向日葵の咲かない夏(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 読了してから10年以上経過、衝撃的でした! 今でも「何か面白いの本ある?」と訊かれたら、この本を推薦しています。 細かいことは忘れてしまいましたが、人は不都合なことを「何かのせい」にして逃げ道を作りながら過ごしている、と解釈。そう作者からメッセージを受け取った気になった、記憶があります。

  • これはかなりのグロミスでした…。読み始めてすぐに後悔し始めたくらい。終始不穏。嫌な予感しかしない。そして、その予感は的中する。殺人現場や暴力のグロさではなく、精神的なグロさなのが、また余計に辛い。でも、一気に読んでしまった…。道尾秀介さんの力よな。

  • ホラーとサスペンスの交錯地点
    自分のミスリードに気づいた瞬間が
    この作者の恐ろしさに気づく瞬間なのだ。

    そう…これは決して
    ファンタジーでもホラーでもない。
    精神を完璧に病んだ主人公による
    純粋なサスペンス。

    この物語で実在していた登場「人物」は…
    何人いたのでしょうか。
    この物語で行われた「会話」は
    何度行われたのでしょうか。

    結末まで全て読み終わり、最初へ振り返ると
    ミチオと作者の恐ろしさがより深まる

  • 夏休み前の終業式の日、小学四年生のミチオはクラスメイトのS君の家に学校の配布物を届けに行くが、そこでS君の首吊り死体を発見してしまう。
    すぐ学校に知らせるが、その後警察と教師が駆けつけるとS君の死体は消えていた…
    一週間後、S君はあるものに生まれ変わってミチオの前に現れ、自分は殺された事を伝える。



    S君のためにミチオと妹のミカは犯人を捜す、という夏休みの冒険ミステリーっぽいけど、読み進めるうちにミチオ周辺の違和感の方が気になってしまう…
    3歳の妹、ミカがやけに大人びた振る舞いをする。
    ミチオ母のミカへの溺愛とミチオへの憎悪。
    父はそんな母の様子をどこか諦めているふしがある。
    S君の生まれ変わりをすんなり受け入れる妹やクラスメイトの女子。

    ファンタジーな世界観なのかと思いきやむしろサイコというか。
    S君含め、周辺の人物の衝撃的事実も次々明かされていき事件は思わぬ形で幕を閉じる。
    S君の死の真相へ至る部分はすごくミステリーだったし、ミチオの想像力というか推理力がすごい。
    その想像力の豊かさ故に歪んだ世界を生み出していたのか、それとも本当にみんな生まれ変わっていたのか…
    最後は胸が痛くなる展開だった。

  • 沢山犬猫が虐殺されるので苦手な人は避けた方が良いでしょう。話の内容は二度と忘れないような内容でした

  • ミチオが過去と決別する物語であった。ラストは救いのある終わり方であると思った。このままではダメだと無意識に感じていたミチオは今を終わらせるために家を燃やすという手段に出た。そこで死ぬつもりだったが、母と父の本当の意味での愛による行動によって命を救われた。これはミチオにとって辛い過去を清算し、未来に進むために必要な出来事であったのではないだろうか。

  • 衝撃的でした。

  • 「オススメのミステリ小説教えて」とフォロワーに聞きまくったら1番数が多かったのが今作。
    これはたしかに凄かった。
    読めない展開、僅かに覚えていた違和感、謎の世界観など全てが綺麗に繋がる瞬間の気持ちよさ……
    もっと早く出会いたかった

  • 友人と話していたところ話題に登り、はるか昔に読んだはずだったが、ほとんど覚えてなかったので読み直してみた。ら、結果的にはすべてを覚えてなかった。
    道尾秀介だから警察系のミステリーだろうとか思ってたけど、ミステリー要素はあったものの、どっちかというとホラーだった。

    二転三転する展開に惑わされる殺人事件、3歳のはずなのにやけに流暢にしゃべる妹、謎の安楽椅子探偵お婆さん、怪しい教師、死んだはずの友人が蜘蛛になって蘇る、何かを知っていそうな老人…
    登場人物誰もかもが怪しい。
    でも徐々にミスリードが判明してきて物語が収束したとき、感じるのはスッキリではなくホラーという新感覚。結局一番おかしいのは普通の人たちだったと…

    となると、主人公は一人であのすべてを導き出したわけでそれはそれですごいのでは…?
    しかし、なんでS君だけひとりだけイニシャルだったんだろう。なにか意味があるのかと思ったらそうでもなかった。

    すべてが分かった上でもう一度読み直すとそれはそれで楽しめる気がしたが、そこまでやらないでもいいや。

    以前読んだときは、すごい名作だったから道尾秀介さんの本をもっと読むぜ!ってなったきっかけだったと記憶していたんだが、正直そこまでではなかった。15年前だもんな、テイストも変わったのだろう。

  • ラストエグい。頭の整理がつかなくなる。衝撃。

  • 最初からあった違和感が最後にどんでん返しの事実で表現されていて驚愕の作品だった。
    久々に感じたまさに独特な世界観の中で繰り出されるストーリー展開に読む手が止まらなかった。

    でも最後は結局どうなったんだろう…?

    考察を読んだので追記
    まず冒頭の「思い出すとまた壊れてしまう」で分かるのは、ミチオは今はまともな状態になっているということ。

    文末の「長い影が1つ、伸びていた」では、生き残ったのはミチオだけで、お父さんとお母さんは死にミチオの偶像となったことがわかる。

    話がミチオ視点なので分かると怖い。

  • ドキドキしながら読んでいましたが、まさかそういう展開とは。ファンタジーかなと思ってましたが、最後の話の流れ的に(あと唯一他者から見られた「僕」の描写的に)会話や生き返りは全て「僕」の幻想、「僕」の作り上げた「物語」ということなんでしょうかね。非常に面白かったです。

  • いやーーーなんかぞわぞわした。
    賛否両論あるみたいだけど俺的には好き、というか、この気持ち悪さは、ぐぬぬぬぬってなる。
    最初は、なんだ少年の冒険ものか、くらいに思ってたが、途中から、ん?あれ?と違和感を感じ、なんか気持ち悪くなってきたぞ、となる。最終的には騙されたし、読後に、読み返してみると伏線だらけで驚かされた。うーー気持ち悪い(笑
    なんかシャッターアイランドを思い出した。
    闇が深い、鬱小説好きな人には良いかも。オヌヌメ。

  •  登場人物の一人が虫に転生(?)して出てきたところで脱落する方もいるようですが、私はそうした流れがあってもなお、次々とページをめくらされる作者の筆力に圧倒されました。
     純粋なミステリー作品としてとらえ、低評価の方もいると聞きます。ですが、これはおそらくはジャンル的にはホラーミステリー。人間、誰しもが持っている心の危うさや暗さを、事件を通して浮き上がらせていくところに物語の醍醐味があると思います。

     真実はひとつであっても、それに関わる人間の数だけ見え方やとらえ方がある。ある者は意識的に、ある者は無意識のうちに、自分に都合の良い物語を創りあげる。そんな幾つもの視点が絡み合った多重構造的な作品は、なかなか読めるものではありません。出会えてよかった。

     単なるホラー小説ではなくホラー文学、ホラーを通して人間を描ける道尾先生ならではの一作でした。

  • 表紙とタイトルの爽やかな印象からは想像できないダークな物語。ゾクゾクが止まらない。小説を読む楽しさを改めて感じた。これは忘れられない…!

  • 誰しもが心に持っている誰にも言えないような感情の描写がものすごく巧みだと思った。読み進めていくうちに、鏡に丸裸の自分を突然うつされたかのような何とも言えない気持ちになって、読み終えたらとにかく泣いていた。こんな小説は私の中で未だかつて存在したことがなかった。いい意味で衝撃的だった。私にとっては何度も気づいたときに読み返したくなるくらいの作品でした。

  • どんでん返しをさらに返したような...
    ラストは完全に予想がつかなかった。
    444p、お爺さんの心の異常さに心底引いた。

  • 衝撃。
    すごい、小説読んで久々に衝撃が走った。
    最後の最後、終盤まで全然読めない展開って久し振りでした。


    夏休み前の終業式、学校を休んだS君に資料を届けに行った主人公ミチオ。
    彼はそこで、S君の首吊り死体を発見する。
    慌てて学校に戻り先生に伝えた彼だが、警察がS君の家に行くと死体は消えてなくなっていた…。
    1週間後、S君はミチオの前に姿を変えて現れ「僕の身体を捜して」と頼む。憐れに思ったミチオとその妹・ミカは、S君の身体捜しを始める。


    9歳の少年が友達のために事件を真相していく!!
    ・・・という爽やかな話を期待して読んだのが間違いでした。
    続きが気になりすぎて夜中になってやっと読み終えた後、悪寒が走り少し後悔。。。笑

    ミチオにしてもS君にしても、その他彼らをとりまく関係者にしても、やるせない後味が残る話です。
    でも久し振りの衝撃度だったので★5つ。
    もうしばらく読みたくないけど、でもやっぱりもう1度読みたい本です。好き嫌いが大分わかれると思うけど、きっとそのあたりが「このミステリーがすごい!1位」に選ばれた由縁なんだろうと思う。

  • 内容を一生忘れない…ような設定の本でした

著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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