家族八景 (新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 他人の心を読むことができるテレパス能力を持った七瀬の短編集。人の心を読めることが幸福ではないことがわかる。人間の心理描写が興味深い。

  • 久しぶりに読んでみたくなってkindleで購入。自己中心的で自惚れた男性たちは美しく若い七瀬を心の中で蔑み、馬鹿にし、それでいて表面上は紳士を取り繕っているけれど、テレパスの七瀬にはお見通し。心が読めなくたって、こういった思い上がりのムカつく男の心理は分かるもので、そうそう、ほんとしょうもないよね、と共感する。七瀬が危険な目に遭いながら読心術を使って卑しい男どもを撃退していく様には爽快感を覚える。でも、人の心の中なんて分からないほうがずっとずっと幸せに行けていけるだろうな。

  • 万人向け娯楽SF。人の心が読める能力を持つ家政婦七瀬が様々な家庭を転々とし、その闇を垣間見る短編集。程よくホラーテイストで楽しんで読めた。

  • 久しぶりにすごい小説に出会った。

    様々な境遇の家族と、その心理描写を、
    他人の心を読める主人公の視点で描いた作品。

    建前では幸せな家族を演じつつ、心ではいがみ合っていたり全くの無関心であったり、
    歪な人間関係がリアルに、スピーディーに、必要十分な量の言葉で描かれてます。
    また主人公もただの傍観者ではなく、時に悪戯をしてみたり、行動を起こしてみたり。
    様々な人間関係に化学反応が起こり、それが変化してゆくさまがリアルに描かれてます。

    あと、話のテンポが自分にとてもしっくり来るなあと感じた。
    自分は飽きっぽいので単調な場面が続くとその本を投げ出しちゃうこととかもあるんですが、
    ちょうど良いところで別の場面に移ったり、まさかの展開がいいところで来る。

    話の内容は、程よいスパイス、というよりもかなり辛口。
    衝撃のラストは鳥肌もので、本当にゾッとした。
    一気に読んでしまったけど、未だ興奮冷めやらぬといった気分です。

    とにかく、めちゃくちゃ話に引き込まれました。

  • 七瀬シリーズの最初の作品。

  • 体裁としてはテレパスが主人公のSF物となっているものの、実質的には、家庭を形づくる人々の内面を作家の洞察力でもってえぐり出し、ときに生々しく、ときに淡々と映し出した人間心理観察レポート。全編にわたって描かれているのは、ごくありふれた人々の、ごくありふれているがゆえの愚かしさであるが、作家自身は何も結論を出さない。受け止め方は読み手に任される。

    SF、ミステリ、純文学などといったジャンル分けとは無関係に、書き手にとっていちばん肝要なのは、人間の心のありようや揺らめき――あるいはそのくびきとなっているもの――を明らかにし、文章として書き表す能力なのだと改めて感じさせてくれる。

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著者プロフィール

筒井 康隆(つつい やすたか)
1934年大阪市生まれ。日本を代表するSF作家の一人と目され、小松左京、星新一と並び「SF御三家」と称されることもある。
1981年『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989年「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1993年に断筆宣言を行ったことは大きな話題になった。1996年断筆解除後には、2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞、2010年に第58回菊池寛賞、2017年毎日芸術賞をそれぞれ受賞。2002年には紫綬褒章も受章している。
代表作のひとつ『時をかける少女』は度々映画化、アニメ化され、多くの読者に愛される。ほか『日本以外全部沈没』、『文学部唯野教授』、『旅のラゴス』、『残像に口紅を』などは機会あるごとに話題となり、読み返されてきた。

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