う竜巻、洪水を引き起こす豪雨……。近年、世界各地で大きな被害をもたらす極端な気象現象が続いている。その背景には、地球全体の気温と湿度の上昇傾向がある。果たしてこれは地球温暖化が原因なのか。そして、地球のこの変化に人間はどう立ち向かうべきなのか。気候のシステムを解説するとともに、今、私たちがなすべきことを考える。
    編集者から

     今回の特集に関連して、気象庁や気象研究所に取材で訪れました。これだけ最先端の技術を投入しても、まだまだ気象現象は未知の部分が多いことを実感。「天気予報、またはずれた!」と文句を言うのは、ちょっと控えておきましょうか。(編集H.O)

    ローマ帝国 栄華と国境

    大帝国となった古代ローマが2世紀に築いた壮大な防壁。その謎に今あらためて挑む。

    文=アンドリュー・カリー 写真=ロバート・クラーク

     精力的に領土を広げ、地中海世界に空前の大帝国を築いたローマ。紀元2世紀にローマ帝国の版図は最大となったが、その領土はすでに統治能力を超えていた。

     そこで皇帝ハドリアヌスは、拡大路線の放棄を決断する。全長数千キロに及ぶ国境の要所に壮大な防壁を築き、外交政策と交易、武力を駆使して守りを固めた。だが、輝かしい栄華の陰で、帝国崩壊への歩みはすでに始まっていたのかもしれない……。全長118キロの「ハドリアヌスの長城」をはじめとするローマの防壁は、いったい何のために築かれたのか。ローマ史の大きな謎を、今あらためて問い直す。
    編集者から

     古代ローマの浴場設計技師が、なぜか現代日本の風呂へタイムスリップしてしまう――映画化もされた抱腹絶倒の話題作『テルマエ・ロマエ』には、今回の特集とほぼ同じ、ハドリアヌス帝時代のローマが生き生きと描かれています。この作品(マンガでも映画でも)でローマ帝国に興味を持ったという方、ナショジオの特集で、ちょっと別の角度からもローマの歴史に触れてみませんか? (編集H.I)

    ひとりぼっちのトキ

    なぜ、生まれ育った島を飛び去ったのか。放鳥されて唯一、本州で生きるトキに会いに行く。

    文=大塚 茂夫 写真=志水 哲也

     佐渡トキ保護センターで生まれ育った識別番号「04」のトキ。2008年に野生に放たれると、島を飛び出し、日本海を飛び越え、本州へ渡った。新潟、宮城、山形を転々とした後、3年前に富山県黒部市へ飛来。それ以来、農地と住宅が混在するこの地にすみ着き、生き抜いてきた。なぜ、「04」は生まれ故郷の佐渡島を去ったのだろう。放鳥されたトキでただ一羽、本州で生きる“彼女”に会いに行く。
    編集者から

     5月の終わりごろ、写真家の志水哲也さんから電話がありました。「トキの写真、見てもらえませんか?」「トキを撮ってるんですか? 佐渡の?」「いいえ、黒部のトキです」。黒部のトキ? 私は何のことか理解できませんでした。志水さんは、昨年11月号の「日本うるわし列島:屋久島」に登場していただいた黒部在住の写真家で、これまで、日本各地の滝や山などを撮影した写真集を多く出版されています。その志水さんがトキを撮っている、それも、佐渡島ではなく、黒部のトキを……。

    大洋のオアシス 海山を探る

    多様な生物を育む“海のオアシス”である海山を、潜水艇ディープシーで調査した。

    文=グレゴリー・S・ストーン 写真=ブライアン・スケリー

     高さ1000メートル以上の海山の数は、推定でおよそ10万。海山の周辺は栄養豊かな海水に恵まれ、多様な生物をはぐくむ“海のオアシス”となっている。だが、研究者が直接調査する機会は数少なく、保護区として守られることもほとんどない。近年、底引き網を使った深海トロール漁がさかんになり、海山の生態系が深刻な被害を受けている。

     本誌取材班は、中米コスタリカの南西沖500キロの海中にそびえるラス・ヘメラス海山の調査に同行する機会を得た。国際環境団体コンサベーション・インターナショナルの海洋科学者グレゴリー・S・ストーンが、7日間にわたる潜水艇での生物調査をリポートする。
    編集者から

     おすすめは、本誌92~93ページに掲載した31種類の「海山の生き物たち」。これほどまとまった数の深海生物が特集に登場するのは、おそらく2004年6月号の「モントレー湾の海底峡谷」以来です。深海生物ファンの皆様、どうぞご堪能ください。生物名を調べるに当たっては、『潜水調査船が観た深海生物 深海生物研究の現在』(藤倉克則・奥谷喬司・丸山 正=編著、東海大学出版会)がとても役に立ちました。

     ところで、今月号には「世界の海底」と題した特製付録が付いているのですが、その地図の中に一つだけ動物の名前が付いた海底地形があります。お暇なときにでも探してみてください。(編集T.F)

    混迷するイエメン

    部族の結束と伝統文化が支配するイエメンに「アラブの春」以降、変革の波が押し寄せている。

    文=ジョシュア・ハマー 写真=ステファニー・シンクレア

     「アラブの春」の騒乱の嵐は、アラビア半島南西端のイエメンにも吹き荒れている。2012年2月にはサレハ前大統領が辞任し、33年の独裁体制に幕を閉じた。

     新政権は発足したものの、この国の先行きはいまだ不透明だ。北部には反政府勢力、南部には分離独立派が展開し、「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)と名乗る過激派組織も暴動やテロ活動を繰り返している。「アラブの最貧国」と呼ばれ、国民一人当たりの年間所得は約9万円。青息吐息の経済に、50万人を超えるソマリア難民が重い負担となってのしかかる。

     数々の難問を抱えながらも、新しく生まれ変わろうとするイエメンの現状を伝える。
    編集者から

     イエメンといえば、2012年6月号「摩訶不思議なソコトラ島」の珍奇な植物たちに感動し、「いつか訪れてみたい」と思ったばかり。でも、「『中東の春』は終わっていない」。そんな現実を突きつけられました。命の危険と隣り合わせの生活を送りながらも、日々の暮らしに楽しみを見いだそうとする人々の姿が印象的です。

     今回、イエメン人が大好きなカート(アラビアチャノキの葉で、覚醒作用がある)についてもかなり精力的な取材が行われています。「なぜカート?」と思ったら、是非記事をご一読ください。イエメンを語る上で、避けて通れない話題だということがわかっていただけると思います。(編集M.N)

    ロマの成功者たち

    昔ながらの流浪生活をやめ、ルーマニアの小さな町の豪邸に暮らすロマの人々の知られざる日常。

    文=トム・オニール 写真=カルラ・ガチェット、アイバン・カシンスキー

     ルーマニアの首都ブカレストの南西およそ80キロに位置するブゼスク。農村地帯にある人口5000人の町だが、目抜き通りの両側に立ち並ぶのは、数々の壮麗な豪邸だ。外壁から張り出したバルコニー、何本もそびえる円柱、尖塔や丸屋根を配した立派な屋根……。ブゼスクにはこうした屋敷が100軒ほどある。

     豪邸の住人は、ロマの成功者たち。彼らは「カルデラシュ」と呼ばれる人々で、もともと金属加工を生業としてきたが、1989年にルーマニアの共産主義体制が崩壊すると、廃墟になった工場から高価なスクラップを集め、その取引で富を築いたのだという。

     よそ者に質問されたり、写真を撮られたりすることを極端に嫌うロマ。成功者たちは豪邸でどんな生活を送っているのか。その知られざる不思議な日常に迫る。
    編集者から

     ロマをテーマにした特集は、2001年4月号「ジプシー 誇り高き民族の魂」以来、実に11年ぶり。今回の特集では、ロマの人々の意外な一面を取り上げました。とはいえ、ルーマニアに暮らす推定200万人のロマの大半が貧困に苦しんでいるという現実も忘れないようにしなければと思います。

     今月号の「写真は語る」では、若手フォトジャーナリストの林典子さんが、トルコのイスタンブールに暮らすロマの厳しい現実をリポートしています。特集と併せてぜひご覧ください。(編集T.F)

  • 「猛威を振るう異常気象」の記事が興味深かったです。

    ここ数年の干ばつ、豪雨、竜巻。異常気象による世界的な被害。
    たった数年の間にどれほど起こっているのか。
    思い出せるだけでもあまりに多い事に気づいて愕然とします。

    一体地球に何が起きているのか?
    地球温暖化の影響なのか、それとも自然の周期的なサイクルなのか。
    もう取り返しのつかないところまで来ていると感じる。

    それと、面白かったのは「ローマ帝国 栄華と国境」。

    ローマ帝国の国境の防壁は何のために築かれたのか?
    わずかに残った石積みや、出土品から残された手がかり。
    徐々に過去の姿が見え始めてきました。歴史のロマンだな~。

  • 今回気になった記事は次の3つ。

    「猛威を振るう異常気象」
    先日、北極海の氷が過去最小になった、というニュースがあった。
    こういうニュースがあった場合、影響を与える要素が多すぎて、原因がはっきりしない点がもどかしい。

    気温と湿度の上昇傾向は明らかなのだが、人間の活動が原因なのか、周期的な変化で、たまたま不運が続いただけなのか。

    記事の中の「巨大な積乱雲」「巨大砂嵐」「竜巻」などの写真を見ると、ゾッとするのだが、同時に見とれてしまうのが自然現象の怖さ。
    印象的だったのはボスニアの首都近郊の湖の写真。
    湖が干上がり、70年間湖底に沈んでいた墓地があらわになった様子は「問い」を突きつけてくるようだった。

    「ひとりぼっちのトキ」
    2005年に佐渡トキ保護センターで生まれ、2008年9月に放鳥されたメスのトキ(愛称:トキメキ)
    富山県内のある町に住み着いた。
    そのトキに会いに行った記事。
    「朱鷺色」と呼ばれる淡いピンク色の羽の色が印象深い。

    「世界の海底」(特製付録)
    こちらは記事でなく、付録としてついてきた「世界の海底」の地図。
    見慣れた陸地の部分が真っ黒で海底の地形が描きこまれた地図は不思議な感じがする。
    考えてみれば、ある意味、宇宙より海底の方が解明が進んでいないのだから、当然かもしれない。
    いつになく見入ってしまった。

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