恋人たちの宮殿シリーズ、2作目です。1作目の『ハイヒールを脱ぎ捨てて』を読んでいないと、話がわかりにくいかもしれません。
多少、時系列(現在と回想シーンとの区別)がわかりにくいというマイナスポイントはありましたが、小説版を読んでみたくなるコミックでした。
兄と二人暮らしだった平凡なヒロインが、ある日突然、とある国の王女だと知らされ、内乱の傷跡が残る国のために、公務に励まなければならなくなります。ヒロイン兄妹の行方がわからなくなって心配していた幼なじみで初恋のヒーローが、この件をきっかけに求愛してくれますが、既に二人は身分違いで結婚が許されない関係になっていました。
何が切ないって、実は二人は元々両想いだったんですよね。ヒロインは自分が子供だから彼には相手にされないだろうと思い込み、ヒーローはヒロインの拒食症の悪化を心配して自分の気持ちを押し付ける気にはなれなかった。もっと早くお互いに気持ちを伝えあって結婚してしまっていたら、事実婚として、ヒロインの母国に強引に認めさせることもできたかもしれないのに…と、はがゆく思いました。
次期国王になるヒロインのお兄様やヒロインの身に危険が迫りますが、ヒロインを守ろうとするヒーローが勇敢で素敵です。
ヒロインもヒーローの命が危険にさらされることを恐れて、自分の恋心を押さえ込もうとするあたりが健気でした。
ヒロインとヒーローに最後に起こる奇跡も、心温まるエピソードで、良かったと思います。
イラストも見やすく、ヒロインは可愛らしく、ヒーローはかっこよく描かれています。満足の一冊でした。