九月が永遠に続けば(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • あとがきで知ったのだが、作者の沼田まほかる先生が本書を書いたのは奇しくも今の私と同じ50代とのこと。しかも、初稿で。
    ちょうど実家に帰省する忙しいタイミングで読み始めてしまったにも関わらず、途中で止められなくなる筆致でした。
    どちらかというと息子より元夫に自分自身でも逆らえない執着心があり、序盤から差し挟まれる過去の元夫の描写。
    そんな彼女の息子がある夜、ゴミを出しに行ったまま帰らなくなる。
    今更かよとつっこみたくなりながら、息子の幻影を追い求めながら、周囲を巻き込んで見つけ出そうとする。
    私も離婚歴があり、息子も娘もいるが、元夫をこんな風に思い出したりすることがなかったので『何をやってるんだ』とイライラしながらも続きが気になる。そして、登場人物それぞれに主人公とは違う感情で心配になるという具合でページを捲る手を止められなくなるという小説でした。
    結末は、分かり易い伏線あったなと思いつつ、どこかでそれを主人公同様に拒んでいたのかもしれない。

  • 離婚後、高校生の息子と二人で暮らす佐知子。元夫安西の再婚相手亜沙実の娘、冬子を恋慕している犀田と関係を持つが、その後息子の文彦が失踪し、犀田が轢死する。犀田は何者かに突き落とされたらしく、直前まで一緒にいた冬子が疑われる。文彦の行方を追ううちに、佐知子は冬子と文彦が接触していたのではと疑念を持ち始め……

    『ユリゴコロ』に続き、著者の2作目。これがデビュー作。率直に言ってしまうと、複雑な人間関係にも関わらず、描写がダラダラしている気がして、中盤くらいまで読むのがつらかった。数ページで引き込まれた『ユリゴコロ』とだいぶ違ったので戸惑う。

    ミステリと言っていいのだろうか、犀田を誰が殺したのかという謎が確かにあるのだが、壮絶な過去を持つ亜沙実という女の前で、そんなものが小さく感じてしまった。
    そして不幸な意味で蠱惑的な亜沙実に自らを差し出し消耗する男たち。それを知った佐知子の絶望と諦念。こんなことがあったにも関わらず、関係を断てないというか、断たないのか。佐知子のことが理解できない。

    言ってしまうと登場人物の誰にも感情移入出来ないのだが、それでもグイグイ読ませてしまう筆力(謎の置き方?)はさすがというべきか。ただ、全てを亜沙実に起因させ、彼女が恐ろしいほどに魅力的だったから仕方がないという終わり方はいかがなものだろうか。とモヤモヤしたものが残る読後感だった。

  • これだけでファンになった。とにかく長い、大パノラマで、最後まで飽きない。

  • 一言で記すなら、気持ち悪い。悪い意味ではない。
    複雑な人間関係と心理描写でおいそれとレビューは書けない。
    冒頭は物語に入り難さを感じて何度も本を閉じたが、ストーリーが展開する毎に引き込まれていく。

  • 失踪した息子を探すうちに、様々なことが明らかになっていく。そういう内容だけなら結構好きな展開。でも登場人物たちの事情が複雑で重すぎる。読むに耐えない内容もあるけど、読めてしまうのは文章のうまさがあるからか。
    なんでこんな場面を入れるのかって思ったけど、そういう凌辱されるような描写があるからこそ、登場人物の魅力が浮き出ているんだと思う。
    服部というおじさんの主人公(女性)に対するズケズケ感が物語の暗さを中和していた。主人公のエプロンを当たり前のように着ているところとか個人的に好き。

  • すっっっっっっっっっっごい嫌いだった。こういうものを物語として書こう、売ろうという人間が存在することが嫌。

  • 9月になったので、題に惹かれて読んだのだけど独特の陰鬱な雰囲気で息が詰まりそうだった、でもどこか開放的(解放的)な感じ。
    ユリゴコロの作者さんと知って納得。

  • そんなに好きじゃなかったかも?
    親の狂気の話かなと思ったらそんなことなかった
    男を狂気に狂わせる女ってありがちだよねって感じ

  • ひとり息子の失踪。愛人の死。別れた夫の義娘の自殺。
    すべてはひとりの女性に由来した・・

    「男を狂犬にする」女の存在。
    その人に罪はないのかもしれないけれど
    やはり許すことはできないと個人的には思う。

    主人公の女性は寛容すぎでは?(笑)

  • ごちゃごちゃと関わりすぎていたのと、
    設定に無理があるような感じが…。

    読み終えても気づかなかったけれども、
    2012年にも読んでいたみたい。
    読んでる途中にも 全然 気づかなかった。
    印象的な話の気がするけど、
    記憶に残るほどの作品ではなかったみたい。

  • 人の皮を一枚一枚丁寧に剥がして、誰もが隠したいどろどろとした部分をそっと空気に触れさせるような作品。

  • 50歳をすぎてのデビュー作で
    ホラーサスペンス賞をとった作品。
    詳しくは言いませんが
    途中の一行でゾクっとします。
    ゾクッとしすぎて1人で笑ってしまいました。
    精神異常変態的な部分もありで、おもしろかったです。

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著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

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