四畳半神話大系 四畳半シリーズ (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 読み始めて、想像と違った。
    読んでる途中、想像と違った。
    読み終わって、想像と違った。
    奇妙だけど笑えるし、退屈だけど読み進めてしまう。
    小津が単純に見えて謎めいた存在すぎる。小津視点の物語ならどんなだろ。

  • 続編を読むために何年かぶりに再読。四畳半にこもった匂いやら熱気やらがまとわりついてくる読後感(笑)終章で無数に出現する四畳半、これはすべて選ばなかった未来なんだというところが深い。些細な選択でガラッと変わる未来もあれば、どの道を進んだとしても必然的に出会う人もいる。明石さんが可愛い。

  • 話も面白いが、何より言葉使いが巧みでフッと笑ってしまうシーンが多かった。アニメは1話しか見てないけど、この面白さは映像で表現するのは難しいだろうし、すべきでもないんじゃないか?と思った。

  • 「まだ人生が始まってもいないくせに迷ってるのか」

    夢のキャンパスライフ攻略法。

    憎き怪友、猫ラーメン
    蛾の大群、老婆の予言
    人形誘拐、顔舐め女…

    やらない後悔よりやった後悔。

    要するに。
    絶対後悔するとして。

    4枚のビラから1枚を選ぶ事だ。

    /////

    夢と希望の四畳半(或いは全世界)で1人燻る大学生。その周辺は奇妙で賑やかで鬱陶しい。

    俺達の「可能性」って何だった?と心の音叉がワンワン唸り、不覚にも読後、口角が上がってしまった!

  • 高校生の頃にアニメ版を見たのだけどあまり詳細に覚えてなかった。ふと特に理由もなくアニメを見返したくなり、無料の1話を見た。続きが見たかったけど、1話220円払うかNetflixに登録するかの選択を迫られた結果、原作を購入。

    どのサークルを選ぶかによって、その後の大学生活が色々と変わる一方で、どのサークルを選んでも、怠惰な2年間を過ごして、小津や周りの人と会って、明石さんと結ばれるという絶妙なバランスが良い。

    高校生の頃にこれを見ておいて、なぜ京都の大学を受験しなかったのか分からないけど、結局怠惰な学生生活を送ることにはなってしまった。

  • 京都の街を舞台にした和製ファンタジー。
    森見さんの小説は、面白い日本語の使い回しで描かれる不思議な世界観が魅力。

    一話から三話まで読み、ある程度先が読めそうだと思って最終話第四話を読んで、そうきたか!と思った。
    まさに森見ワールド。

    多元宇宙論を思い出しながら読んだが、
    「私はいずれの道を選んでも大して代わり映えのない二年間を送っていたのではないかとも思われる。(中略)したがって、私は過去の自分を抱きしめはしないし、過去のあやまちを肯定したりはしないけれども、とりあえず大目に見てやるにやぶさかではない。」
    という結論が清々しくて良いなと感じた。

  • 普通だった。
    でも普通だと思ってしまうのは、多分1ページ目から最後のページまでどんどん話が展開していく一般的な小説と比べて展開がなかったな…と思ってしまうからで、あまりこの作りを楽しめなかったのが悔しい。展開展開うるせえ、自分。
    そういえば森見登美彦作品を読むのは初めてだ。
    キャラクターが魅力的で楽しかった。はじめはなんだこいつは…と思っていたようなキャラクターもどんどん愛らしく感じられるようになった。今回あまり楽しめなかったのは多分わたしにあまりこの構成が刺さらなかったからだと思うので、他の作品も読んでみようと思う。

  • KindleUnlimitedで借りた弊害なのだが、先に『四畳半タイムマシンブルース』(2巻目)を読んだため頭が混乱した。

    端的に言えば四畳半に住む青年のパラレルワールドなのだが…
    ・1巻と2巻でヒロインは同じなのだが、それぞれ別の人とくっついている
    ・どちらの巻も主人公の名前が明記されていないので、部屋番号とヒロインの大学在籍期間から推測するしかない
    ・しかも2巻のお相手とは結婚までしたはずなのだが、結局どうなったのか

    上記問題が気になりすぎて、あまり楽しめなかった(これは自己責任の範疇。評価には影響していない)。


    文体は相変わらずテンポがよい。
    話も相変わらず内容が薄い。下半身の延長線上で恋愛したいが、プライドが高くて動けない男のいつも通りの話だ。
    今まで読んできた作品全て同様に感じたので、テンポの良い文章を目当てに読むべき作家さんなのだろう。

  • 初の森見先生作品でした。いくつかの話に分かれていてサクサクと読めました。個性的な文体が魅力的でした。最初の話し→次の話と読み進めると「ん?」となりました。話が進めば進むほどキャラクターに愛着が湧く素敵な作品でした。

  •  いつ読んでも、何回読んでも、『四畳半神話大系』は色褪せることなく私を惹きつけてやまない。
     本から得られる感動は、二度目三度目と読んだとき、使い古した油性ペンの掠れ文字の具合に、だんだん薄くなっていくものだと私的には認識している。
     しかし、何度噛んでも味が出続けるガムのように、何度読んでも私を虜にし続ける本に時々出会ったりする。『四畳半神話大系』は私にとって味わい深い一冊なのだ。

     私は〈私〉のように根が真面目すぎるという共通点を持っているのだが、〈私〉が全ての原因を唾棄すべき悪友・小津に押し付ける一方で、私は全ての原因を自分自身に帰結させてしまう。ゆえに私は自己肯定感が低く毎日を鬱屈して過ごしている。
     多少、楽観的に過ごせば良いものの自ら底なし沼へと踏み込んでいく様は、〈私〉とも共通する部分がある。私は自分の姿を〈私〉に投影せずにはいられず、〈私〉が悪戦苦闘する様に涙せずにはいられない。
     けれども私が心から愛するのは、〈私〉ではなく、人の不幸をおかずに飯が三杯食えるという妖怪ぬらりひょんこと小津である。
     根が真面目な私は、やることなすこと全てに意味を見出しその意義を問う。一方、小津は「無意義で不毛な学生生活を力いっぱいエンジョイ」している。
     何か事に当たってその意味を見出さんとするのは立派なことだ。だが森羅万象すべてに意味があるというのはおかしな話で、世の中の大半は「ただそうなっている」というだけの話である。
     人間は進化の過程で意味を創りあげるという高度な抽象化能力を手にした。しかしやたらめったに意味を創り上げようとすれば、その過程で遭難する。方向を見失い、自己を喪失し、最悪の場合は死に至る。
     真面目という一酸化炭素が心に滞留したとき、私は小津にすがる。彼のように行動することはできないけれど、彼の阿呆ぶりを見ていると心に溜まっている毒素が抜けていく感じを覚える。
     そうした意味で「四畳半神話大系」は私にとって一種の薬なのだ。脳というか心というか、ぱつぱつに張り詰めた部分にある緊張の糸を解きリラックスさせる弛緩剤だ。これが無ければ私は生きてゆけない。
     しかし薬は扱いを誤れば毒にもなる。薬は薬効が副作用よりも上回るから、「薬」と呼ばれているわけで、もし副作用が薬効を上回るとすればそれは薬ではなく毒である。
     私が唾棄すべき小津を愛するあまり彼のように生きたいと願ったとき、本書は必ずや私の精神を蝕む毒となるであろう。樋口師匠も語っているように、何者にもなれない自分を認めなくてはいけない。
     この境界線を見失ったとき私は四畳半という閉鎖的空間から二度と出られなくなるであろう。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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