- Amazon.co.jp ・電子書籍 (214ページ)
感想・レビュー・書評
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美しい物語。数学苦手でも問題なく読めます。読んでいた3日間幸せでした。何度も感動し、泣きました。280ページくらいで短いのですが、ずっと物語の中にいたかったです。
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博士と、わたしと、ルート。
三人の登場人物の関係性を言葉で表すのは非常に難しくて、一番近いものは何だろうと考えたとき、私の脳裡に浮かんだものは正三角形でした。
正三角形の頂点から各々が腕を60度に開いて、お互いの手を握り合っている図です。
彼らの優しく美しい関係性は、お互いへの敬意と思い遣りで成り立っていて、それは年齢も立場も性別も超えた人間同士の、体温のように温かな調和でした。
挙げきれないくらい素敵なシーンが沢山あります。
なかでも野球の観戦に出掛けるエピソードは、わたしとルートだけでなく、読者にとっても素敵な想い出になり得ると思っています。
文字を追いながら、涙を禁じ得ないシーンもありました。
個人的には、熱を出した博士の看病で朝まで付き添ったわたしが、朝の光の中で博士を想うシーン。
そしてラスト付近の、博士の首に下げられたある物に関するシーンでした。
大人になったルートの進路の描写は、読者まで嬉しくさせられてしまいます。
思い描いていた正三角形が、最後には正方形になったのかな……と想像出来るような、優しい余韻で締め括られるまで、気付けばぐいぐいと引き込まれるような素敵な物語でした。
もっと早く読めばよかったなぁ……。 -
数学博士と家政婦とその子供とのかけあいがまた面白い。
これくらい知識のある博士が子供のためには何も惜しまないという心持ち、そのような人になりたいし歳を重ねたいと思った。 -
解説見て気づいたまさかの純文学
通りで読みにくいわけだww -
優しくて切なくも愛に溢れるお話でした。
80分しか記憶できない博士はきっと、元から少し偏屈で気難しい人だったのだと思う。しかし子供に対してはあんなにまっすぐな愛情を向けられる。不器用なだけで根は優しい人なのだろう。
他人との恋愛ではない、愛情の交わり方があるんだと思った。
数式だけだなく野球が、物語を明るくも不穏にも導いている。
悲しいのに、ふわっとした優しい空気に包まれる。
幸せってなんだろうと考えさせられた。